3-45.キョーカミトバ州から王都へ
馬車は、ゴトゴトと、キョーカミトバ州の道を進む。
王都への道。道は、それほど悪くないけれども、今日は、揺れが少し下腹部に響くように感じた。そっとお腹を撫でて、つぶやく。
「アリーは、元気かな?」
出発した時に晴れていた空には、少し雲が多くなってきた気がする。まだ、道は、それほどよくない。王都から、フラワーカードを作っているキョーテンドウ社までの道は、アリーが、その往復のために整備したため、きれいに舗装されている。しかし、その道と、キョーカミトバ州を統括するホームカンシ教の教会まで・・・つまり現在のライリューンの住居までは、少し距離があるのだ。といっても、アリーが整備した道が異常にキレイなだけで、今走っている道も、教会へ続くだけに、土をきちんと固めてあり、たとえ、教皇急使の馬車が通ったとしても問題ない水準のものではある。まぁ、この街道を少しでも外れれば、酷い事になるだろうが・・・。
「どうにも、空模様が、良くない。これは、ひと雨きそうですね。ステラ様、いかがいたしましょう?」
「と、言っておりますが、どういたします?ライリューン様。」
御者台に座る男が、後ろを向いて、ライリューンの侍女に告げると、侍女のステラは、そのまま伝言ゲームを始めた。
「そうだね。空気の匂いが、水っぽい。ちょっと嫌な感じがするね。ステラは、どう思う?」
「雨が降るかどうかは、分かりません。でも、降り出しても、キョーテンドウ社を過ぎていれば、問題ないと思いますよ。」
「うん。じゃぁ、このまま王都に向かってくれたらいいよ。」
[美容師の娘] 【 3-45.ライリューンの旅 】
ガタンという音がしたと思ったら、馬車が大きく揺れた。雨粒は、さっきからドンドンと大きくなり、激しく窓を叩く。
「どうなったの?止まっちゃったね。」
「申し訳ありません。道路のへこみに、車輪がハマってしまったようです。雨で、穴が、見えませんでした。」
外から馬車の中を覗き込むように、御者が報告した。
あぁ、土を固めただけの道だから、ところどころ道にへこみや穴が、ある箇所が見られる。どうやら、そこに車輪がハマってしまったらしい。
「ステラ、私たち、降りたほうがいいのかな?」
「いえ、大丈夫でしょう。御者が、何も言ってきませんから。えーと・・・」
そう言って、ステラは、馬車の窓を少し開け、外を覗き込んだ。
「あぁ、板を敷いて、穴から車輪を引っ張り出すみたいですね。」
「ふぅん。じゃ、降りなくても、大丈夫っぽいね。」
「そうですね。しかし、そう考えると、アリー様の作られた道の水準が、こちらの道と段違いに上であることが分かりますね。」
そう言って、ステラが窓を閉めようとした時、外から、御者の声が聞こえた。
「おっ、まだ生きてるみたいだ。」
え?生きてるって、なんだろう?
「ステラ、何かいるの?」
「えーと・・・毛むくじゃらの・・・キツネ?」
「キツネ?・・・キツネが、穴の中に居たの?面白いっ。連れてきて。」
ステラに、キツネを馬車の中に連れてくるように命じる。ドアをチョンっと開けて、ステラは、馬車の外へと飛び出した。
「ライリューン様、申し訳ありません。」
土下座せんばかりの勢いで、ステラが戻ってくる。手には、びしょぬれの・・・2匹のネコ。おーい。ひつじって言わなかった?
「御者によると、2匹が、陥没した道路の穴の中で、出られなくなっていたそうです。どうしましょう?キツネでは、ありませんが・・・。」
「うん。別にいいよ。そのタオルで巻いてあげて。王都まで連れて行ってあげよう。ライレーンのネコと一緒に、アリーが世話してくれるでしょ。」
こうして道中に、2匹のネコを拾い、王都への道を進む。雨がようやく弱まったころ、馬車の揺れが小さくなった。ようやく、アリーが整備した道に入ったみたい。
「ようやく、キョーテンドウの工房を越えたようです。ここから王都までは、スピードを上げられますよ。」
ホントに、アリーとナカヨシの魔法は、反則だと思う。こんな道を作ることが出来るのだから・・・。下腹部に響くような揺れも、ほとんどなくなった。別に、平坦な道を走っているわけではない。山道・・・しかも、やや曲がりくねった道。
馬車に座り、ネコを抱き、頭をなでた。御者も、ステラも、無口になった。馬のひづめの音も、轍の上を走る馬車の車輪の音も、かなり小さくなった。馬車は、静かに王都への進む。
やがて、その山道に、一台の荷馬車が通りかかった。幌のない荷台。見れば、大量の小麦のような作物が積まれている。御者台で、手綱を取るのは、年老いた男。
「少し、飛ばします。」
御者の声が聞こえたかと思うと、馬車は、グンっとスピードを上げた。その瞬間っ、荷馬車の小麦の中から、数人の男が顔を出し、ボーガンの矢が、ライリューンの馬車を襲った。
「もぉっ、また、正妻さまだわ。これだから、天妻は、イヤなのよ。」
ライリューンは、ホームカンシ教団の教祖・門主の息子、キョニンの下妻である。下妻は、下界の妻を意味するもので、いわば、妾のようなもの。下界に対する言葉は、天界。正妻である貴族階級から嫁いだキョニンの嫁が、天妻と呼ばれる。
馬車の後方の小窓から、手だけを出し、風魔法を発動っ。この風で、ボーガンの矢の狙いを、馬車から外させる。そして、そのまま相手の馬の鼻づら目掛けて、風の刃を飛ばす。
「私は、アリーのように、バカみたいな魔法は使えないけれども、このくらいはできるんだよねー。」
見事、風の刃が馬に命中したようで、荷馬車との距離が少し離れたようだ。小窓から覗いてみると、暴れる馬を、御者が必死で押さえようとしている。
「ステラ。正妻さまの刺客だとは思うんだけれども、もしかして、バレてる?」
「そうですね。ライリューン様が、キョニン師の寵愛を受けていることは、キョーカミトバ教区の聖職者なら、みな、把握していると思いますので・・・。」
「そっかぁ。じゃぁ、私たちの行程も、ほぼほぼ、向こうは、分かってるんだね。よしっ。休憩なしで、王都まで行こう。馬車をとめた方が、危険が大きそう。」
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翌朝、アリーが、学院の正門で見た物は、馬車の後ろがハリネズミのようになった。ライリューンの馬車であった。
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蛇足1.更新・・・
一昨日の1時ごろまでに、書きあがったのが、500字くらい。
昨日の1時ごろが、1700字くらい。
で、やっと今日、書き上げたんですが、
疲れ切った後の、集中力って、持ちませんね。
全く、筆が進まないです。
10日も更新間隔があいたのは、はじめてだと思います。
ごめんなさい。
蛇足2.1200兆円
4月のはじめですね。
地方銀行の支店の次長っていう
どのくらいの地位かよく分からない人と、
お話する機会がありました。
話の途中や結論は置いておいて、
途中で、円が安くなるか、高くなるかっていう所で、
私と、その方の意見が分かれました。
その方は、対ドル125円より安くなりそうなら、
円高に動くとおっしゃっていました。
色々、売りたい金融商品などがあるため、本当は、
そういう風に思っていないけれども、円高方向に
なるんじゃないか?という意見を言った可能性は
ありますが・・・
私は、円高には、振れないだろう。って
思っています。
まず、アメリカは、途中過程で、多少の緩和をすることは
あっても、利上げしていくことが、決定しています。
日本も、同じように、利上げできるなら、円は、
高くなる可能性があります。
しかし、中央政府の借金である国債残高は約1000兆円、
地方政府の借金である地方債残高は約200兆円。
利上げして、その利子、払えるの?って話ですよね。
正直、利上げしたら、借金の利子で破綻しそうな勢いです。
それに、21日~26日に、連続指値オペをやるみたいですし、
円安に振れるイメージしかありません。
と言うことで、私は、円は、そこまで、高くならないと
思ってるんです。
だから、来月はじめに来ても、今月初めと同じで、
外貨建てを、切り替えたりしないんだからねっ!
ただ、押しが強いんですよねぇ・・・あぁ相手したくない。
蛇足3.シェールガス
ばいでんさんが、テキサスのシェールガスを増産する方向で、
動くそうです。
西と東で、完全な経済のブロックが出来そうで、イヤですけど
仕方ないんでしょうねぇ。
それに、たぶんバイデンさん、脱炭素を主張する若い人からの
支持を失うでしょうし、政治が不安定になりそうなんですよね。
米の政治が不安定になったら、日本も、近くの大国に振り回され
やすくなりそうで、イヤです。
蛇足4.ラッピング列
香川県のことでんという電鉄会社が、ウクライナ国旗と同じ色に
ラッピングした列車を運行しています。
上が青、下が黄色の電車ですね。
車両には、「あなた方とともにある」という意味の
We stand with you.などの言葉が「英語」で書かれている
そうです。
えーと・・・やるなら、ぐーぐるさんもありますし、
ウクライナの言葉で、書きませんか?
とは、思いましたが、ウクライナに寄付するための募金も
しているみたいですし、そのために役立つのなら、
どの国の言葉でも、細かいことを気にしなくていいかなぁ?