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3-42.日本刀もどきを作ろう6

 白鋼と、白玉鋼・・・ ワサビニコフさんは、炉の前に、この鋼の塊を 並べた。


「嬢ちゃんの体なら、十分だっ。 いい刀が出来るぜっ。」


 ん? いま、なんてった? ねぇ、もう一回っ。


「いやだから、これだけ 品質のいい鋼があれば、嬢ちゃんの体格なら 十分な大きさの 刀が出来るっ。」


 ちょっと待って。 アレックスの刀を作るんだよ? 私のじゃないよ。ワサビニコフさんと同じくらいの 体の大きさ。 わかる?


「はぁ? そんなこと聞いてないぞ。 だったら、この3倍の鋼が、必要だ。 全然、足りないな。」


 ちょっと、待ってよ。 6時間も休憩しておいて、材料が足りないって、どういうことよ。 ふざけないで。


「何言ってるんだ。『めずらしくて、かっこいい武器で、手っ取り早く作れる武器』を作って欲しい。 そういう依頼だったはずだぞ? 依頼主の 性別や体格を考えて、材料を 用意するに 決まってるだろう。」


 あぁぁぁぁぁ、ただでさえ 時間がないのに、こうなると、休憩してた 6時間が、もったいなさすぎる。 慌てて残っていた 砂鉄を集める。 木炭を精製する。 純粋な鉄と、真っ黒な炭素を抜き出すと、純白金製のるつぼへ、ポイポイっ。


 超特急っ! 急いでやったことと、2度目だったから、手際が ちょっと良くなったこと。 たぶん それが理由だと思う。 3時間で、足りなかった 白玉鋼を用意することが出来た。 ふぅ・・・ 疲れたぁ。



[美容師の娘]  【 3-42.完成っ!日本刀もどき! 】



 無理やり用意した鋼の塊。 これを、ワサビニコフさんが、火魔法で熱して、3ミリぐらいの厚さに、延ばす。 おせんべい みたいに、うすーく するんだね。


 カンカンカンっ。 さらに小さく・・・ 小片へ。 2cm?3cmくらいかな? 鋼を叩いて 小割していく。 元は、きれいな球だったのに、なんか もったいないね。


 テコ棒は、鋼を鍛える専用の金テコ。 この先端に、小さく割った鋼を積み重ねていく。 紙を水で濡らして、これを覆ったら、紙の上から、ワラを燃やした灰を振りかけ、空気を遮る。 そうして、上から、粘土を溶かした泥の液を まんべんなく掛ける。 こうすることで、鋼の真ん中まで きれいに熱が通るのだ。


 準備が出来たら、炉の中へ。 ワサビニコフさんが、火魔法を使った。 炉を熱する。 1300度まで 熱せられたころ、鋼の小片は、熔けて沸かされ、ひとつの塊と なっていった。


 塊となった鋼を、大鎚で打ち叩いて固める。 塊が崩れない程度の軽さで、叩いて 鋼を固めるのだ。 ワサビニコフさんが、何度も何度も 塊を打ち叩く。 そうすると、その塊は、粘りを持つ鋼と変化し、簡単には砕けなくなる。 カーンっ。 粘りが出てきた鋼なら、砕けてしまったりしない。 強く強く叩く。 体中の力を、大鎚に込め 振り下ろすのだ。


 こうして、充分な粘りをもった鋼の塊は、叩かれて、平たく打ち延ばされる。 延ばしたら、たがねを入れて 二つ折り。 もう一回1300度に加熱して、延ばす。 折り返す。 何回も、何回も これを繰り返すと、その 鍛えられた鋼の層が 出来上がる。 例えば、15回 折り返した時の層は、2の15乗。 えーと、2の10乗が、1024だから・・・ 15回の折り返しなら、3万2千枚を超えているね。


 この積み重ねた層が、ワサビニコフさんの 刀の強さの秘密のひとつだ。


 次は、刀の真ん中。 芯になる部分を作らなくてはならない。 この材料は、白玉鋼ではなく、やわらかい鉄。 これは 案外簡単だった。 純粋な鉄は、白玉鋼より やわらかい。 この芯になる部分を、さっき折り重ねた 硬い鋼で 包めばいいのだ。


 やわらかい芯と、まわりの硬い鋼を組み合わせる。 やわらかい鉄を鋼で、挟み込むと、火魔法の出番。 熱しながら、これを、平らな棒のような形に 打ち延ばす。


 平らな棒が できたらなら、赤く熱せられた鉄を、小槌で叩いていく。 カンカンカン。 コンコンコン。 うわぁ、すごいね・・・ 規則正しい音が響くたびに、ただの平たい棒が、よく見る刀の形へと 変化していく。

 

 形状が整ったら、さらに、ヤスリのようなもので、刀の豊かな厚みの部分を 整えていく。


「よしっ、嬢ちゃん。 休憩だ。 どうだ? 刀に見えてきただろう。」


 うんうん。 ただね、気になるのが、そっちに 材料が余ってることなんだ。 さっき、足りないって言われたから 作ったのに、なんで?


「あぁ、嬢ちゃんの作った 鋼の質が、あまりに良かったせいだな。 普通の炉で作るより、嬢ちゃんが、魔法で作り上げた 鋼の組成の方が 均一なんだ。 オレが、作った鋼は、不純物が、含まれているから、そぎ落とさなきゃダメな部分が 出てくるんだが、嬢ちゃんのは、大鎚で 叩いたときに、砕けた分が、ちょっと 無くなったくらいだな。 無駄になる部分が無い。」


 あぁあ、作った白鋼、ほとんど、残っちゃってるよ。 これ、作った時間が、もったいないんだよね。 まぁいっか、何か使うこともあるでしょ。 マーガレット、持って帰るから、荷物に入れといてっ。


「待て、嬢ちゃん。 ちょっとくらい 置いていけ。 それだけ質のいい鋼は、オレには 作れねぇ。 使わせろっ。」


 仕方がないので、残った分は、半分こ。 まぁ、何に使うってわけでもないし、作ろうと思えば、時間さえあれば 作れるもんね。


 軽くお茶をしたあと、刀づくりは 再開。


 火に強い粘土に、木炭をすりつぶした粉。 砥石を砕いて潰した細粒。この3つを混ぜて作った土を、刀身に塗ることで、焼き上げた時、美しい刃紋が 出来上がるのだ。


 熱をかけて、焼きの入る部分には、薄く。 そうじゃない部分には、薄く。 へらを使って、丁寧に 刀に土を塗ったら、焼き入れだ。


 ワサビニコフさんが、火魔法を、760度に調節する。 1300度と、760度。 火魔法で、この温度を うまく出せるようになるのに、10年も、かかったそうだ。 職人の経験と、カンっ。ここだっ という タイミングで、火の中から、刀を取り出す。


  ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


 熱したら、刀身を水で急冷する。 水蒸気が、工房に舞い、一瞬、目の前が真っ白に。


「よぉし、いい感じだ。」


 焼き入れが終わり、少し刀を寝かすと、刀身の形を整える。 曲がりや反りを直すとともに、刀の厚みを決めて、荒砥ぎがはじまった。


 荒砥ぎ終えた、ワサビニコフさんは、刀身を光にかざして、片目をつぶって確認していた。


「キズもないし、割れもない。 完璧だな。」


 おぉ、出来たのね。


「いやいや、一応、形が出来たってだけだ。 ここから仕上げも 必要なんだよっ。」


 ワサビニコフさんは、刀身を逆さにすると、中心を仕立て、持ち手になる部分に ククっと、穴を開けた。


 「さぁ、研ぎだっ。」


 研磨は、下準備と、仕上げに 分けられる。


 下準備となる研ぎは、刀の形を整える 基本的なもの。 粗い砥石から順番に、使い、刀の形が、しゅっしゅっと 規則的に研がれていく。


 これが終わると、仕上げだ。 刃紋の部分は、良質の砥石を薄く薄く削って、膠と紙で裏打ちして研ぐ。 それ以外の部分は、砥石を薄く割った後、1ミリくらいの大きさに砕くと、それを使って 研いでいく。


 何時間も、何時間も、やることもないので、宿に戻って、ゴロゴロしたり、マーガレットに、買ってきてもらった お団子を食べたり。


 その間にも、ワサビニコフさんは、鉄を焼いた粉末と、油を混ぜたものを つかって、きれいに刀身をぬぐって、光沢を与えた上、刃の上を白く美しくするために、さらに細かく 研磨を入れる。


 そうして、きれいに刃の部分が 白くザラリとした 美しさをあらわしたら、次は、棟の部分。 丸い鉄の棒をつかって、ショリショリと磨き上げる。 銀色が、やや黒い独特の光沢へと 変わり、刀身の白さを さらに映えさせる。


「よしっ、これで完成だっ。」


 長かったぁぁ。 お腹一杯だわ。 もうしばらく、お団子は いらないね。


「刀の外装は、工房の連中に、任せておいて いいよな?」


 そうだねぇ。 さすがに、こんなむき出しで、持ち歩くわけにもいかないし。 じゃぁ任せるよっ。


 さらに、待つこと半日。 やっとできあがった刀は、日本刀そっくり。 柄巻き部分も、鞘拵えも、かっこいいね。 きっと、アレックスも満足してくれるわ。



=== ===== === ===== ===



 しかし、疲れた上に、長かった。 もう頼まれても、日本刀づくりなんかやんないよっ。



=== ===== === ===== ===

もう刀づくりはお腹一杯って人は、高評価を押して次の話へ⇒


蛇足.せるびあ


 せるびあという国の大統領選があるそうです。


 前話の蛇足で、NATOに、空爆されていた国ですね。


 コソボの問題があるので、国の中から、独立を宣言する

 地区を承認しないって言う意味では、ロシアを止めるべき

 です。


 あっ、コソボって、せるびあの自治州だったんですけれども、

 独立を宣言しています。セルビアは、国家承認していないん

 ですけどね。 


 現在、くりみあや、ウクライナ東部自治州と、同じ状態。


 問題なのは、今回、クリミアや、ウクライナの東部の

 自治州を国家承認しているのは、ロシアだってことですね。


 セルビアが、未だ自分の国の一部と主張しているコソボを

 国家承認しているのは、NATO諸国です。


 コソボのことを考えると、ロシアのしていることを、

 許してはいけない。


 だけれども、現在、コソボをセルビアの一部だと

 言ってくれているのは、ロシアで、NATOの国々は、

 コソボは、セルビアではないって言っている。


 こうなると、どっちに味方するか悩みどころです。


 選挙がどう転ぶか、気になりますね。 


https://ncode.syosetu.com/n6487gq/55/

 2-19.蛇足


https://ncode.syosetu.com/n6487gq/202/

 3-14.蛇足

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