3-39.日本刀もどきを作ろう3
煙たいっ。 もくもくもく! やだっ。
起きると、周りが煙でいっぱいになっていた。 ほんと、タバコを吸う人って、副流煙のこと考えてるのかしら? あれって、吸ってる人より、周りの人の方が被害大きいのよね。 って、違った。 そうだ。わたし、白鋼っていう 名刀の材料になる 鋼材を作ってるんだった。
始めてから、どのくらい経ったのかな? わっ、もう10時間も経ってる。 少し赤味を帯びていた炉の中の炎が、山吹色・・・ 火の赤みが少なくなり、少し 黄色 っぽくなって きている。
「おっ、起きたか。
ってか、こんなところで 良く寝ることが出来るな。」
うるさいなぁ。 眠かったんだから仕方ないでしょ。 ってか、炎の色、変わってきてない?
「おう、気づいたか。 これは、還元炎というものだ。
砂鉄が、炉の中で還元することで、炭を吸収するわけだ。」
はぁ? 鉄が、木を吸収する? そんなわけないでしょ?
「それが、するんだよっ。 炭を吸収した鋼は、すげぇぜ。
これで作った刀を使ったら、普通の剣には、戻れねぇ。」
うわぁ、ヤバい目してる・・・。 そもそも、戻れなくなる刀って、危なくない? なんか、飛翔師兵の糖とか、チョコを思い出しちゃったよ。 そんなので作った武器を プレゼントしても、本当に大丈夫かな? アレックス。
[美容師の娘] 【 3-39.出来たっ・・・んだけどね 】
食べたり、寝たり、うとうとしたり・・・ そうこうするうちに、2日目に入った白鋼作り。 炉の火は、ジリッジリッという、砂を踏みしめた時のような 音を立て始めた。
「あぁ、泣き始めたな。」
泣く? これ、何? 炉の中で、鳴ってるよ。
「あぁ、熔けた鉄が 沸き始めたんだ。
うまく風を吹き込むと、燃えた炎で 炭が浮き上がる。
そして、浮き上がった炭が 上手く落ちる。
上手く炉が呼吸 出来てるって ことだ。
鉄が沸いて、炭を 取り込んでいる音だ。
こいつぁ、いい白鋼ができるぞっ。」
へぇ、音で分かるんだ。 で、思ったんだけれども、ワサビニコフさん、もしかして、まったく寝てない?
「当り前だっ。 何を聞いてやがった。
30分ごとに、砂鉄と 炭を 入れるんだぞ。
寝る時間なんて 無いに決まってるだろ。
よぉし、こっから、砂鉄と木炭の 装入量を増やすっ。
そこで、見てやがれっ。」
うんうん。頑張ってね。 じゃ、マーガレット。 変わったことしてたら、メモしておいてね。
ぐぅ・・・ZZZzz
「おらぁぁぁぁっ。」
私が、目を覚ましたのは、ワサビニコフさんの叫び声が 聞こえた時だった。
うるさぁいっ。 人が、寝てるの 分からないかな?
目を凝らしてみると、ワサビニコフさんが、風魔法を使って、一生懸命、風を送り込んでいる。
「嬢ちゃん、やっと起きたか。」
風を送り込んでるの? 手伝おうか? 風魔法だったら得意だよ?
「いやいや。 確かに、風量は、昨日より多く必要だ。
けどなっ、それよりも、タイミングが 大事なんだよっ。
どれだけの風を、どのタイミングで、送り込むかがな。」
そう言いながらも、ワサビニコフさんは、こちらに目を向けることなく、炉の中だけを じぃぃっと見つめる。
ふぅん。 相手する気ないんなら、ご飯でも食べてくるね。 相手をしてもらえないので、ご近所のうどん屋へ移動っ。
ずるずるずる・・・ んーおいしいっ。 てか、どうでもいいけれども、おうどんの、お値段上がってない? まぁ、おいしいかったからいいか。
こうして、寝たり食べたりしているうちに、2日目も終了。 そして、3日目のことだった。
「アリー様、限界です。」
目を真っ赤にしたマーガレットが、ふらふらと、紙の束とペンを差し出して来た。 もちろん、紙は、ビッグキング羊皮紙社の カタト・モワ・カイさんから 買い取ったものだ。
「ね・・・ ねむ・・・い。」
そんな 一言を のこして、マーガレットは、毛布の上に パタリと倒れてしまった。
もぉ、それ、わたしの毛布なのにっ。
カラシニコフさんは、風を送り込む量を、さらに増やしていた。 すでに起きている時間は、2日半・・・。 しかし、休む素振りも見せず、働き続けている。
そろそろ、白鋼作りにも、飽きてきた。 だってやることが無いんだもの。 そう思った瞬間、突然、炉が火を噴いた。
わぁぁぁぁぁ。
ねっ、ワサビニコフさんっ。 壊れてる。 炉が割れてるよ。 炎に侵食されてる。 このままだと、こっちに、炎が来ちゃうよ。 火事になる!
「慌てるな。今、最後の 砂鉄の装入をする。」
わたしたちが、大騒ぎをしているというのに、マーガレットは、ぐぅぐぅ と寝ているまま。 危機感とか ないのかしら?
「よぉしっ。 こいつが最後だっ。」
暴れる炎を ものともせず、ワサビニコフさんは、木製の鋤をつかって、器用に 鉄を装入する。
ワサビニコフさんが、炉から離れたその瞬間、炉の上部が割れ、ぶぉぉんっと 炎があがった。
「ふぅぅ、なんとか 最後まで持ちそうだな。」
いやいや、持ってない! 割れて、炎があがってるって。 壊れちゃうよ。 完全に。
「おわったら、壊すんだから、問題ない。これでいいんだよ。
それより、嬢ちゃん、少し休憩する。 炉を見ておいてくれ。
飯を 食ってるから、異常があったら、声をかけろっ。」
えーと、炉が、壊れかけて、火を噴いてますけれども、これは、異常ではないですか? ・・・そう言いたかったけれども、さすがに疲れ切った顔で、座り込み、もぐもぐと、おにぎりを食べ始めた ワサビニコフさんに、そんなことを言えるはずもなく、燃え盛る炎を じっと見るだけ。 ここから、爆発したりしないよね? ちょっぴり怖いので、炉と、自分の間に 風の障壁を張っておく。
そうこうするうちに ワサビニコフさんは、戦線に復帰。 火を噴く炉をみながら、風を調節する。
夜になって、マーガレットが復帰。あまりの炉の崩壊具合に、後ろずさりを 始めるマーガレットにも、風の障壁を張ってやる。 いや、さすがに危ないって。
4日目の朝、ワサビニコフさんが、今までにない、おかしな動きを始めた。火勢が弱まり、崩壊しつつある炉の周りをグルグルと、回り始めたのだ。
「フンっ!」
突然、ワサビニコフさんが、棒を炉に向けて押し出し、さらに こちらに引き出すように、その壁を壊し始めた。
「よぉし、終わりだっ。」
しばらくして、見えたのは、炉の底にできた鉄の塊。 粉塵が舞う中、真っ赤な鉄の塊を、ワサビニコフさんが、引き出す。 こちらにも、熱が伝わってくるくらいなのだから、かなりの高温なのだろう。 その顔は、真っ赤に焼け、額には 汗が伝っている。
うわっ、大きな塊。 こんなにいっぱい 出来るんだね。
「いや、くず鉄も混ざってる。
まずは、炭をのける。 そして、鉧を鉄池に投入するんだ。
急冷して、水鋼をつくる。」
炭や、明らかなクズ鉄の部分が、手際よく 除かれて、鉄池で、水鋼が作られる。
「ほれっ、ここの部分が、白鋼だ。
嬢ちゃんが、必要とする 材料の部分だなっ。」
えっ? これだけ? めっちゃ少なくない? これで、刀ってつくれるの?
「は? 足りるわけないだろっ。 何を言ってるんだ。
この作業を、あと2回するんだ。」
はぁ? そっちこそ 何、言ってるの? ライリューンが、来週来るんだよ? 4日間かかる作業を2回? 無理に 決まってるでしょっ。
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出来た、白鋼は、300gほど・・・ 刀を作るのに必要な、白鋼は、1000g。 全然、たりなぁぁいっ。
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借金を踏み倒すのが得意な人は、高評価を押して次の話へ⇒
蛇足1.払おうかな?踏み倒そうかな?
前話で書いた通り、
3月16日か、4月4日なんですよね。
支払う気持ちがあったら、3月16日に支払うことが出来る
だけのお金は、たぶんまだ動かせるはずなんです。
だけど、どうせ4月は、払えないしもういいや、
踏み倒しちゃおう。って考えていたら、
支払おうとしないと思うんです。
はい、どこかの国の国債ですね。
特に、外貨建ての国債は、払いたくないって、
ダダをこねそうな気がします。
債務不履行、デフォルトが起こった時に、何が起こるのか。
サブプライムローンの時は、
これを混ぜて組み込んで証券をつくっていたために
大変なことになりましたが、
国債を混ぜ込んだ証券がどのくらいあるのか?
あと、国債を直接持ってる量がどのくらいなのか?
そして、それが、紙くずになったら、どうなるのか。
そして、破綻が起こっても、サブプライムローンの時より、
影響は小さいのは、当然なんですが、自分に影響が出る人や、
会社、団体が、そういうものを持っていた場合、
大変なことになる可能性があります。
誰が、どれだけ持っているか分からない所がこわいです。
蛇足2.うどんの値上がり
ふぅん。相手する気ないんなら、
ご飯でも食べてくるね。
相手をしてもらえないので、
ご近所のうどん屋へ移動っ。
ずるずるずる・・・んーおいしいっ。
てか、どうでもいいけれども、
おうどんの、お値段上がってない?
まぁ、おいしいかったからいいか。
持ってる在庫が無くなったら、
小麦の取り合いになりそうですね。
うどん屋さんも、パン屋さんも、
500円玉1個で、そこそこ満足のいくお食事を
調達できそうなお店が、値上げしそうです。
もうちょっとしたら、食費に、困るかもしれませんね。