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3-33.ん?なんか忘れてなかったっけ?

ライリューンが、来る前に、胃薬を完成しておきたい。


そう思って、ナカヨシ研究室に向かうと、オリンピュアスが居た。


「あぁ、アリー。 早く開けてくださいませ。」


あら? あんなに ボロボロになってたから、もうこの研究室には、来たくないのかと思ってたのに。


チョイチョイッっと、鍵を 開ける。



 カラン コロン カランっ



鳴ったのは、ドアに取り付けた ドアベル。


喫茶店のドアにつけてるような 開けたらカランカラン鳴る 木製の風鈴のようなものだ。


うん。いい音っ。


もちろん、木製だから、テレサさんのアンターナッハ商会の新製品っ。 まぁ、わたしが、設計したんだけどね。


オリンピュアスが いっぱい持って来ていた お土産っぽい箱の半分を、持ってあげる わたしって優しい!


実験室じゃない方の部屋のドアを 足で蹴飛ばして開ける。だって、両手が 箱で、ふさがってるんだもの。


部屋に入るなり、テーブルの上に、ポンポンポンと 箱が10個ほど投げられた。


オリンピュアスに続いて、わたしも同じ数の箱をポイポイポイと置く。


一体、何が入っているんだろうね? この箱。



「作り過ぎましたの。 いっしょに食べましょう。」



ん? 何を作り過ぎたの?



箱を空けて出てきた茶色い物体。うーん。なんか、甘い香りがするね。





[美容師の娘]  【 3-33.チョコレートは、西へ東へ! 】





「チョコレート?」


「そうですわ。 エウリュア様に 作った残りですの。」


えーと、20箱? ・・・残り? ・・・何? チョコレート屋さんでも 始めたの?


「イヤですわ。

 用意しておいた物の中から、最高のものを お渡ししたのです。

 とっても 喜んでいただけましたわ。

 ホント・・・エウリュア様は、情熱的で・・・。」


はいはい。 そういうのは、どうでもいいですっ。


「というか、アリーは、どうだったのですの?」


え? 何が?


「どんなチョコを、ご用意したのですの?」


ん? チョコ? チョコレートを用意? ・・・え? 何の話?


「えぇぇぇぇ。

 アリーは、王子に チョコを用意しなかったのですの?」


いや、ほら・・・昨日の夜は、ワンちゃんたちと お散歩に行って、占い師のお爺ちゃんと お話してたから・・・。


オリンピュアスの ジト目の視線が痛い・・・。


そっかぁ、チョコレートの用意 しなきゃ ダメだったのかぁ。



 カラン コロン カランっ



あっ、ドアが開く音がした。 ちょっと見てくるねー。 いや、ジト目が 怖かったからじゃなくて、来客の確認だよっ!


「おぉ、良い所に、表の馬車に荷物が乗っておる。

 運んでくれるかのっ。」


入り口には、ナカヨシが、両手で抱えるくらいの 大きな箱を持って、外を指していた。


馬車に乗っていた木箱は、大きさの割には、軽い感じ・・・って 何箱、乗ってるのよ。


箱の上に、アンターナッハ商会の屋号があるから、何か商品なんだろうねっ。 あっ、こっちは、ライリューン商会の箱だわ。


馬車から、大きくて軽い箱を取り出すと、研究室の中へと投げる。 ぽいっ!


2人で、何往復かして、全てを運び終えると、ナカヨシは、馬車に乗って行ってしまった。


「商会の 売れ残りらしい。

 テレサに、処分を お願いされての。

 頼んだぞっ。 アリー。」


え・・・? いや、何よ。 やめてよ。売れ残りの 犬とか猫は、もう、十分いるんだから。 ケンカに なっちゃうよ。


おそるおそる、箱を開ける・・・。


あっ・・・。



チョコレートでした・・・。



「オリンピュアスぅぅぅ。」


「アリー? どうしました?」


「増えちゃった・・・。」


山盛りのチョコレートを持って部屋に戻ると、オリンピュアスが、呆れた顔で言った。


「アリー、もうチョコを渡す日は、終わりましたのよ。」


「うんっ。 その売れ残りみたい。」


「どうしますの? こんなに大量に。」


「いや、まだ外に20箱くらいあるんだ。

 大型の木箱が・・・。」


「ほ・・・ ホントに、どうしますの?」


「ねっ。 どうしよっか?」


「味は、どうですの?」


「ん? どだろ?・・・うん。普通に美味しいね。

 オリンピュアス、コレ どう?」


「あら? 意外に上品な味ですわね。

 そうですわ。アリー。 荷馬車便ですわ。

 白猫トマトの荷馬車便を 呼んでくださいまし。」


なに? そのうさん臭い名前・・・ 運送会社?


とりあえず、オリンピュアスの言っている会社が 分からないので、マーガレットを 呼ぶ。


「白猫トマトの荷馬車便って、分かる?」


「はい。 お呼びするのですか?」


おっけぃ。 お呼びいたして くださぁい。


「あのー、何台 お呼びしましょう?」


何台? ・・・台数? あぁ、そっか荷馬車なのか。 何台って言われても、何に使うか分かんないんだよねぇ。 まぁいいや。 丸投げでっ。


「オリンピュアスー。 何台呼ぶの?」


「そうですわね。 いち・・・に・・・さん・・・3台ですわ。」


おっけぃ。 3台っ、うけたまわりましたっ!


「マーガレット。 3台ね。」



 カラン コロン カランっ



マーガレットは、素敵な音色を残して、研究室を 飛び出して行った。



「で、どうすんの? 荷馬車なんか呼んで。」


「東の辺境と、キョーカミトバ州ですわ。」


えーと。 オリンピュアスさん? 東の辺境は分かるんだけれども、どこですか? キョーカミトバ州って・・・。


「アリー。 あなた、バカですの?」


えーと・・・ わたし、ナカヨシの課題も、結構 そつなく こなしているし、そこそこ、頭いいって思ってるんだけれど?


「ライリューンと、ライレーンです。

 キョーカミトバ州は、ライリューンの所ですわ。」


あぁ、そっか。 フラワーカードの キョーテンドーがある場所だ。 すっかり忘れてたね。


で、そこに 荷馬車を送るの?


「荷馬車ではなく、チョコですわ。

 2人に、送り付けましょう。

 王都で流行っている、チョコレートとして。」


流行っている??? 売れ残りだよ。 コレ。


「そんなもの、向こうに 分かるわけがありませんわ。

 ここは、知らぬ顔で 送るべきですわ。」


けっこう、エグいことを言うね。 まぁ、味に問題があるってわけじゃないし、送ってあげるのはいいか。


うん。 じゃぁ、木箱を5個ずつ送っておこう。 で、残りの1台は?


「当然、西の辺境ですわ。

 アリーが、ご実家に 送ればいいのです。」


そだね。 イアンや、ガッセネに 送っとけばいいか。


それなら、ミラドールや、ピクシノビッチさんにも 送ってあげればいいよね。もう1台、荷馬車を 呼んでもらおうかな?



 カラン コロン カランっ



「あっ、マーガレット。おかえりぃ。

 悪いんだけれども、もう2台、荷馬車、呼んでもらえる?」


「アリー様、呼んで参るのは、かまいません。

 しかし、どちらに 何をお送りになるのですか?」


えーと、西と東の辺境と、キョーカミトバ州だね。 あと、東ハルサかな? ほら、この木箱、中身は、全部チョコレートなの。 だから、送ってあげようと思って・・・。


「東の辺境も、キョーカミトバ州も 大丈夫です。

 もちろん、ヘドファン伯爵領も 問題ございません。

 しかし、東ハルサは無理です。」


え? なんで? ピクシノビッチさんにも、送ってあげたいのに。


「アリー様。 あの地域は、今、内戦中でございます。」


あっ・・・。 そだ。ピクシノビッチさん、言ってた。 でも、チョコを 荷馬車で送るだけだよ? ダメかな?


「ぜぇぇったい、無理でございます。

 戦争中に、民間の 輸送の荷馬車ですよ。

 無事に、往復できるはずが ございません。」


いや、出来ないかな? って思って、聞いてみただけだって。


じゃ、もう1台追加して、西の辺境には、2台分送ろう。 ガッセネが、持っていけるなら、東ハルサにも、チョコを 持って行ってもらってさ。


「そうですね。

 ガッセネ様なら、もしかすると、大丈夫かもしれません。

 しかし、チョコレートですよ?

 チョコのために、生死をかけさせるのは・・・。

 アリー様、ちょっとガッセネ様の扱いが、ひどすぎません?」


え? いや、ガッセネなら、なんとなく無事に 行き来できそうでしょ?


「アリー。 どうしますの? 荷馬車は、来ました?」


えーと、マーガレット、外に来てる?


「3台は、準備が整っています。」


じゃ、木箱を積んでもらおう。 東の辺境と、キョーカミトバ州は、5箱ずつで。 西は、10箱送って。


白猫トマトの 荷馬車便の お兄さんたちが、次々と、チョコの木箱を 運び出していく。


ドナドナドナな 感じで荷馬車は、砂煙をたてながら、去っていく。 いやぁ、研究室の入り口が、スッキリした。


木箱も、無くなったし、ゆっくり お茶しよう。


マーガレットぉ。 オリンピュアスに、お茶いれてあげてねー。


「あぁ、わたくし、ダージリンティで お願いしますわ。」


わたしは、何にしようかなぁ。 うん。ホットミルクにしよっと。


レンチンの魔法道具に、ミルクを入れたカップを放り込む。 シュッと魔力を通したら、出来上がり。



  チーン



「本当に便利ですわね。 その魔法道具。」


そだね。 使い始めると、手放せないね。


「この販売は、いたしませんの?」


そだねー。 一般販売はしないと思う。 特別に、オリンピュアスに譲れるかどうかは、材料の関係もあるから、ナカヨシに聞いてから 答えるよ。


そんな話をしながら、チョコっとパーティを続けていると、ホームカンシ教の鐘の音が響いた。あらら? もう、お昼時なんだね。 時間がたつのは 早いねぇ。



「わたくし、あのゴーンという音は、好きではありませんわ。」


そう? あんまり気にならないけれど。


「いつも、エウリュア様がお出かけされる時に鳴るんですもの。

 イヤな イメージしか沸きませんわ。」


あぁ、なにがあっても、エウリュア中心の世界なのね。 オリンピュアスは。


「まぁ、今日は違いますけれども。

 お昼は、エウリュア様と 一緒に いただく予定ですわ。」


あら? じゃぁ、今日は、これで帰っちゃう?


「もちろんですわ。

 エウリュア様を お待たせするわけがありませんもの。」


うん。分かった。


「あっ、レンチンの魔道具を 忘れないでくださいね。」


んー。 あれは、ナカヨシ次第なんだよ。 作る許可が下りて、材料を提供してくれないと、出来ないから。


「じゃぁ、がんばって 許可を取ってくださいませ。

 あぁ エウリュア様とのお約束の時間に遅れてしまいますわ。

 では、またっ。」



レンチンの魔法道具は、とにかく魔力を多く必要とするから、わたしや、ナカヨシみたいに、魔力に 余裕があるなら別だけれども、普通は、魔法を使える人が何人も必要。 だから、一般販売は 無理なんだよね。


で、オリンピュアスのために 特別に用意してあげるかどうか なんだけれども、ナカヨシ次第なんだよね。 魔法道具作成に必要な 「ナカヨシの砂」を 使わせてもらえるかどうか。


ナカヨシって、すぐ、OKが出そうなイメージなんだけれども、意外と ケチだからなぁ。


あっ。 これおいしい。 ホットミルクにチョコを溶かしたやつが、思った以上に美味だ。 んー。これは、いいのを 発見したなぁ。


ん? お昼ごはん? じゃ、寮に帰ろうか。


馬車に乗り、マーガレットとともに、シンデルラララ城へと ポクポクポク・・・。



=== ===== === ===== ===



うーん・・・ 何か大切なことを、忘れている 気がするんだけれどもなぁ。



=== ===== === ===== ===

イヌにチョコを上げたことがある人は、人は、高評価を押して次の話へ⇒



蛇足1.


 2月に入ってから、いっぱいチョコを食べたのですが。


 一番おいしかったのは、ラスクにチョコが絡んだお菓子。


 チョコレートラスクですね。


 ただ、あまりにいっぱい食べ過ぎて、2月6日の


 日曜日くらいから、鼻の頭に吹き出物が出て困りました。


 まぁ、マスクするので、見えないので大丈夫なはずっ!


 みなさん、チョコの食べ過ぎには、注意しましょう。

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