3-27.勇者草を採取せよ 4
食欲旺盛なトキニホンウルフたちが、立ち去ったことを 確認した後、わたしは、テントと共に、ふわりと 地上に着地した。
「わぁ、全部食べられてる。」
当然、地上に置きっぱなしだった食材は、オオカミたちの 胃の中に収められたのだろう。 影も形も存在しなかった。
「この食器は、もう使えないな。
しかし、2時間も、飛び続けていられるものなんだだね。
もう学生でいる必要は、ないんじゃないかな?」
散らばった食器や、調理器具を持ち上げながらセキアキ教授は、ブツブツと呟く。
「あっ、使えなくなった食器は、ワンちゃんに使います。
テントに放り込んでおいてくださいっ。」
2匹の親は、足を怪我しているためか、テントの中から出ようとしないんだけれども、チビは、平気で走り回ろうとする。 こらっ、そっち行っちゃダメ。
首をつかんで、テントに放り込む。
「教授、持って帰る物を、そっちに放り込んでください。
あと、勇者草も採取しなきゃ。
トキニホンウルフが戻る前に、温泉まで戻りましょう。」
「あぁ、そうだね。
ただ、まだ季節が早いんだよね。
十分なアルカロイド量があるか心配だねぇ。」
セキアキ教授は、小さなスコップで、ちょっと若いフキのような草を根っこから掘り起こす。
「それが、勇者草なんですね。」
「うんうん。まだちょっと若いね。
多少の不安はあるけれども、袋に詰めて持って帰ろう。」
[美容師の娘] 【 3-27.ワンちゃんと一緒にピューン 】
片方のテントは、セキアキ教授と散らばっていた荷物。 片方のテントは、わたしの荷物と、ワンちゃん3匹。 チビと親犬は、ロープでつないでおくことにした。 勇者草は、根っこごと 抜いたものを いくつか袋詰めして、教授のテントに放り込んである。
あとは、捨てておいてよい物ばかり。 放置しておけば、おそらく自然分解されるだろう。
「じゃ、教授。ウルフが戻ってくる前に、飛びますよ。」
「OK、アリー。 ちゃんと 体を固定した。」
ワンちゃんだけでなく、教授も 体をテントに固定してもらう。 落っこちちゃったら、大変だもんね。
これ、空気抵抗があるから重いのかなぁ。 やはり、テントごとだと 浮くまでに 少し時間がかかる。 ふわりと浮いた テントを持ち上げるように、わたしは、風魔法を地面に向かって 打ち付けた。
よーし。 一気に飛び上がる。 小さくなっていく地面を見ながら、空へ向かって一直線。 お昼前には、温泉につけそうだね。
テントは、ゆっくりと慎重に下ろす。 逆に、わたしは、トーンと、着地する。
「ここまで飛べると知っていたら、登山は必要なかったね。
テントごと、最初から飛べばよかった。」
温泉に着き、テントから 這い出てきた教授が、荷物を片づけながら、つぶやく。
んー。 確かに。 っていうか、今からマリーを連れてくれば いいか。
「教授。片付けが終わったら、温泉にでも入っててください。
マリーを 連れてきます。」
わたしのテントの中のワンちゃんに、パンの塊と、水をポイッと投げると、そのまま飛翔魔法でピューン。
「ちょっと、アリー。
オオカミと 私を残して行かないでくれっ。」
はいはい。 その子たちなら、たぶん大丈夫っ。 なでなで してあげて くださいねー。
10分も飛ばないうちに、マリーのテントが見えた。 ホントだね。 歩くよりよっぽど楽だわ。 トンっと、テントの横に降り立つと、中をのぞく。
「寒い・・・。 早く帰ってきて。」
あっ、現実逃避中なのね。
「マリー。 お待たせ。 元気にしてた?」
「元気じゃないです。
なんで、夜、帰って来てくれないんですかぁぁ。」
いや、それは、勇者草の採取をしてたからだね。
「山の上の温泉に入る予定なんだけど、マリーも来る?」
「はぁ? 温泉? なんとか草を採るんじゃなくて?」
「あっ、勇者草は、採取したよ。
終わったから、食事と、お風呂にしようと思ってるの。」
「じゃ、行きます。」
うんうん。 じゃぁ、テントに体を固定してしっかり掴まってねー。
「ちょ・・・。 なんで、テントが、浮くんですかぁぁぁ。」
もぉ、マリーは、キャンキャンうるさいなぁ。 チビでも、2回目は、静かにしてたのに。
「ひどいです。 何の準備もなく空を飛ぶなんて・・・。」
テントから、マリーが這い出てくる。
え? わたし、体を固定して掴まるように言ったよね?
「あら? 教授。 温泉に入ってないんですか?」
「いやいや。 せめてオオカミをつないでおいてくれ。
怖くて、温泉になんか 入れないよ。」
「いい子にしてるじゃないですか。
チビなんて、寝てるし。」
「えぇぇ。 かわいいっ。このワンちゃん。
どうしたんですか?」
ほらぁ。 マリーだって可愛いって言ってるよ。 ほんと、教授って 怖がりなんだから。
「可愛いでしょ。
採取する時に、トキニホンウルフに 襲われたんだ。
で、連れて 帰って来たの。」
「は? トキニホンウルフ?」
ズササササっと、マリーが 後ずさる。
「大丈夫だって。 ほら、首輪ついてるから。
たぶん、飼われてて、逃げ出したんだと思うよ。」
2匹の首を指差し、頭を撫でる。
「あっ、ほんとだ。 人懐っこいですね。」
マリーも、手を伸ばし、ワンちゃんをナデナデする。
「じゃ、もうお昼近いけれど、ご飯を作ろうか。
何にも食べてないから、お腹すいちゃった。」
「私、昨日から食べてないんですよ。」
あら? マリーは、時間がたっぷりあったから、食事くらいしてると思ったのに。
魔法で、火をおこし、スープを温める。 あっ、レンチンの魔法道具を持ってくれば、楽だったかも。
はい。 パンと、スープ。 食べている間に、お肉を焼こう。 6人前だね。 わたしと、マリーと、教授と、ワンちゃん。
ん? スープ欲しいの? 熱いから食べれないと思うよ。
テントから、顔をのぞかせたパトとラッシュ。 とりあえず2個の容器にスープを入れてみた。 チビは、寝てるからいらないね。 んー。予想通り、パトも ラッシュも、器のふちを舐めるだけ。熱いから食べられないよね。 もう ちょっと待てば、冷めるからねっ。
お肉が、ちょうどいい具合に焼けた時、チビが、目を覚ました。 いいタイミングで目を覚ます子だ。
一番大きいお肉を ナイフで切り分け、教授、マリーの皿にのせる。
残ったお肉を4等分して、わたしのお皿と、ワンちゃん3匹にポイッ。 さっき、パンを食べてるはずなのに、良く食べるねぇ。
って、マリーもガツガツと食べているわ。 この子、子爵家の令嬢だったはずなのに・・・。 よっぽど お腹が減ってたのね。
「あっ。そだ。 教授、勇者草は、使えそうです?」
「うーん。 この季節は、まだ早いんだよ。
どのくらいのアルカロイドが、含まれているか分からない。
まぁ、数はあるから、足りないということは無いよ。
安心したまえ。」
良かった。 帰ったら、ナカヨシに、薬を作ってもらえそう。
ご飯を食べ終わったら、マリーと、ワンちゃんと一緒に お風呂だ。
「お湯が、やわらかいですぅ。
山の上に、こんな温泉が あるなんてっ。」
「うんうん。オリンピュアスも、連れてきてあげたかったね。」
マリーも、温泉にご満足。 チビも、ぱちゃぱちゃと 犬かきで、泳いでいる。
ワインを開けて、金属製のタンブラーに注ぐ。 さすがに、ワイングラスは 無いもんね。
「あっ、私も。」
マリーも、案外、いけるのね。
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ポカポカと、体が温まったころには、無事、最後のワインも空になり、教授の荷づくりも終了。
じゃ、ひとっ飛び。王都へ帰りますかっ。
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金属製のタンブラーでお酒を呑む人は、高評価を押して次の話へ⇒
蛇足1.ダニエル太郎
第2セットの1-6がすごかったです。
結局負けちゃいましたけれども。
予選から出てる分、体力が持ちませんでしたね。
ただ、対戦相手のシナーは、素敵でした。
第3セットの第4ゲーム。
放っておけば、自分のポイントになる所、
ボールの空気が抜けていたため、プレイのやり直しを
主審にもとめたのです。
流石にコレは、ダニエルが負けても、気持ちいいですね。
蛇足2.大坂なおみ
あっ。負けちゃった。
勝てそうだったのに・・・。
噛ませ犬キラーの錦織圭さんなら、
60位くらいの人なら、勝つんですけれども。
大阪さんは、強い人には、勝イメージなんですけれども、
ランキングがそこそこ下の人との試合を落とす
イメージがあります。
なんででしょうね。
セカンドサーブがダメだったイメージです。
まぁ、アニシモバの守備はすごく良かったというのも
ありますが。
蛇足3.利上げ
1月14日に、ロイター通信が、日銀が利上げという記事を
出しました。
利上げしたら、金利で、破産しそうな気がします。
日本が・・・。
蛇足4.池江璃花子
女子50メートル自由形予選で、バタフライ。
池江さんのバタフライに、嬉しい気分と、
他のの選手が頑張って、予選落ちさせて
ほしかった気分が、半分半分です。
決勝はクロールで勝っちゃいましたので
やっぱりすごいですね。