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3-23.新春ハゴイタ選手権3

白熱した決勝戦・・・。


第一セットを、21対10で取った わたしたちだったが、第2セットで 反撃を受けた。


相手の 見事なショットに、幻惑されたのだ。


水を入れたコップに 光が通る時に、屈折が起きるような感じ。


相手の打ち込んでくる羽の軌道が 途中で曲がったように見えて、取ることが出来ないのだ。


「アリー。 何とかなりませんこと?」


「んー。 そういわれても、真っすぐ来ないんだよね。

 縦に2人が 並んで打ち込んで来てるせいなのかな?

 どっちが 羽を打つかも、分からない時があるから。

 わたしが前に出て、オリンピュアスが、後衛をする?」


「いやですわ。 わたくし、取れる気がいたしません。」


おーい。 それなら、わたしに 取れって 言わないでよ。





[美容師の娘]  【 3-23.コートに三窟あり 】





決勝戦の 対戦相手。


カラフルな着物の2人を見た瞬間、オリンピュアスが絶句した。


「あれは、東の辺境の・・・」


王都の西に位置する辺境の伯爵家が、わたしのヘドファン家。


そしてその反対。 王都の東に位置する東の辺境の伯爵家。


令嬢2人が、わざわざ王都の ハゴイタ選手権に出場していたのだ。


「あら、決勝の相手は、オリンピュアスですか。」


「サリーと、ミューニでしたか?

 また、王都にいらしたのですね。

 東では、新年の楽しみも 無いのかしら?」


うわぁ・・・ 始まる前から、バチバチしてる。怖いっ。


とりあえず、オリンピュアスと 会話をしていない、ミューニと呼ばれた女の子と 握手をしようとして、手を出したものの、すぐに引っ込めた。



 うわっ! ヤバいっ。 この子・・・。



そう、ミューニの 手の平には、壁に紙などを とめる時に使う、がびょうが 仕込まれていたのだ。


「アリー。 お気を付けあそばして。

 この二人は、危険ですわ。」


うん。 今、握手をしようとして、思い知ったところ。 正直、主催者 権限で、失格にしたいくらい・・・。



そうして、始まった決勝戦。


第一セットは、わたしたちが・・・、第2セットは、サリーとミューニが取って、セットカウントは、1-1。


次のセットを 取った方が、優勝だ。


でも、第2セットから、相手のショットが取れないのよね。 途中で 軌道が変わるみたいに 見える羽を、どうにか拾わないとダメだ。


ココンっ。


 0-1


  ココンっ。


   0-2


    ココンッ


     0-3


      ココンっ


 0-4

   

うう・・ 0対4・・・ 勝てる気がしない。


ダメダメッ。 顔に、うんちはヤダ。



「アリー。 どうにかなりませんの?」


「そう言われても・・・。

 わたし、打たれた瞬間に 反応してるんだよ。

 でも、思った 軌道と違うんだもん。

 あんなの どうやったら、取れるのよ。」


「それを 取るのが、後衛でしょ。」


じゃ、後衛を 代わってくれたらいいのにっ。


サリーとミューニは、縦に 2人が並んで 打ち込んで来る。 どっちが打ちこんで来るか 分からない動きをするのだ。その上に、羽の軌道が変わる。


これを取れって 簡単に言われても、そう上手くいくもんじゃないよね。 無茶だよ。 オリンピュアスが 言ってることは。


そして、その後も、羽が拾えない・・・。


得点は、0対17・・・ あと4点で終了。 わたしたちの負け・・・。


「もう、頭 おかしくなりそう。

 顔に、うんちは ヤダっ。」


「わたくしもですわ。 幻聴まで聞こえますもの。

 羽を打つ音が、2回も 聞こえてきますわ。」


うんうん。 ココンって・・・ん?


オリンピュアスも、2回 羽を打つ音が 聞こえてる?


サリーとミューニは、縦に2人が並んで打ち込んで来ている・・・ で、2回、羽を打つ音が聞こえる・・・ 軌道が変わる・・・。


それって、ホントに2回、羽を 打ってるんじゃないの?


「オリンピュアス。

 2回、羽を打ったら負けだよね?」


「もちろん、そうですわ。」


うーん。 あと4点取られるまでに、2回、打っていることを証明できれば、こっちの勝ちなんだけれど、それが 証明 出来るかどうかよね。


うーん。 そんな証明、出来る気がしない。


あっ、そうだ。


2回打つってことは、絶対、縦に並んだ 前側の子が 打ってるはずっ。 前の人が打つ って決めて、コースを読めば、拾えるっ。


「オリンピュアスっ。

 前衛の、サリーが打つコースを 限定してっ。

 後ろのミューニは、見なくていいからっ。」


「良く分からないけれど、分かりましたわっ。」



ふわりと 羽が浮き上がるっ。


ココンっ。


うん。 やっぱり羽を2回打ってる音っ。


わたしは、前衛のサリーの打つ方向へ、ハゴイタを出して 振り切る。


当たりっ。 やっぱり、ズルじゃん。


縦に2人が並んで、どちらが 打ち込むか 分からなくしてるだけじゃなくて、後衛が 打った羽を、前衛が 角度を 変えてたんだね。



1対17。



よーし。 タネが分かった手品は、もう通用しないよ。


相手の手口が 分かったからには、容赦はしない。 わたしたちは、得点を 重ねた。


コンっという 1回の音ならば、後衛の ミューニが 打ち込む方向へ。


ココンという2回 羽を打つ音がすれば、前衛のサリーが打つコースへ ハゴイタを 差し出せば、必ず 羽が来るのだ。


負ける要素が 無いっ。


20対17。


連続20得点をあげ、わたしたちは、チャンピョンシップポイントを迎えた。 あと1点で勝ちっ。 どうだ。 見たかっ。


「アリー。 後衛を代わりますわ。」


いやいや、ちょっと待って。 あと1点でしょ。 いい所で、代わろうとしないでよ。


「・・・アリー。 貴賓席に、お母さまが来ておりますの。

 代わってくれませんこと?」


小さな声で、ぼそりと オリンピュアスが、つぶやく。


あぁ、オリンピュアスが壊した 変な優勝トロフィーの持ち主ね。 それじゃ仕方ない。 代わってあげよう。


空気を読んで、最後の1ポイントは、オリンピュアスに 譲ることにした。


ふわりと浮いた羽を、サリーが打ち込む。


あら? そのコースは、今日初めてだね。 でも、オリンピュアスなら 簡単に取れちゃうよ。


そう思った瞬間・・・。


落ちた。 オリンピュアスが・・・。 まさかの、お・・・落とし穴?



20対18・・・。


「まさか、落とし穴とは・・・ やられましたわ。」


かなり深い 落とし穴から、オリンピュアスを引っ張り上げる。 うわぁ重っ。 声に出したら、怒られそうだけど、オリンピュアスって、けっこう重いよ。


「落とし穴なんて、アリなの? ルール的に。」


「ハゴイタ王者、トンケータ・モモの言葉は、ご存じですわね。

 コートに三窟有り・・・ ですわ。」


アリなのね。


でも、やっぱり、ハゴイタ競技のWHC世界王者トンケータ・モモの言葉なんだ。 WHA世界王者のカオツ・マウソ・ウユシの言葉だと 思うんだけどなぁ。


次のプレーは、どうしても、恐る恐るといった動きになってしまう。 でも、それは、オリンピュアスにとって 運が良かった。


打ち込まれた羽は、前方へ、オリンピュアスが突っ込む・・・と同時に落ち・・・って、危ないっ。慌てて腕を掴んで引き上げる。 いやぁ、ダイエットしてよね。 重いよ。 でも、オリンピュアスが、恐る恐るゆっくり動いていたおかげで、腕を掴むことが出来た。



と、オリンピュアスが 震える声で言う。


「あ・・アリー。 大変ですわ。 アレを・・・。」


「うそっ・・・。」


オリンピュアスの左手が、指していたのは、穴の底。 そこには、とぐろを巻いた 大きなウンチが鎮座していた。


「チッ・・・」


ミューニの舌打ちが、聞こえる。


画鋲といい、落とし穴といい、穴の底に置かれたウンチといい、恐ろしい子だわ・・・ ミューア。


「アリー。 コートに三窟有りですわ。

 最低、あと1個は、落とし穴がありますわよ。

 わたくし、前衛に戻りますわ。」


いやいや、ウンチは、わたしもヤダよ。 ちょ、なに 勝手に前衛に戻ってるのよ。 オリンピュアスっ。


オリンピュアスは、前を向いたまま動かない。


わたしが、後衛なの? 落とし穴、ウンチが仕掛けられてるのよ? 落ちたら どうなるか分かるよね?


オリンピュアスの背中に投げる わたしの言葉は、どうやら彼女の心には、届かないようだ。


得点は、20対19。 もう1点取られるとデュース。 デュースになってしまうと、相手に2点差をつけるまで、得点の取り合いになる。


もうヤダ。 やけくそだわっ。 わたしは、コーンと 羽を空中高くに、打ち出した。



その瞬間、ひらめいたっ。 わたし、天才っ。



ハゴイタを放り出し、地面に両手をつける。


土魔法は、4か月間の地下での強制労働で、使い続けてたんだから、すぐに発動できるんだからねっ。 お返しだよ。


そう。 私が使ったのは、地下トンネル作りで使った 土魔法の応用。


コートの相手陣地を、3メートルほど陥没させて、落とし穴にしてしまうのだ。 コートの半分、相手の陣地全部を。


ドゴーン という 大きな音。


そして、地面が陥没する。 サリーとミューニ、2人の派手な振袖が、空中に浮かんだと思ったら、一瞬で消えた。


もちろん、羽は、返ってこない。



最終得点は、21-19。 やったぁ。



「優勝は、オリンピュアスと、アリーペアぁぁぁっ。」


私たちの勝ちを告げる アナウンスが、会場全体に 響きわたった。


「アリー。 やりましたわね。」


オリンピュアスが、両手を差し出して、声をかけてくる。


「逃げたよね・・・ オリンピュアス。

 落とし穴のウンチ、わたしに 踏ませようとしたよね?」


「い・・・いえ・・違いますのよ。

 あ・・・アリーなら、飛翔魔法で飛べると思ったのですわ。」


あっ。 飛べば、回避できたのか・・・。 っていうか、風魔法を使えば、相手が打ち込んで来る羽の軌道を修正することも、打ち込んだ時の軌道を変えることも、、簡単に出来たかも・・・。


もうちょっと、簡単に 勝てていたかもしれないね。


まぁいいや。


あとは、楽しいお絵描きコーナー。




=== ===== === ===== ===




負けた2人組の ほっぺに描き込まれたのは、もちろん、かわいいウンチでした。 いぇいっ。




=== ===== === ===== ===

人生の落とし穴に、他人を落としたことがある人は、高評価を押して次の話へ⇒



蛇足1.フィリポ・ベルナルディーニ


 作家の未発表の原稿を、手に入れる。

 5年間で、数百作品。


 そんなあり得ないことをした人らしいんですが、

 読みたいです。その原稿。


 って思って、どんなのか調べようとした所、

 英語のお話でした。


 申し訳ありませんが、翻訳が終わってから、

 ご連絡ください。



蛇足2.円安


 円が、ドルに対して安くなっています。


 資源高・食料高なので、輸入物価の上昇に

 拍車がかかりそうです。


 マクドナルドのハンバーガーが一時期59円

 だったらしいです。


 今が、110円って所ですね。


 あれは、円高があってこそ出来た戦略ですね。


 さて、ポテトの販売が、昨日、またもSだけに

 なっていました。


 今後、どうなるんでしょうね。


 まぁ、ほとんど行くことは無いですけど。


 そう考えたら、この4週間で4回マクドナルドに

 行ったのは、珍しいことかもしれません。

 どうでもいい話ですけれど。 



蛇足3.


 ミャンマーで、日本財団が現地の赤十字に

 ワクチン200万回分寄付ということで、9日

 ヤンゴンの空港に届けられたそうです。


 笹川財団による提供であること、

 インドのワクチンであること、

 かなりイロイロ深い事情がありそうな

 寄付ですが、あと100万回分寄付する

 予定らしいですね。


 あっ、インドの製薬って、ある意味、日本より

 すごいですからね。



蛇足4.ドライブ・マイ・カー


 免停って怖いですね。


 あっ、そんな話じゃないんですね。


 西島秀俊さん。主演男優賞って、すごいですね。


 ちなみに、西島さんは、ダブルフェイスの演技が

 一番好きです。

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