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3-22.新春ハゴイタ選手権2

墨汁を、タップリ筆に吸い込ませ、顔にバツと三角を書く。


そうだ。左のほっぺには、ライレーンが置いていったネコの顔を描こう。


まずは、ネコの輪郭を描く。

イメージは、頭の先がとがっていないスライムかな?


次は、鼻。

逆三角形の黒い鼻を、下から1/3くらいの場所に。


そこから噴水が下に向かって噴き出すように、口を描き込む。


んー。ほっぺのスペースが小さすぎる。上手く描けないな。


チョンチョンと、目を書き込んだ後、かわいい耳を付け足す。


完成ッ。あっ、まだだ。


ピョンピョンと、ひげを書き加えて、今度こそ完成っ。


ライレーンのネコちゃん!


そういえば、ライレーンは、先月こっちに来た時、ネコに会っていったのかなぁ。





[美容師の娘]  【 3-22.えっ? うんち・・・ 】





私たちは、順調にトーナメントを勝ち進んで行った。


「歯ごたえがありませんわね。」


いやいや、歯ごたえがあったら、わたしたち負けちゃうかもしれないでしょ。


準決勝の相手を一蹴し、温かい梅昆布茶を飲む。


うーん。体に沁みるわぁ。



と、そこへ、マリアとジョゼフィーヌが、やって来た。



顔に落書きをされて・・・。



「やられました。」


「マリーとコンスタツァは、かなり強いです。」


あぁあぁ、目の周りは、真っ黒。墨が、着物にまで垂れている。


結構 えげつないね。 マリーと コンスタツァ。


「これは、決勝の相手は、マリーとコンスタツァですわね。

 アリー。 負けるわけには、いきませんわよ。」


そうだね、ここまで 絵心なく、真っ黒に 顔を塗りつぶされるのは、私もヤダ。


2人とも、もうちょっと、かわいく描けなかったのかなぁ。



******************************



向こうのブロックの試合を、控室待つ。


4人で、梅昆布茶を 飲んでいるんだけれども、マリアと、ジョゼフィーヌは、顔を洗ってきたにもかかわらず、黒い墨が、落ちていない。


誰だよ。 こんな 落ちない墨を 用意したの・・・。


「これ、墨って、みんな 同じものを 使ってるんだったよね?」


「そうですわよ。

 ライリューン商会が 用意したものですわ。」


・・・ライリューン商会? あっ、聞いたことあるね。 その商会。 確か美人の商会長が 居たはずっ。 うん。 せっかく用意してくれている墨に、文句をつけてはいけなかったね。


要は、私たちが、負けなければいい。 そして、運悪く負けた場合は、マリーとコンスタツァに 無言の圧力をかければ、いいだけのはずだ。 わたしは、自分に言い聞かせた。


「しかし、遅いですわね。マリーとコンスタツァは。」


向こうのブロックの準決勝も、試合を終割る頃合いだ。 2人とも、控室に戻って来てもいいはずなんだけれど・・・。


「マリア、少し様子を見てきてくれませんこと?」


あぁ、マリアが、様子を見に行かされることに・・・。


マーガレットに行かせたほうが、良かったかな?


控室には、選手しか入ることが出来ないんだけれども、ライリューン商会のスタッフという名目で、私だけマーガレットを連れてきている。


一応、スタッフの腕章をつけているんだけれども、オリンピュアスは、マーガレットって分かってるもんね。


とは言っても、オリンピュアスに言われて 断れるわけもなく、マリーは 素直に様子を見に行ってくれた。


「試合時間が長いなら、ラリーを続けるタイプですわね。

 マリーとコンスタツァは、どんな試合をしますの?」


ジョゼフィーヌは、羽を打つ格好をしながら答える。


「オリンピュアスの言う通り、羽をかなり拾われますね。

 打ち込んでも、打ち込んでも、決まらない感じです。

 最後には、こちらがミスしてしまうんですよね。」


なるほど、粘り強いタイプなのね。2人は。



その時、マリアが、控室に駆け込んできた。



「大変です。マリーとコンスタツァが負けました。」


息を切らせながら 報告するマリアの顔に、黒い汗が光る。


あぁ、墨汁が、流れてる。 消えないねぇ。 これ、負けたくないわ。


「あら、相手が気になりますわね。」


「オリンピュアス。2人に聞けばいいじゃん。

 もう、帰ってくるでしょ?」


「そうですわね。

 焦らなくても、対戦した2人が居ますわね。」


そうして、それほど間を置かずに、マリーとコンスタツァが、タオルで 顔を隠したまま 戻って来た。


「あら? 2人とも、恥ずかしがり屋ですのね。

 マリアとジョゼフィーヌは、隠していませんでしたわよ。」


「いえ・・・ その・・・。」


コンスタツァが、泣きそうな 震え声で、何かを言っているけれど、タオルで 口を塞いだような状態で よく聞こえない。


「コンスタツァ。 聞こえませんわっ。

 顔を お上げなさいませっ。」


ゆっくりと、タオルをおろし、顔を上げた コンスタツァの顔には・・・



うわっ・・・ ウンチ



顔全体に大きく、ウンチが 描かれていた。


「ひどい・・・。」


マリアも、ジョゼフィーヌも、言葉が出ないみたい。


「マリー。 あなたもですの?

 顔を お上げなさいっ。」


オリンピュアスは、マリーにも 顔を見せるように命じる。


あぁ、こっちは手が込んでいる。


おでこの真ん中に、うんち。


右のほっぺに、  うんち。


左のほっぺにも、 うんち。


3つのウンチには、ご丁寧にも、顔が描かれている。 私のネコよりうまいかも・・・。


話を聞こうにも、マリーとコンスタツァの2人とも、泣き続けていて しゃべることができない。


「2人とも、あちらで 顔を洗っていらっしゃい。」


オリンピュアスは、マリーとコンスタツァの2人に顔を洗ってくるように命じ、マリアとジョゼフィーヌは、それに付き添って 行ってしまった。


「アリー。 マリーとコンスタツァの かたきですわ。

 絶対に 負けるわけには、いきませんわよ。」


いや、かたきとか そういう以前に 落ちない墨で、ウンチを 顔に書かれるのは、ヤダ。


棄権して、不戦敗とか できないかな?


「アリー。 つまらないことを考えていませんわね?」


「えっ?」


「棄権など、致しませんわよ。」



に・・・逃げられない?!


「もちろん。 ふ・・・2人の かたき討ちだよね。」



こうして、決勝戦は、乙女の尊厳をかけた 1戦となるのであった・・・。



=== ===== === ===== ===




あぁ、もぉやだよ。 ・・・地下での強制労働でいいから、帰りたいわ。




=== ===== === ===== ===

墨を硯ですって、書初めをした人は、高評価を押して次の話へ⇒


蛇足1.墨字


 田和山遺跡は、島根県松江市にある弥生時代の遺跡。

 宍道湖をのぞむ独立丘陵の山頂を3重の環濠で囲んであり、

 その特異な形で、何のために、このような大土木工事を

 行ったかが、謎とされています。


 その出土品に、国産の硯があります。


 裏には、墨で、「子」と「戌」と書かれていたとか。


 干支を、墨書きでこの時代から書いていたんですね。


 弥生時代の物であっても、墨字は、現代まで残っている

 わけですから、アリーたちのハゴイタでも、

 墨が乾いてしまうと、洗ってもなかなか落ちないのは、

 当然かもしれません。

 


蛇足2.寒さ


 すごく、寒くなるらしいですね。


 給湯器の配管が、凍ることもあるそうです。

 ガス会社が、凍結を防ぐ対策をホームページに載せて

 注意を呼びかけているとか・・・。


 今、世界中で半導体不足が言われていますよね。


 あれ、ガス給湯器にも使われています。


 給湯器の配管が、凍ると、故障の原因になります。

 しかし、半導体不足で、ガス給湯器の新規購入は、

 春くらいまで、持ってきてもらえません。

 

 注意を呼び掛けるなら、そこまで書いて欲しいな

 って、ちょっと思いました。


 半導体を使って、制御する物は、出来るだけ壊すな。

 ということですね。



蛇足3.報告徴求命令


 なんか、すごくかっこいい命令を見つけました。


 が、内容的にあまり面白くないので止めておきましょう。

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