1-17. 西の辺境へ
ビックリした。私、貴族 だった みたい。
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教会の司祭を 傷害することは、国教である ホームカンシ教に 盾突く行為。
平民が これを行うこと、すなわち 死刑。
恐ろしいことに 家族も連座し、死刑に なっちゃう。
イアンが 教会の司祭、あの凝視男の 右腕を吹き飛ばしてから 1ヶ月。
私は、無事、西の辺境の 村にいる。
[美容師の娘] 【 1-17. クハラーナの村 】
ヘドファン伯爵領、クハラーナの村は、王都ソアーとは 比較にならない
ド田舎。
しかし、村の割には、大きく ある程度 栄えている。
実に 中途半端。
驚いたことに、クハラーナの村は、イアンの領地であるという。
さて、王都での司祭傷害事件、ほぼ殺人未遂だったがお咎めは、なかった。
驚いたことに イアンが、西の辺境ヘドファン伯爵の弟であったことが
その理由。
教会側も 騒ぎにしようとせずに 引き上げ、イアンも 何も言ってくれない。
今、私の目の前に居る、とぼけた老人クハラーナ・ガネッセは、
この村の代官。
実際には、この周辺の 統括官といった 存在みたい。
ガネッセと 初めて会ったときは、衝撃だった。
「フャリーひゃまは、継承権ふぁありひゃせんが伯爵家の縁者とふぃて
扱ふぁれますぃ」
えーと・・・何言ってるか、わかんないですよー。
ガネッセは、発音が おかしく「ひゃふぃふゅふぇひょ?」が 間に入る。
通訳が 必要だ。と本気で 思った。
で、「ハリー様は、継承権ふぁありひゃせんが伯爵家の縁者とふぃて
扱ふぁれますぃ」は、
「アリー様は、継承権はありませんが、伯爵家の 縁者として 扱われます」
ということ だったみたい。
それでも 私は、賢い。
1ヶ月たった今は、きちんと 発音を 聞き取れるように なっている。
ガネッセは、傷害事件が 起こって 1週間もたたずに 王都にやって来た。
これってすごいことで、西の辺境から 王都まで、馬を替えながら
寝ずに走ってきたことになる。
教会側との 折衝も、王都の お店の後始末も、引っ越しの 準備も、
ガネッセが 全部 手配してくれた。
あっ、美容院の 後始末っていっても、売ったり してないよ。
私が、美容師になるまで ガネッセに 管理してもらってる。
で、お咎めは 無しとなったんだけど、
私たちが そのまま 王都ソアーで暮らすのは 都合が 悪かったみたい。
私たちは、自主的に王都を離れ クハラーナの村に 移住することになった。
教会側との 話し合いも、ガネッセがしてくれたから、
なぜ事件が 起こったかも 分かってると思うんだけど、教えてくれない。
それでも、ヒントだけは もらった。
全然 わかんないけど。
ウェンディが 最後まで持っていた、金色をした 金属のプレート。
教会の入館証が 何か意味があるみたい。
「これは、事件の原因でも ありますが、
アリー様を 守ってくれるモノでも あります。
絶対に 無くさないように 持っていてください。(翻訳済っ!)」
こっち着いて しばらくして、ガネッセから 金のプレートが渡された。
たぶん、ウェンディの 遺品だから、私に 持たせておこうって
意味もあるんだと思う。
教会のモノだから、持っているのは、けっこう 複雑な気分 だけどね。
そして、イアンの状態が ちょっとだけ 良くない。
時々 起こってた 手足のしびれ。
アレって 本当に 昔から症状があったみたい。
私が 重かったわけじゃない! これ大事。
イアンは、村の館で 静養を 続けている。
私は、美容院の お手伝いがなくなって暇。
館でガネッセから 色々なことを 教えてもらっている けれど、
つまんないのよね。
と、言うことで お出かけタイム。
クハラーナの村を ぐるっと まわってみることにした。
ビックリしたのは、水道が ないことよね。
館は、蛇口のついた 水道を使ってるの。
王都のお店も 水道だった。
でも、村の人たちは、井戸を使ってる。
井戸もね、ポンプだったら 楽なんだろうけど、鶴瓶っていうのかな?
ロープと滑車みたいなのを 使って 引っ張り上げるタイプ。
こういうのを 見ると、ここは辺境の村なんだなぁって 思っちゃう。
そこに居る おばあちゃんなんて、鶴瓶を 使って
何回も 水を汲み上げているから、手のあかぎれが パックリと傷口を
あけてしまって 見ているだけで痛そう。
思わず 近寄って 行っちゃった。
「ちょっとだけ、手を見せて」
ビックリしてる おばあちゃんの手を 見せてもらう。
おばあちゃんの 手を 包むように 手を 広げる。
手の平から 淡い水の泡が ふわりと 飛び出す。
イオンミストが、おばあちゃんの手を包み 潤いを与える。
水魔法だ。
そのまま、火魔法を コントロールする。
温めるのだ。
あったかい イオンミストで 血行を良くする。
痛みも ちょっとは 楽になるはず。
「あっ、しもやけに なるかもしれないから、水分は 拭き取ってね」
ちゃんと 注意しておく。
ふと見ると、周りに人だかり。
みんな、手には あかぎれの 傷口があって、大変だね。
全員の 手をケアしてをして 終わるまで、すごーく時間が かかっちゃった。
でも、いい仕事した と思う。
久しぶりに お仕事して ご満足で館に帰る。
怒られた。
さすがに 女の子が一人で 日が落ちるまで 村を歩き回るのは 危険らしい。
まぁそうね。
ちょっと 遅くなったから、これは 仕方ないかも。
翌朝、お寝坊をしていると、お昼前に いつもの女中さんじゃなくて、
ガネッセが 起こしに来た。
着替えて、パタパタと 門の所まで 走っていく。
お野菜の小さな山と、イノシシさんが 転がっていた。
あぁ 昨日の おばあちゃんもいるし、井戸の所にいた おじちゃんもいる。
ありがとうって、獲った獲物と 収穫した野菜を 持ってきてくれた みたい。
こっちが ありがとうだよ。
夜は、猪の鍋。おいしく いただきました。
辺境だけど、田舎だけど、あたたかい村。
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私は、7歳の誕生日を そんなクハラーナの村で迎えた。
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人の 傷口には、必ず 塩を塗り込む って人は、
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以前から、私は、手洗いの 回数が 多かったです。
ハンドソープも 使っていました。
アルコールの消毒も、なぜか していました。
それでも 手は荒れたことなかったんですが、
12月、手がカサカサになる 荒れ方をしました。
去年のはじめから、ハイターを 多く使うようになった ため でしょうね。
生まれて 初めて あかぎれが出来るかもしれない って思ってます。