2-105.カジノ革命 13
『ポカーン-ファイブ』は、配られた数字やマークを揃え、ハンドと呼ばれる5枚の手札で出来る組み合わせを作り、できた手役の強さを競う フラワーカードを用いたゲームだ。
なんと、52枚のカードから、5枚のカードを選ぶ組み合わせは、2,598,960通りもある。
このため、ゲームには、頭脳と精神力が 求められる。 その要素ともに、もう1つの大きな特徴を持つことから、このゲームは、とても人気を集めている。
その特徴とは 何か。
それは、プレーヤー同士が勝負することだ。 通常、カジノでは、客は、カジノと勝負を行う。 しかし、『ポカーン-ファイブ』では、同じテーブルに着席する客同士が対戦する。 1回の勝負で、そのテーブルで勝つのは1人。
それでは、ライリューンカジノで 大人気の『ポカーン-ファイブ』『ライリューンホールデムルール』を、初心者の方にも、出来るだけ分かりやすく ご説明しよう。
まずは、基本ルール。
プレイヤー毎に配られた2枚のカード。 これは、その個人だけが使用できるカード。 つまり、あなただけの 専用カードだ。
その他に 使用されるのは、テーブルに公開される 1試合に5枚の共有札。 これは、全てのプレイヤーが、利用する。
この、計7枚を組み合わせから、任意の5枚で手役を作り、手役の強いプレイヤーが、勝ちとなるという訳だ。
それでは、1度、このゲームに 挑戦してみよう。
1.カードを 伏せた状態で、参加プレイヤー全員に、カードが 2枚ずつ 配られる。
あなたに配られた手札2枚。「3」「5」 ※このカードは、ほかのプレイヤーには、隠されています。
2.参加プレイヤーは、配られた2枚のカードを見て、他のプレイヤーに勝てると思ったら、チップを賭けることができる。 また、勝てないと思ったら、勝負から 降りることも できる。
あなたの判断。 撤退せずに、勝負する。 チップを賭ける。
3.勝負するか どうかの判断を、順番に 全員が決定していく。
4.全員の賭け金が揃ったら、ディーラーの前に 表向きにカードが3枚、公開される。 これが、共有札である。 今回、公開されたのは、「2」と「3」と「10」。
手札 「3」「5」
共有札「2」「3」「10」
決定している手役 「3」のワンペア
作ることが出来る手役 「2 3 4 5 6」のストレートなど
5.参加プレイヤーは、共有札3枚と、自分の手札2枚を合わせて、狙うことのできる手役を考える。 前回と同じように、賭けるか 降りるかを 判断する。
あなたの判断。 降りずに、勝負する。 チップを賭ける。
6.全員の賭け金が揃ったら、ディーラーが、表向きにカードを1枚、公開する。 4枚目の共有札である。 公開された、新たな共有札「6」
手札 「3」「5」
全ての共有札「2」「3」「10」「6」
決定している手役 「3」のワンペア
作ることが出来る手役 「2 3 4 5 6」のストレートなど
7.参加プレイヤーは、共有札4枚と、自分の手札2枚を合わせて、手役を考えて、 前回と同じように、賭けるか 降りるかを 判断する。
あなたの判断。 降りずに、勝負する。 チップを賭ける。
8.全員の賭け金が揃ったら、ディーラーが、表向きにカードを1枚、公開する。 最後の共有札である。 公開された、最後の共有札「4」
手札 「3」「5」
全ての共有札「2」「3」「10」「6」「4」
完成した自分の手役 「2 3 4 5 6」のストレート
9.前回までと同じように賭ける、もしくは、降りることを決定する。
このように、ディーラーによって 場に公開された 5枚の共有札と、自分が持っている 2枚の手札の7枚。 このカードを組み合わせて手役を競って、賭けを 行うこととなる。 勝負するのは、 降りずに 最終的に残っている 参加プレイヤー同士。 途中で 自分以外のプレイヤーが 全て降りてしまった場合も、残ったプレイヤーが、勝ちとなる。
さて、『ポカーン-ファイブ』『ライリューンホールデムルール』では、ウィナー テイク オール の方式が 採用されている。 つまり1人の勝者が、賭けられたチップ 全てを総取りすることに なるわけだ。
さて、手役は、「23456」の「ストレート」である。 ここで勝負するのかどうか?
決定するのは、あなただっ。
[美容師の娘] 【 2-105.スリーセブン、スリーカード 】
私の名前は、キユカ・タナー・シズミ。 4コマ形式のイラストを 王都で公開して活躍する イラストレイターだ。
今日、私が来ているのは、王都で評判を呼んでいるライリューン商会のカジノ。 アタリヤ商会の撤退に伴い、リニューアルされた このカジノでは、今、斬新なフラワーカードのゲームが、大人気だ。
このフラワーカードは、私の 4コマイラストの ネタになるっ。 そう思った私は、迷わずカジノへと 飛び込んだ。
向かう先は、2階の中ほどに位置するテーブル。 そう『ポカーン-ファイブ』だ。
手持ちの小金貨を、専用チップに交換した後、椅子にこしかけ、テーブルにつく。
このテーブルでは、賭け金として、1回に 最大60枚まで、賭けることが 出来る。
レイズと呼ばれる、追加の賭け金アップは、3回 行うチャンスがある。 さすがに 3回もレイズされると、かなりの高額に なってしまうが・・・。
テーブルには、すでに 数人が着席しており、空いた椅子に、私が座ると、ディーラーが、それ以上の参加者を 打ち切る宣言を行った。
ゲームの開始である。
よくシャッフルされた、フラワーカード1組が、カードシューに 収められる。
カードシューは、大量のカードを使用するゲームで用いられ、フラワーカードを ランダムにシャッフルした後、収納する箱型の入れ物だ。 ここに収納されたカードを、ディーラーが 抜き取り、ゲームで 配ることになる。
テーブルに着いている、スーツの男性に1枚。 老婦人に1枚。 赤いシャツの男に1枚。 私に1枚。 眼鏡の女性に1枚。 そして、太った男に1枚。 順番に、カードが配られていく。
逆回りで、さらに、全員に1枚ずつ。
合計2枚の手札が、配られた段階で、最初の 強制賭けを 行わなくてはならない。
この 強制賭けは、スモールブラインドと 呼ばれる。
きれいに積まれた 手元のチップから、老婦人は、10枚のチップを出した。
次いで、赤シャツが、ビックブラインド。 10枚のチップに対する 同数賭けだけではなく、追加賭け金アップが 強制される。
ビックブラインド ~ 賭け金アップ
赤いシャツの男が、追加したのは、チップ20枚。 これで、次に並ぶ参加者は、10枚プラス20枚で、30枚の 同数賭けを行うか、さらに追加の掛け金アップを行うか、勝負を降りるかを、選択することとなる。
そう、次に 並ぶ 参加者・・・私が、選択するのだ。
私の手札は、「ハートの7」と「ダイヤの6」。 正直、勝負から降りるべき手だと思う。 どう考えても、弱い。 しかし、初回は勉強だ。 流れを確認するために、勝負することにする。
コール ~ 同数賭け
同数、つまり 30枚のチップを差し出す。 さあ、他の参加者は、どう出るか・・・。
フォールド ~ 勝負から降りる
手札が良くなかったのであろう。 眼鏡の女性が、勝負から降りた。 この女性の ゲームの参加は、ここで終了だ。
そして、残った男、おデブさんが、コールを告げた。 同数賭けだ。
レイズ ~ 追加 賭け金アップ
さて、スーツの男は、さらに、30枚のレイズっ。 追加賭けを 行う。
これに対して、老婦人がコール。プラス30枚のチップを前に出す。赤シャツ、私、おデブもコールした。
10+30+30+30+30+60+30+30+30+30=280
この段階で、テーブルには、280枚のチップが積まれている。
さて、不正防止のために1枚カードを破棄したあと、ディーラーが、3枚のカードを公開した。 共有札だ。 公開されたのは、「ハートのA」と「ダイヤの9」と「クローバーの7」。
「ハートのA」「ダイヤの9」「クローバーの7」
私の隠し持っている手札は、「ハートの7」と「ダイヤの6」である。
んー。 7のワンペアか・・・。弱いっ。 引きが、弱すぎる。
さぁ、第2ステージだ。 老婦人は、30枚のチップを前に出した。 次いで、赤シャツもコール。 私も、コールを告げる。
いや、弱すぎて、コールしたくは ないんだけれども・・・。 まずは、勉強。 勉強だ。
おデブさんは、フォールド。
スーツの男は、強気だ。 30枚のレイズを告げた。 これに対して、老婦人はコール。 赤シャツもコール。 私もコール。
ごくりと、つばを飲み込む。 コールされた、チップが、山となって 積まれているのだ。
ディーラーは、不正防止の1枚破棄を行った後、次の札を公開する。
「ハートの4」
何もない・・・。 役に立たないカードが、4枚目の 共有札であった。
老婦人が、30枚。 赤シャツが コール。 私も コール。
そして、スーツの男が、コールに加えて、60枚のレイズ・・・。 どんどんと、レートが 上がっていく。 老婦人が コール。 赤シャツが コール。
・・・私は? 私は、どうする???
レートが、ドンドン 上がっていくことで、コールするか どうかの 判断に悩む。 勉強のためとはいえ、この程度の札で 勝負すべき なのだろうか?
コール ~ 同数賭け
私の選択は、勝負する。 初志貫徹である。
私のコールを受けて、ディーラーは、前と同様に不正防止の1枚破棄を行った後、最後の札を 公開する。
「スペードの7」
最後の共有札が めくられた瞬間・・・。
「ふぃぃっ。」
思わず、変な声が、漏れ出てしまった。
私の手札
「ハート の 7 」
「ダイヤの6」
共有札
「ハートのA」
「ダイヤの9」
「クローバー の 7 」
「ハートの4」
「スペード の 7 」
もう、お分かりだろう。 7のスリーカードの 完成である。
老婦人も、赤シャツの男も引く気配はない。 コールが続く。 私は・・・レイズだっ。 スリーカードで、降りてやるわけには いかない。
スリーカードの組み合わせは、54,912通り。 これが、成立する確率は、2.1%である。
賭けを行う上で、大切なのは、自分の手札の強さの把握だ。 弱いカードである にもかかわらず、ドンドンとツッコむのは、ただの 無謀な素人である。 しかし、自分の手札が、強いにもかかわらず、リスクを恐れて 冒険しない者も、敗者の道を 歩むことになる。
私は、勝者の道を 選ぶっ。
レイズ ~ 追加賭け 60枚
ふふんと笑いながら、チップを積んでやる。 さぁ、これで、スーツの男は、どうする?
レイズだっ。
なんと、リレイズで、賭け金を アップしてきた。 お前、一体どんな手だ。
老婦人は、フォールドしたので、私と、スーツの男と、赤シャツの勝負になる。
赤シャツの手札は、「ハートK」「ダイヤK」。 共通札の「7」と合わせて、ツーペアだ。
「K」「K」「7」「7」
そして、レイズを重ねてきたスーツの男の手札。 おそらく、強力な手札に違いない。 実質、この男と 私の勝負だ。
男が、自分の 手札を公開する。
「ハートの2」、そして・・・「ハートの3」
・・・・・・おっさん、ブラフかいっ!
ブラフ・・・。 それは、空脅しである。
なんと、スーツの男は、役ひとつ無い手札。 このような ブラフを入れてくるとは、とんでもない人間だ。恐ろしい。
しかし、結果は、私の勝利だ。 ディーラーが、テーブルに積まれたチップから 10枚抜いた後、スタッフが、残りのチップを 私の元に運んできた。 抜かれた10枚は、テラ銭と呼ばれるカジノの取り分だ。 なんと、たった一勝負で、私は、数千枚の小金貨を 得てしまった。
いや・・・。 まだ小金貨ではない。 後で、換金した時に、その価値を持つチップを手に入れただけだ。 勝負が終わるまでは、チップは、ただのチップ。 現金ではないのだ。
チップが、チップの間は、それを紙クズだと 思わなければならない。 チップを鼻紙のように、扱うことが出来ない人間に、勝利は無い。 勝負は、まだ続いている。 チップを、ティッシュのように、繊細に、ただし、軽く扱うのだ。
次のゲームが 始まる前に、カジノスタッフに 飲み物を頼んだ。 ここでは、銅貨30枚以上を 交換した客は、飲み物が 無料になる。 ワインなどの アルコールもあるが、ここは、ノンアルコール。 アルコールが入ると、正しい判断が、出来なくなる。
少し、赤味のかかった冷たい飲み物が、私の手元に届き、カップホルダーに収められた。 甘いイチゴの香り匂う。 イチゴ風味のスッキリとした味の 清涼飲料水だ。 甘さは、控えめ。 しかし、少量の糖分が含まれていることから、頭の回転に必要な エネルギーの補給に なるだろう。
渡された お手拭きで、手をぬぐう。 さらに、顔をぬぐう。 ニュッと 飛び出てきた カジノスタッフの手に お手拭きを渡す。 至れり尽くせりだ。
ブラフを仕掛けてきた スーツの男の目は、血走っている。 老婦人は、気品を保ったまま 次の勝負が始まるのを待っている。 チップを失った赤シャツが、現金を取り出し、新たなチップを購入している。 被害の少なかった 眼鏡の女性は、平静なまま。 おデブは、空調の効いた この場所でも、汗を 拭いている。
よくシャッフルされた、フラワーカードの1組。
ディーラーによって、新たなフラワーカードが 収められたカードシューが用意され、トンッと言う音とともに、テーブルにセットされた。
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さぁいくぞっ。 次のゲームの始まりだ。
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ポーカー分かんないよって人は、高評価を押して次の話へ⇒
いやぁ、書いてて、自分でも分からなくなります。
蛇足1.ポーカーの役の解説
ロイヤル・フラッシュ Royal Flush
最も強い手。
ストレートフラッシュの中でも、
10、J、Q、K、Aの数字が、揃うこと。
ロイヤル・ストレート・フラッシュとも言う。
ストレート・フラッシュ Straight Flush
5つの数字が並んでいて、マークも、
5枚とも同種類になること。
フォー・カード Four Card
同じ数字が、4枚揃うこと。
フル・ハウス Full House
下に記す、ワンペアとスリーカードが
同時に、揃うこと。
フラッシュ Flush
数字は、関係なく、同じマークが、5枚揃うこと。
ロイヤル・ストレート Royal Straight
10、J、Q、K、Aの数字が、揃うこと。
この役を、採用しないルールが、多い。
ストレート Straight
2、3、4、5、6のように、5つの数字が並ぶこと。
マークは揃わなくていい。
J、Q、K、A、2のように、
Aから2をまたいだ場合、無役とするルールが多い。
スリー・カード Three Card
同じ数字が、3枚揃うこと。
キユカ・タナー・シズミは、『ポカーン-ファイブ』で
7、7、7を揃えて、スリーカードを成立させた。
ツー・ペア Two Pair
下に記す、ワンペアが、2組できること。
ワン・ペア One Pair
同じ数字が、2枚揃うこと。
無役
上記の役を作ることが出来ない手札
カードの強さ
A>K>Q>J>10>9>・・・>3>2
同一の役、あるいは、無役の場合、
カードの強さをもとに、ランクの大小を決める。
蛇足2.通貨の単位を100万分の1に
チップが、チップの間は、それを紙クズだと
思わなければならない。 チップを鼻紙のように、
扱うことが出来ない人間に、勝利は無い。
チップをお金で考えてしまうと、必要なときに
押せなかったり、逆に、怖がって引いてしまったり
すると言われています。
そのため、賭け事をする人は、チップは、チップ。
お金は、お金。と分けて考えるそうです。
南米のベネズエラでは、現在の通貨の単位を
100万分の1に切り下げるデノミネーションが
行われました。
インフレ率が、年率1750%といいますから、
大変です。
インフレを抑制するためのデノミだと言いますが、
チップではなく、お金が、価値を替えてしまうとは・・・。
ベネズエラの人も、ビックリしてい・・・
・・・なさそうですね。
すでに2008年に通貨の単位を1000分の1に、
2018年に10万分の1に切り下げるデノミを実施済み。
国民は、銀行のデビットカードや、アメリカドルを使って
対応しているそうです。
うん。したたかですね。
蛇足3.郵便
はがきや手紙などの普通郵便、10月2日から土曜配達を
取りやめました。
さらに、1月からは、翌日に届く地域はなくなります。
速達や書留、宅配便などは、土曜・日曜や祝日も配達し、
速達については、10月から、料金を1割程度引き下げ
ていますので、バランスが取れていますね。
ただ、せめて午前中に中央郵便局に直接持って行った
封書くらいは、管轄地域には、翌日に配達してほしい
気持ちがありますけどね。
蛇足4.なぜだか、野球の筒香選手・・・
筒香選手、1日のレッズ戦で4打数1安打1打点。
これで、パイレーツに移ってから、120打数33安打
25打点の、8ホームラン。2割7分5厘。
来年も、メジャー残留できそうです。
よかったよかった。