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2-103.カジノ革命 11

私の名前は、ロヒ・イマサ・ナーカ。


フルーク王国で、ちょっとした 芸能活動をしている。


芸能活動というものは、なかなか、休みが取れない。


それだけに、たまの休みは、嬉しい。


そして、その たまの休みは、ちょっとした趣味に走る。


そう、アタリヤ商会のカジノだ。


クルクルと回る回転輪(リール)


数字が揃った時の快感は、言葉では表せない。


その後に食べるうどんも、うまいのだ。


そう、アタリヤ商会の地下には、うどん店がある。 なんとも、奇妙な場所にある店だが、味は、折り紙付き。 今日も、勝利のうどんを すするために、あの場所へと 向かうのだ。


帽子をかぶり、眼鏡をかける。 ちょっとした変装。


人というものは、髪型や、眼鏡、あるいは服装が少し変わると、ガラリと印象が、変わってしまう。 この程度の変装でも、芸能人と 気づかれないためには、十分な変装となるのだ。


馬車に揺られながら、備え付けの鏡を確認する。


んー。 我ながらいい男だ。 今夜は、事件の匂いがするぜっ。




[美容師の娘]  【 2-103.アッコにおまかせ!  】




久しぶりに来たカジノは、いつもと全然、違った。


というのも、まず、建物の姿かたちが 違う。


壁は白塗り、らんらんと、炎に照らされている。 幻想的なシルエットは、炎の瞬きと ともに 揺れ、夢の空間へと 私を誘う。


何と言うことだろう。 内装も、全く変わっているではないか。 以前の 殺伐とした賭場の感覚が一掃され、高級感しか 感じない。


んー。 私は、あの雑然とした感覚が、好きだったのだが・・・。


おやっ、スロットマシーンが、新しくなっている。


コインの投入口は・・・。


ん? あぁ、チップを購入する制度なのか。 以前は、銅貨をそのまま投入できたのだが・・・。 いつの間に、現金ではなく カジノチップを 賭けるようになったのだろう?


スロットマシーンの横には、自動でチップを購入できる機器が備え付けられている。 しかし、私は、対人でチップを販売している キャッシャー=換金所 を 利用することにした。


良く分からない場合は、人に聞くに限るのだ。


親切なことに、設置された大きな掲示板に、交換比率が、書かれている。



丸い穴が開いた ブルー丸チップが、銅貨1枚。


三角形の穴が開いた ブルー角チップは、銅貨10枚。


ひし形の穴が開いた ブルー菱チップは、銅貨100枚。


同様に、レッドチップは、小金貨1枚、10枚、100枚。



なるほど、上手く できている。


「銅貨30枚以上を交換されますと、飲み物が無料になります。

 大変 お得ですので、おススメですわ。」


キャッシャーに立つ 美しい女性が、掲示板を 指しながら言う。


なんと、ワインまで無料になるとは・・・。 これは、面白い システムだ。


「では、ブルー角チップを 100枚お願いしよう。」


小金貨1枚を、渡すと、100枚のブルーチップが、持ちやすい カゴにザラリと 放り込まれた。


「大量のチップを得て、カゴに入らないようならお呼びください。

 スロットマシンの横に 呼び出しボタンが ございます。

 すぐに、スタッフが、参りますので。

 それでは、幸運をお祈りいたします。」


カゴを手に、ブルー角チップのレートの台へと 移動する。


このエリアでは、スロットマシンごとに 最低賭け金が決められていて、その金額は スロットマシンに 記載されている。


うーん。 初めて見る機種だ。 当然、どれが良いかなど、見て分かるわけがない。 ひとまず、やってみよう。


マシーンに、角チップを 投入する。


「Bet Credit」のボタンを押すと、ぐるりーんと、マシーンの回転輪が、回り始めた。


ん? なんだ? 止まらない?


3つ隣の 椅子に腰かける 男性を見る。 ボタンを押している? なんと、自分でボタンを押して 止めているのだ。


以前は、コインを入れてレバーを引くをだけで、自動的に止まる 回転輪の絵柄や数字は、自分でコントロールすることは できなかった。


面白いっ。 まさか、自分で絵柄を揃えられるなんて・・・。 夢中でボタンを押すっ。


チェリー チェリー チェリー


3つの サクランボが並ぶと、ジャラジャラと、角チップが、出てくる。 それを掴むと、そのまま マシーンに、投入する。


30分ほど、経っただろうか? 私のカゴは、ブルー角チップで いっぱいに なっていた。


カラーアップ してもいいな。


チップを、レッドチップなど、高額チップへと 交換することを、カラーアップと言う。 これは、先ほどの キャッシャーの女性が、教えてくれた 言葉だ。


「Call」ボタンを押す。 呼び出しのボタンだ。


ほとんど、待たせることなく、スタッフの女性が 現れた。


「カラーアップ したい。

 全て、レッド丸チップに してくれないか?」


レッド丸チップは、小金貨1枚に 相当する。


カゴの山は、小さくなったが、そこに入った チップ1枚の価値は、100倍。 ピリピリと、緊張感が 高まる。


「あぁ、ありがとう。」


両替しきれず、余った ブルー角チップを1枚、スタッフに ポイっと投げた。 チップだ。


チップで、チップを 渡したわけだ ってな。 ふっ・・・。


レッドチップに 換えたわけは、簡単。

賭け金の高い スロットマシンへと 移動するのだ。


立ち上がり、レッド丸チップゾーンへと 行こうとした 瞬間である。


私の足が 止まった。


行ってはいけない。 見ては いけないものを、見つけてしまった。


前髪が、眉毛にちょうどかかるくらい。 どんぐりヘアのその女性は、色眼鏡をかけ、マスクをしている。 どこから見ても 不審者だ。


マザー・アキコ。


芸能界のご意見番とも呼ばれる この女性は、長身から発せられる パワフルな歌声が特徴の 歌手でもある。


触らぬ神に祟りなし。 アッコに触れるな。

その通りである。 見つかったら、どんな無理難題を 言われるか・・・。


音を立てぬよう 気配を殺し、そぉっと 後ずさる。


「お客様、どうなされました?」


動きが 不審だったのだろう。 先ほどのスタッフが、声を かけてきた。


「レッド丸チップで 遊べる面白い台は、ないかと思ってね。」


なんでもないですよ。 ちょっと面白い台が無いか、探していただけですよ。 と言った感じで、何もなさげに装い、手を 目の前で 軽く振る。


「あぁ、それなら、こちらは いかがです?」


女性が、案内してくれたのは、パーテンコと書かれた、銀の玉が、飛び交うエリア。


「新しい 遊技機です。

 スロットマシンと、ピンボールが融合した感じです。

 面白いと 評判ですよ。」


説明を聞くのも そこそこに、台にレッドチップを 放り込むと、ジャラジャラと、玉があふれてきた。


なるほど、この玉を 打ち出すのだな。


ガラス板で 覆った盤面には、多数の釘が打たれている。 私は、小さな玉を 左下から弾き出す。 真鍮釘に、ぶつかりながら玉は、コロコロと 落ちる。


真ん中に設置された、入賞口に球が入ると、抽選開始だ。


さぁ、入ったぞっ。 クルクルと、真ん中の スロットが 回り始める。


「これは・・・ 自分では、止められないんだな。」


以前の スロットマシン同様、こちらの回転輪を とめるボタンは、無いようだ。


きゅぃー。 ぴたっ ぴたっ ぴたっ。


スイカ スイカ スイカ


おぉ、いきなり 3つのマークが、揃ったでは ないか。


ちゃっちゃらららららーん。


派手な音が鳴り響く。 大当たりだ。 ジャラジャラと 音を立てて、大量に飛び出てくる玉、玉、玉。


こいつは、すごいっ。 刺激的すぎる。


「わぁ、すごいですね。」


いつの間にか、隣の台に座っていた女性が、声を かけてきた。


「いえいえ、たまたま ですよ。」


玉が、たまたま、入っただけですよ ってな。 ふっ・・・。


「友達と 来てたんですけどぉー。

 どうも2階に行っちゃったみたいで、はぐれたんですよね。

 ウロウロしてたら、すごい音がして、びっくりしました。」


ははぁ。 友達と、卒業旅行か何かで、カジノへ遊びに来たか。 なるほど、そんな季節だしな。


「まぁ、運さえあれば、誰でも できますよ。

 やってみますか?」


私も、初めての体験だが、そんなことを言う必要はない。 じゃらりと 自分の前の玉を掴むと、女性の台に、放り込んだ。


「打ち込んで、ごらんなさい。

 見ているだけでも、楽しいですけどね。

 やってみると、もっと楽しい気持ちに なれますよ。」


「えー。 うそっ。 ここを弾くんですか?」


女性が、左下から玉を打ち出す。 あぁ、弱すぎる。 これでは駄目だ。


「ほらほら、それじゃ ダメですよ。

 ここの釘に当たるように 強く打ち出してごらんなさい。」


「あっ。 今のじゃ 弱すぎるんですね。

 えいっ。」


女性が、良い位置に玉を打ち込んだら 褒め、悪い位置ならば、元の良い位置に戻るよう 誘導する。 これを繰り返すうちに、ドンドンと 玉が、 真ん中に設置された、入賞口に 飛び込み始めた。


クルクル クルリンと、回転輪が 回る。


「んー。 おしいっ。」


7・・・ 7・・・ チェリー


チェリー・・・ チェリー・・・ スイカ


2個までは、何とか揃うが、最後の絵柄が、上手く 合わない。


「あぁ。 やっぱり、私では、無理なんですね。」


「そんなこと ないっ。

 もう、ちょっとじゃ ないですか。

 あと1個そろえば、大当たりですよ。」


私が口にした、その時、1個の玉が、真ん中の入賞口に 飛び込んだ。


いつものように、回転輪が、回る。 くるりん くるくるりん。


7・・・っ、7・・・っ、もう、ひとつっ・・・ ななぁぁぁぁぁ!


7 7 7 !


スリーセブンが、揃ったのだ。


ちゃっちゃららららららららぁんー。 らららららららーん。


さっき、私が 大当たりを引き当てた 何倍にも 感じるほどの、派手なファンファーレ。


「きゃあぁぁぁ。 すごーいっ。」


「いやぁ。 すごいっ。 やったねっ。」


さりげなく、肩に 手を回す。


「あぁ、ごめんなさい。 ありがとうございます。

 ほんとに、楽しかった。

 じゃ、玉を お返ししますね。」


女性は、出てきた玉を 私に返そうとした。 そうはいかない。


「いえいえ、あなたが、大当たりを 出したんですよ。

 どうぞ、そのまま お持ち帰りください。」


さっと 手を伸ばし、「Call」ボタンを押す。


「こちらの玉を チップに換えて 差し上げてくれたまえ。」


駆け付けたスタッフに、女性の台の玉を、チップに交換するよう求める。 素早くチップを用意したそのスタッフは、彼女にカゴを差し出した。 もちろん、レッドチップが、山積みである。


「えー、いただいじゃって、いいんですかぁ?

 私、銅貨1枚、使ってないんですよぉ。」


「どうぞ。 お持ちください。

 あなたの 今までの善行が、幸運を 呼んだんですよ。」


「うそぉ。 嬉しいっ。

 初めてのカジノで、こんな 素敵な体験ができるなんて。」


「そうですか。 初めてだったんですね。

 どうです? 上の階には、素敵なバーが・・・。」


確か、1月ほど前に、上階のバーで、かわったビールが 飲めると 案内があった。 この感じなら、一緒に お酒を飲むくらいは、出来そうだ。


「あっ。 ゴローンちゃんっ。」


私が、上階のバーへと 彼女を誘おうとした その時、彼女が 立ち上がって、手を振った。


「あれ? どうしたんだい? そのチップ。」


「こちらの方が、やり方を 教えてくださったの。

 あっ、こちら、婚約者の ゴローンちゃんです。」


え・・・? こ・・・婚約者? お・・・ 男?


「優しい地元の人に出会えるのも、旅のだいご味だね。

 どうも、ありがとうございます。」


「い・・・ いえ・・・。」


言葉が、出てこない。


「そうよ。 ゴローンちゃん、ひどいよぉ。

 私を置いて、2階に 上がっちゃうんだもん。

 この方が居なかったら、私どうしようかと思ってたもん。

 もぉ、プンプンだよっ。」


「ごめんって。

 どうしても、ルーレットにチャレンジしてみたかったんだ。

 おかげで、すっからかん だけどね。」


「もぉ、私は、こんなに勝ったのにっ。

 ゴローンちゃんは、だめねぇ。

 いいわっ。 私が、おごってあげる。

 食事に行きましょっ。」


「あっ、肉が食べたいって思ってたんだ。

 来る時に、焼肉が出来る村が、あっただろ?

 あそこに行こうよ。」


「無理よ。どれだけ 距離があると思ってるのよ。

 ほんと、ゴローンちゃんは、駄目駄目っ。

 私が、一緒に居てあげないと、生きていけないよっ。

 あっ、じゃ、失礼しますね。

 ほんとに、楽しかったです。どうも、ありがとう。 」


「ハハ・・・ハハハ。 良い旅を・・・。」


力なく手を振り、無理やり表情筋を緩める。 彼女の姿が 見えなくなるまで・・・・。



******************************



2人の姿が消え、振っていた手を降ろした瞬間、グイッと肩が、掴まれた。


そこに居たのは、どんぐりヘアの 長身の女性。


「アッコさん・・・。」


「何も 言わなくていい。

 どうだ? うどんでも 食いに行くか?」


何も言わなくていい・・・。 そう・・・何も言わなくても・・・。 何度も、アッコさんは、繰り返す。


「こんな日には、うどんだ。

 ひやあつ もいいが、あつひや もいい。

 いっしょに 稲荷寿司なんか、頼むのもいいな。

 何にする?」


地下のうどん店に向かう階段でも、黙り込む 私の肩を叩きながら、アッコさんが、しきりに 話しかけてくる。


アタリヤ商会の マークの付いた、のれんを くぐる。


「ほら、メニューだぞっ。 なんか選べよっ。」


私たちは、地下のうどん店の 4人掛けのテーブルを、2人で占拠した。


私の前には、メニューが 広げられている。


「ほら、どれに するんだっ。」




=== ===== === ===== ===



「アッコに・・・ おまかせで・・・。」


私は、小さく つぶやいた。



=== ===== === ===== ===

昨日、結婚した人は、高評価を押して次の話へ⇒



 蛇足1.誰が結婚したの?


 「嵐の桜井翔さんと、相葉雅紀さん結婚。」


 一瞬、同性婚か・・・って思ってしまいました。


 嘘です。思いませんでしたが、ニヤッとしました。


 そんなニュースを見ていたら、


 フルーク王国で、芸能活動をしている


 ロヒ・イマサ・ナーカと、


 だれかと、結婚を予定している女性の話が、


 出来てしまいました。




 蛇足2.小室さん結婚


 結婚繋がりですが・・・。


 小室哲哉さんが、結婚されるそうですね。

 あっ違う。その人は、音楽を作ってた人です。

 

 違う小室さんが、結婚するそうです。

 

 外国人から見て、不思議に感じるのは、騒動が起こることではなく、

 皇族女性が、誰と結婚するにしても皇室から追放されることだとか。


 なるほど、おもしろい見方ですね。



 蛇足3.スズメは害鳥?


 中国各地で電力不足が深刻化し、

 電力の使用制限や停電が起きているそうです。


 石炭価格の高騰した上に、

 温暖化対策でCO2排出量の削減目標に

 地方政府が過剰対応したせいだとか。


 広東省では、電力不足から製造業の工場で、

 操業を停止や減産が起こったり、

 吉林省吉林市では、来春まで断水が頻発する

 と発表されるなど、大変な事態に。


 習近平政権は、2030年までに

 二酸化炭素排出量を減少させること、

 2060年までに実質ゼロとする国際公約を

 掲げているそうです。


 そして、電源構成の約7割が、火力発電。


 止めたら・・・停電が、起こりますね。


 一方、工場の操業停止などで、空は

 きれいになったそうです。


 煙が出なくなったからですね。



 スズメ打倒運動は、打麻雀运动と中国語で書きます。

 全文字表示されるか、不安になる漢字ですね。


 伝染病を媒介し穀物の種子や果実を食害するスズメを

 害鳥として、撲滅することを目的としたものです。


 毛さんって人が、スズメを指差して、害鳥だって言ったら、

 そうなったという話まであります。


 ケさんって、面白い読み方ですね。

 あぁ、モウさんって読むんですか。間違えました。


 その、毛沢東さんの時代。

 スズメは、倉庫や水田で、1羽あたり、年間4ポンドの

 穀物をついばんでいると批判され撲滅運動が続きました。


 転落や銃の誤射による事故が多発、毒入りの餌により

 他の動物も、巻き添えで死にました。

 

 そうして起こった事態は、飢饉です。


 天敵のスズメが居なくなり、急増したワタリバッタなどにより、

 農作物を荒らされ、穀物は、ドンドン不作に。


 1500万から4500万人が、飢餓で亡くなったと言います。。

 まぁ、これには、他の原因も多くあったようですが・・・。


 最終的に、当時のソビエト連邦から25万羽のスズメを輸入して、

 個体数を補充したそうです。


 いやぁ、本末転倒ですね。


 と、言うことで、停電ですか。


 最終的に、ロシアから、天然ガスを使った火力発電で作った

 電気を輸入するようだと、歴史が繰り返す感じになるのですが、

 さて、どうなることでしょうか?

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