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2-101.カジノ革命 9

王都に近い場所で、私たちの馬車と、荷馬車が止まった。


「また、トンネルを掘るの?」


お尻をさすりながら、馬車を 降りる。


前と違う小屋の中。 そう、ナカヨシは、地下トンネルを 掘り始めたのだ。


「そうじゃな。理由は、いくつかある。

 まずは、渋滞じゃ。」


200台近くの荷馬車が、そのまま 王都に入ってしまうと、だたでさえ、ごった返している 王都の道路事情が、さらに悪化する。


渋滞を引き起こす原因には なりたくない。 地下通路を使うのには、そういう理由があったのだ。


「それに、税も安くなる。」


王都を出る際にはかからないのだが、王都に入る際、荷馬車の積載内容に高級な品物があった場合、その量に応じて税を徴収される。 地下通路を通ることで、この税の徴収を回避することが出来る。


「・・・脱税?」


「いやいや。

 法では、王都の門を通過する際に 徴収と書いてある。」


基本的に、民間人は、王都の門をくぐらなければ、王都には入れない。 商隊の荷馬車が門を通らないことなど、普通は無いのだ。


ワインを荷馬車で運んできた人間が、外から勝手に地下通路を作って、そこから王都域に侵入することなど、法律を作った人たちは、想定してなかったのだろう。


「まぁ、税などは、払ったらよいのだがな。

 時間が、問題なのじゃ。」


「時間? ・・・何の時間?」


「ワインの数と、質を検査されるのじゃ。」


100万本を優に超えるワインをチェックしようとしたら、1日や2日では、済まない。


普通、王都へ大量のワインを積んで帰還する場合、事前に持ち帰るワインの量の申請を行い、それに伴う金額を支払う。


そうした後に、荷馬車の検査を受けるのだ。


申請書類の内容と、実際に持ち込もうとしている品に、違いがないかどうか。 量に間違いはないか。 禁止の品を、こっそり紛れ込ませて持ち込もうとしていないか。 いろいろと、細かくチェックされる。


「ただでさえ、この検査は、時間がかかる。

 じゃが、面倒な事にのぉ。

 賄賂を支払っていないと、書類審査も時間がかかるのじゃ。」


なるほど。 どっちかと言うと、地下通路を作る意味は、検査と審査の時間をカットすることにあるんだね。


「まぁ、そうじゃ。

 ほかにも、意味があるが、また今度教えよう。」


商売って、色々とメンドクサイね。




[美容師の娘]  【 2-101.地下トンネルと魔力鍵 】




無事、倉庫まで、白ワインたちをお届けしたら、氷を入口に作った横穴に埋める。


ここまでは、前回と一緒。


「さて、入り口を、ふさぐかの。」


「ふさぐの?」


「さすがに、これでは、不用心じゃ。

 荷馬車の御者も知っておる。

 御者たちに、ふさぐところを 見せるのじゃ。」


そう、穴をふさぐところを、御者たちに見せることで、このトンネルは、両方とも、使えないよ。って 思わせるためにも、穴は、閉じておかなければならない。


まずは、前回の カヤオマ州側の入り口。


土魔法で、ドンドンと、大量の土を穴の向こうに作り出して 埋めた後に、石壁を作って、穴を完全にふさぐ。


次は、コウ州側の入り口。


同じ方法で、完全にふさいでしまう。


「よし、これで、だれも穴を使うことは 出来まい。」


「そうね。 御者の皆さんありがとう。

 これで解散よ。」


テレサさんの解散の合図で、地下倉庫の階段を、御者の皆さんが、ラバを曳いて上がっていく。


このくらいの段差を上っていくのは、ラバもできるんだね。


「で、この荷馬車、どうするの?」


そう。地下倉庫に、大量の荷馬車と、馬車と馬が、残っている。


さすがに、馬は、登れないでしょ。 あの階段。


邪魔だわぁ・・・。


「解体するわよ。」


え・・・?誰が?


手首に、テレサさんの左手が、巻き付く。 逆の手首には、ナカヨシの右手。


「じゃ、ナカヨシ、アリー。 お願いね。」


ふぇぇぇ・・・。


もくもくと、木魔法で、荷馬車を解体する。 バラバラに・・・。


「あぁ、アリー。 全て壊しては、いかん。

 こちらの大きい2台は、残す。」


ラバ8頭で曳く 大型の荷馬車は、解体しないらしい。


「解体した部品は、この荷馬車で、運び出すでの。」


どっからよ。 地下トンネルの穴、ふさいじゃったでしょ。


「ん? 開ければよい。

 今後、使わぬなら、全て埋めなければ 意味がないじゃろう。

 土を少し放り込んで、壁を作っただけじゃぞ。

 そうじゃ、そちらを、先にするか。」


木魔法を使って、荷馬車を解体する手をとめ、さっき作った壁の前に立つ。


使うのは、土魔法。 サラリと砂のように石壁が崩れ落ちた。


「よし、土を処理するぞ。」


ナカヨシが、手をかざすだけで、さっき作った、大量の土が処分されていく。


「アリー。 壁を固めて石化せよ。」


「壁って、トンネルの壁?」


「そうじゃ。 間違って崩れたり、掘り起こされたら困る。

 出来るだけ 固い岩盤状態にする。

 天井は、ワシがやっておくので、両壁を頼むっ。」


ふわりと、飛翔魔法を展開し、ナカヨシが、トンネルの天井に張り付いた。 手を触れるだけで、天井が、石化していく。


あぁ、なにか、金属も入れてるね。 何かの土木工事で、掘ろうとしても固くて掘れないだろうね。 あれじゃ。うん、たちが悪いわ。


ナカヨシを真似して、両壁を石化させる。


「その、黒色の金属みたいなのは、何?

 どやったらいいの?」


「これは、炭素じゃな。 木魔法で作ることが出来る。」


炭素を六方晶系状に、3次元に格子配列させる。 そう、最密充填構造を取ることで、密度を大きくするのだ。 シクロヘキサン環を、いす型に配座連結させた上で、一部に、ふね型配座をとらせることで、硬度を大きくさせている。


これ、純粋なロンズデーライトという物質らしい。


この石のような炭素の塊は、色が黄褐色透明、とてもキラキラ輝いている。


しかし、このキラキラ物質、ダイヤモンドと間違われては、逆効果。 そのため、ナカヨシは、炭素を六角板状結晶構造、亀の甲状の層状に構成させたもの・・・黒色で金属光沢ある物質で、ロンズデーライトを包み込んでいた。


アリーの目に、黒色の金属を埋め込んでいるように見えたのは、このためだ。


この黒色物質は、割ってしまうと、層状に剥離するが、触れると、手が、真っ黒に汚れてしまう。 間違って、ここを掘り起こそうとしても、固い石に阻まれる上に、黒色物質で、体中、真っ黒に汚れる。


とても、掘り起こそうとは、思わないだろう。


「そうじゃな。 鉛筆の芯の部分と一緒じゃ。」


ん? ん? ん? それ・・・って、黒鉛でしょ。


そっかぁ、木魔法で、黒鉛って作れたんだね。


ロンズデーライトは、構造が難しすぎて、私では、理解できなかった。 でも、黒鉛なら作れる。


だから、両側の石壁の外には、黒鉛と土を混ぜた黒っぽい土の層を作りあげて、固めた。 こうすることで、少なくとも、掘れば、汚れる。 ここを掘ろうとする人たちは、いやぁな、気持ちになるだろう。


こうして、私たち二人と、馬たちは、カヤオマ州側の小屋まで、たどり着いた。 うん。馬車を曳いていた馬は、地下倉庫の階段を登れないから、トンネルを、ポクポク歩かせて、こっちまで移動してきたんだよね。


「よし、魔力鍵をつくるぞ。」


ウェンデ(はは)ィの小さな手さげの巾着袋。 以前、私は、金色のプレートをあの袋にいれた。 魔力鍵によって、小さな手さげの袋は、私の 魔力と 同調した波 で なければ、開かない 袋となったのだ。


ナカヨシは、同じ仕掛けを、トンネルに、施そうとしている。


小屋に、トンネルの入り口を、2個作る。 そして、トンネルの一部を二股に分ける。


「そちらの入り口から、100メートルほどでよい。

 お主の魔力で、鍵化し、封印せよ。

 こちら側は、ワシの魔力で、封印する。」


わぉっ。規模が大きい。 100メートルの手さげ巾着袋だ。


こうすることで、ナカヨシが居なくても、こちら側から出入りできる。 私が居なくても、ナカヨシが居れば、向こう側から出入りできる。


魔力を込め、鍵化が終わると、地面を平にならして、元に戻す。


これで、ただの地面にしか、見えない。


「よし、次は、コウ州側じゃの。

 飛翔魔法で、移動するぞ。」


~ カイネースっ ~ 増えよ酵素


~ ファスファアレェションっ ~ リン酸化


私のスニップスのリン酸化と違い、ナカヨシの眠りの魔法は、5分程度しか 時間が かからない。


馬たちを 眠りにいざなうと、馬を浮かせた上で、飛翔魔法を展開し、アンターナッハ商会の倉庫へと戻る。


スヤスヤのお馬さんは、テレサさんに預けて、地下トンネルへ。 さっきと同じように、コウ州側トンネルも、壁を強化し、向こうの小屋の入り口にも、魔力鍵を付ける。


ふぅぅ。 長かった。 でも、このあと、まだ 残っている荷馬車を 解体しなきゃダメなのよね。


飛翔魔法で、王都へと戻る。

アンターナッハ商会の倉庫に 降り立ったったころは、もう夕方。


あぁ、おなか減ったよぉ。


「解体して、荷馬車に積む作業までは、終わらしておくぞ。」


無慈悲なナカヨシの言葉が、頭に響くっていうか、おなかに響く。 ぐぅぅぅぅ。



=== ===== === ===== ===



はいっ、おわったの真夜中でした。


あぁん、おなか減ったし、眠いよぉ。



=== ===== === ===== ===

予約投稿を間違えたと思った人は、高評価を押して次の話へ⇒


※活動報告へのコメントありがとうございます


 本日、投稿したのは、コメントが嬉しくて、急いで書き上げて投稿した・・・


のではなく、とりあえず書けたので、予約投稿で仮に上げようと思ったものを間違って、投稿したものです。まっいいか・・・。

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