2-96.カジノ革命 4
うーん。 頭がくらくらしてきた。 血が足りないのかな。
勝てないっ。
おかしいよ。 なんで、ライレーンも、ライリューンも、そんなに勝てるのよ。
「ひょっとして、アリー、カウンティングしてないの?」
「カウンティング?」
「使ってしまったカード枚数を、カウントするの。
数えておくことを カウンティングって言うの。」
「は? そんなの覚えられるわけないじゃない。
カード1セットで、52枚あるのよ?
それを、6セット使って、ゲームしてるのに 無理でしょ?」
「あぁ、それじゃ 勝てないねぇ。
ボクですら、してるのに。」
「じゃぁ、アリー、ハイローカウンティングから覚えようか?」
ベインティウナ21で、重要になるカードは、K、Q、Jのカードと、10。
いわゆる絵札だ。
これらは、全て、10として扱われ、枚数も、1セットに12枚と多いため、これらが、2枚組み合わさった場合、20となり、強い手札となる。
また、もう一つの大切な札は、A。
これも、絵札と組み合わさると、21=ベインティウナとなり、ほぼ勝ちが確定する。 しかも、ベインティウナでの勝ちに対する支払いは、2倍。
ライリューンによると、少なくとも、これらのカードの残り枚数を、ある程度把握しておくことは、ベインティウナ21で遊ぶ場合の最低条件らしい。
「だけど、そんなの覚えられないって。」
「だから、簡単にそれを数える方法が、ハイローなの。」
10、J、Q、K、A。
これらの重要カードが、場に1枚現れたら、「マイナス1」。
逆に、2,3,4,5,6の、低価値カードが現れた場合は、「プラス1」。
こうして、数えておくと、計算した数字が、数字が10以上のプラスの時は、10、J、Q、K、Aのカードを引きやすい状態となり、自分が子の場合、有利な局面となりやすい。
反対に、マイナス方向に傾くと、自分が子の場合は、不利な局面となる。
逆の立場から考えると、親であれば、数字がプラスに傾くと不利、マイナスだと有利になる仕組みだ。
10以上の絵札「ハイカード」と、6より下の「ローカード」の数をカウントすることから、「ハイローカウンティング」と呼ばれるテクニックだ。
「プラスマイナスが、動いていない前半は、分からないけれどね。
後半になると、ほとんどの場合、局面が どちらかに動く。
プラス10を超えたら、子の時、攻撃の局面ね。
大きく小金貨を賭ければ、儲かる可能性が高い。
マイナスの時や、良く分からないときは、前に出ない。
損する可能性が高いからね。」
ちょ・・・ずるーい。 そんなの勝てるわけないでしょ。
「ハイローカウンティング」を教えてもらったことで、小鳥さんが、チュンチュン言う頃までに、負けを少し取り戻すことが出来たものの、今回も、ライレーンと、ライリューンの勝ち。
やられた・・・。
[美容師の娘] 【 2-96. 類似カードを導入しよう 】
うーん。 うーん。 うーん。 困った。
子の時の必勝法があるなら、このベインティウナ21というカードゲームを、カジノに取り入れるのは、難しいかもしれない。
カジノにおけるカードゲームは、収益性が高いと思う。 だから、ベインティウナ21も、その一つにしようと 思っていたんだけれど・・・。
10、J、Q、K、Aの枚数が、分かっちゃうと、お客さんが、有利になるのよね。
プレーヤーや カジノのスタッフによる詐欺行為が起こる可能性があるから、カードゲームにおいて、カードは、カードシューというケースに収納した状態から、ディーラー と呼ばれる カジノのスタッフ により、お客さん=プレーヤー に 配ることになる。
カード1セットで、52枚。 これを6セットだから、計312枚。
お客さんの目の前で、新しく封を切った 6セットのフラワーカード。
これをシャッフルして、カードシューに放り込んで、そのまま使っちゃうと、ライリューンの「ハイローカウンティング」の餌食になる。
部屋の床に、オリジナルフラワーカード 52枚を、キレイに並べる。
そして、市販のフラワーカード 53枚を、その隣に、並べる。
市販のカードが、1枚多いのは、リマオ と呼ばれるカードが、入っているため。
リマオカードは、赤い帽子をかぶった髭のオジサンの恰好をした絵柄のカードで、トランプのジョーカーみたいなカードとして扱われる。
リマオ? そうだ 。リマオカードを使おう。 リマオカードを1枚 用意しておいたらいいんだ。
6セット312枚を、ディーラーが、シャッフルして、カードシューに放り込む。
312枚じゃ多すぎるという理由をつけて、お客さんの誰かに、リマオカードを、カードシューに入っているカードの、半分より後ろの位置に、差し込んでもらう。
ゲームを開始して、カードを配っていき、カードシューから、リマオカードが、現れたら最終ゲームにする。
リマオカードの出現を、その6組のカードを使うゲームの終了の合図として 使うのだ。 そして、その次のゲームからは、新しい6組のカードを使う。
これを実行したら、使わないカードが出来るので、残っているカード枚数は、正確には、分からなくなる。
お客さんの誰かが、リマオカードを差し込むのも、公平さを保つ最初の儀式みたいで、受け入れてもらえそう。
んー。
でも、まだ弱い。 ライリューンの「ハイローカウンティング」で、これでも残っているカードに絵札が多いかどうかは、バレちゃうはず。
絵札、絵札、絵札・・・。 10のカードが、残っていると カジノ側が、弱いのよねぇ。
あっ。
・・・除けちゃえばいいんだ。
どうせ、キョーテンドウで、オリジナルのカードを作っているんだから、新しいカードを作っちゃえばいい。
うん。 絵札抜きカード。
Aは、もう仕方ない。 どうせ4枚しかないし、残す。
10、J、Q、Kの12枚が 入っていないカードを 作ってもらおう。
で、代わりの12枚に、「リマオカード」に似た絵札を入れる。
似たカード、似たカード、似たカード・・・類似カード。
「ルイジカード」って名前で、いいや。
リマオカードが、赤い帽子をかぶった髭のオジサンの恰好をした絵柄のカードだから、ルイジカードは、緑色だね。
赤い帽子をかぶってオーバーオールを着用し、鼻の下に口髭を生やしているオジサンと、緑の帽子のオジサンが2人、小さな車=ゴーカートに乗っている 図柄のカードで、いいかな?
おじさん2人の絵柄だから、カードの「2」として扱う。 これを12枚。
このルイジ12枚入りカードを1組と、普通の52枚カード5組。
ライリューン商会のカジノでは、ベインティウナ21をする時は、この6セットを使うことにしよう。
そうすれば、「10のカード」12枚が減って、「2のカード」12枚が増えることになるから、カジノ有利になるもんね。
でも、これだけじゃ、お客さんが、不利になるだけだから、ゲームの人気が落ちる。 喜ばれるルールを入れなきゃダメ。
そこで、採用するのが「ルイジカード」の大逆転ルール。
お客さんが、ルイジカードを使って、勝った時は、2倍の金額もらえるようにするの。 要は、21=ベインティウナでの 勝ちに対する 支払いと同じ扱いにするってことね。
こうしておけば、違ったカードが1組入ることに対する不満より、2倍チャンスアップのカード12枚が入った、お得感が、増すはず。
よし、明日、キョーテンドウに、発注しようっと。
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アンターナッハ商会の製作所。
「テーブル?」
「うん。 このテーブルでいいよ。」
カジノに、ベインティウナ21を導入するの見通しが立ったため、専用テーブルを作ろうと思う。
と、言っても、1から用意するのでは、時間がかかるし、数が揃わない。 ベインティウナ21用のカジノテーブルは、大量生産される既存のテーブルを加工することで、確保することにした。
元となるテーブルの大きさは、幅2400mm×縦1200mm×高さ750mm。
ひもとペンを結び、片方をしっかり押さえたまま、ひもをピンと張って、クルッ。半円を描いた。
「じゃ、これカットしてもらえる?」
天板を半円形にカットする。
やすりをかけて、きれいに整えたら、穴あけだ。
テーブル部分の真ん中に、チップを入れるケースをセットできるよう穴を開ける。
ゲームで使用したカードをしまう箱= ディスカードホルダー も取り付けられるように、くぼみをつける。
よし。
これが出来たら、色塗りだ。 全てをキレイに黒塗りして乾かす。
テーブルのふちに、高級感のある黒革を巻き、クッション性がある 腕置き=ハンドレスト とする。
勝負の時に、腕や肘を置く場所が固いと、勝負に集中できないもんね。
また、錆びず、メンテナンス性の良い木製の漆塗りカップホルダーをハンドレストの外側に組み込む。これで、飲み物がこぼれるなどの事故を防ぐのだ。
テーブルに貼るゲームマットは、表面をフェルト化した羅紗。
もちろん、Dealer Must Draw to 16 and Stand on 17の文章を入れる。
ディーラーは、自分の手が16までは、次のカードを引きます。自分の手が17を超えたら次のカードは引きませんと言う意味。これを入れることで、初心者でも一目でルールが分かる。
賭け枠は、7箇所つくる。1つのテーブルで、最大7人勝負できるようにするのだ。
んー。これで試作完了。
じゃ、ここにある100台のテーブルを、加工しておいてね。
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さぁ、次は、「アレ」をどうにかしないとダメだね。
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献血をしたことがある人は、高評価を押して次の話へ⇒
蛇足1. 献血からの血液製剤
うーん。 頭がくらくらしてきた。 血が足りないのかな。
献血で提供された血液。
その血液が、問題を起こす感染症にかかっている人から提供された場合、
そこから作られた血液製剤は、当然、回収されます。
献血した人の感染感染が判明した時点で、72日間以内であれば。
どうやら、回収期間のルールが、72日間って決まっていたみたいです。
去年、B型肝炎ウイルス感染症のある人から、献血された血液によって作られた血液製剤が、60代の男性に使われ、肝炎を発症したそうです。
献血した人の、B型肝炎ウイルス感染症感染が判明した日は、その人の献血から84日経過していたため、経過していたと言うことで、72日ルール外のために回収されなかった血液製剤が、その原因となったとか。
んー。全部、回収して欲しいですね。
って思ったら、14日、専門家による調査会が開かれ、その人の血液から作った血液製剤を過去にさかのぼってすべて回収するようルールを見直す予定だそうです。安心しました。
まぁ、アリーの世界では、献血は、なさそうなので、頭がくらくらして、 血が足りなくても、輸血は出来なさそうですが・・・。