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2-85.アタリヤショック 7

大変だった・・・。


作ったエステルを、魔法で 再現する。


色々なアルコールを出すのは、簡単だった けれど、お酢を、水魔法で作るのは、難しい。


ようやく、魔法で、9種類のエステルを作り出せたのは、深夜。


もう、寮には戻らず、研究室で寝よっかな・・・。


ぐぅ。zzZ。


そして、朝が来るのが、早すぎる。

まだ、頭が、起きてないよっ。


「では、次の課題にうつろう。

 今日は、リナロールと、デカラクトン。

 それから、フラネオールを 作ることに するぞ。」


え? まだ作るの?


「思っていたより、アリーが、優秀なのでな。

 ワシの 知識と技術を すべて覚えて もらうつもりじゃ。」


いやいや、私、飛翔兵のチョコ とか 作りたくないし。


「アレは、わしが、作ったわけではない。

 ワシが 作ったのは、魔王草研究物質までじゃ。」


同じような物でしょ。


まぁいいや。 リナロールね。


私は、研究室で、再び試験管を、振り、あぶり始めた。


かちゃかちゃ。 メラメラっ。 ボンッ。


あっ、爆発したっ。




[美容師の娘]  【 2-85.火を噴く温浴恒温槽 】




日雇いの作業員の口から、廃棄の話が、外部に漏れては、まずい。

給金は、通常の1割増しで、支払う。


これも、地味に、イタいっ。

アタリヤ商会の資産としては、支払いに対して、十分のものがあるのだが、いかんせん 使える現金が減っていくことで、商会の体力が、ドンドン削られてゆく。



ずるずると、うどんを すする。


「クッキー、どうなんだい?

 ずいぶんと、荷馬車で、何かを 運んでいるようだが?」


インナ・ゲーガラヒは、麺を打つ手を止めて 尋ねた。


「んー? 改装だよ。改装っ。

 やはり、遊技場というものは、全く同じでは、飽きられる。

 少しずつ、新しい区画を作って、古く人気の落ちた区画は除く。

 それが、顧客の リピートに つながるからな。」


インナ相手に、強がる必要はないけれど、どこから情報が洩れるかは、分からない。 無難な回答で、お茶を濁す。


「それならば、いい。

 カジノで遊んだ後、うどん店に来る人も居るんだが・・・。

 あんまり、いい話を 言ってなかったからね。」


「ま・・・負けたのだろうな。

 台を 蹴飛ばす 程度は、見逃すさ。

 こっちまで来て、暴れるようなら、対処する。

 何かあったら、上まで、言いに来てくれ。」


「いやいや、そういうのは 無い。

 ちょっと、気になっただけだ。」


ふぅ・・・。 背中に 汗が流れる。


ずずずっと、最後の1滴まで汁をすすると、クッキーは、カジノの地下駐車場のうどん屋を、そそくさと 後にした。




******************************




ボンっ。


うーん。 いくつか いい匂いの香料は、出来たんだけどねぇ。


魔法で、濃縮しようとすると、爆発する。


困った。


・・・困っていると、ナカヨシが、何やら 大掛かりな装置を 持ち出してきた。


「何? この大きなの。」


「エバポじゃ。

 過程を飛ばして、魔法で 作ろうとするから うまくいかない。

 まずは、これで、濃縮の過程を 理解すべきじゃな。」


ロータリーエバポレーター、通称エバポは、減圧と、加熱で、液体の沸点を低くして、効率よく成分を濃縮する 蒸留装置だ。


濃縮する試料を、ナスフラスコに、放り込む。

ナスフラスコは、茄子の形をしたフラスコ。


受け部分に、大きな丸底フラスコを くっ付ける。

それでは、濃縮開始っ。


ナスフラスコを エバポに設置し、温浴恒温槽(ウォータバス)の 水の中につける。


減圧開始っ。 ナスフラスコを、高速回転っ。 最高速でっ。


くるくる、くるくるくる。


ボンっ。


あっ・・・。 ナスフラスコの中の液体。 唐突に、沸騰した試料が、噴き出して、逆流してしまった。


あーん。 めんどくさいよー。

きれいに 装置全体を、溶媒で洗って、やり直し・・・。


今度こそっ。

ナスフラスコを設置し、減圧開始っ。


ナスフラスコを、高速回転っ。

最高速・・・だと、さっきみたいに 突沸しちゃうから、ゆっくり 回しておこう。


くるん・・・ くるん・・・ くるん・・・。


おそっ・・・。


「アリー。 いるー?」


「あっ。 ライレーン。 どうしたの?」


「ライリューンが、こっちに 来てない?」


「来てなーい。 なんかあった?」


「アリーの所に行く って 言ってたんだけど。

 まぁいいや。 ここで待たせてよ。」


「いいよぉ。 お茶でもしよ。

 じゃ、実験室じゃなくて、休憩室のほうで・・・。」


くるん くるん してる、ナスフラスコを放置して、お隣の 休憩室で、ゆっくりする ことにした。


ライレーンが、持ってきた 桃の皮をむく。

ふっくらと 丸くて、赤く 色づいた感じ。

手に持ってみると、産毛が、ちょっとチクチクする。


「みずみずしくて、おいしそう。」


「結構、香り強いね。」


「あっ、それ違う。

 さっき、作った匂いだ。」


酢酸エチルと、リナロールと、ウンデカラクトンと、デカラクトン、イオノンとダマセノン。


さっき、休憩の時に、作った香料の試験管を6本、いい匂いだから、休憩室に 持ってきてたんだよね。 置きっぱなしにして、忘れてた。


「ちょっと、戻してくる。」


トコトコと、お隣にある、私の実験室に 戻る。

ん? 焦げ臭いっ。

あぁっ、装置が、火を噴いてる。


慌てて、回転する装置を とめ、手から 魔法で二酸化炭素を、発生させる。

火を噴いていた、温浴恒温槽は、すぅぅっと 鎮火された。


いやぁ、危なかった。

ナカヨシ研究室って、有機溶媒が、いっぱいあるから、燃え始めたら、たぶん スゴい火災に なるんだよね。


まぁ、この装置、ずいぶん 使い込まれて、年季が入っているものね。 火を噴いても、おかしくないか。


窓を開け、風魔法で、煙を 外に流し出す。


よしっ。 証拠隠滅、完了。


「ん? 何をバタバタしておる?」


「え? 普通に濃縮してただけですけど?

 あれ? これ、匂いが無い。」


ナスフラスコの中には、濃縮されて、べとべとで、ちょっと白っぽいドロドロが 入っているけれど、匂いがしない。 おかしいな? クルクルしたから、濃くなっている はずなのに・・・。


「当り前じゃ。揮発成分は、そっちには、入っとらん。」


ナカヨシが、丸底フラスコを 外す。


「ほれ、嗅いでみよ。」


気化した成分を 受けるための、丸底フラスコには、透明の液体が、溜まっている。 そぉっと、フラスコに、鼻を近づける。


「あーっ、こっちは、すごく 匂いがする。

 捨てる方 なのに?」


「気化した成分が 液化したものじゃ。

 香りは、揮発しやすい。 当然、こちらに移る。」


あぁ、なるほど。 そういうことね。


「魔法で、濃縮して、香り成分を取り出す時も、同じじゃ。

 捨てる方を 取り出す イメージで 行う。

 それが、成功の秘訣じゃ。」


あぁ、なるほど。 そういうことね。

っていうか、こんな実験させずに、言葉で 説明してくれたら 分かったよ。

時間、かかり過ぎだって。


「イメージが、大切なのじゃ。

 スニップスのリン酸化の魔法で、わからぬか?

 30分もの時間が かかるのは、理解しておらぬからじゃ。

 現象を理解することが、魔法の発動時間の短縮に つながる。

 回り道をするほうが、早い場合もあるのじゃぞ。」


はいはい。 あっ、ライレーン忘れてる。

ナカヨシ、じゃ、ちょっと コレ、このままにして、ライレーン 見てくるね。


「あっ、こら。

 あとで、片付けは、ちゃんと しておくのだぞ。」


ほーい。


・・・って、 残ってないぃぃぃ。


「いや、アリーが、遅いから、食べちゃった。」


5個もあった桃は、無くなり、テーブルの皿の上には、ただ、種だけが、カラリと 転がっていた。


「ライレーンの、ばかぁぁ。

 食べたかったのに・・・。

 もぉ、じゃぁ、実験室の片付け手伝ってよねっ。」


「ちょっ、関係ないでしょ。 それ。」


ライレーンには、器具を洗って、片づけてもらう。

私は、香りの試験管を 1本1本 並べる。


いや、魔力を通して、1個1個の成分を、覚えないと ダメだからねっ。

実験じゃなくて、魔法で 作れるように。



=== ===== === ===== ===



けっして、メンドクサイのを、ライレーンに 押し付けたわけじゃ ないよっ。



=== ===== === ===== ===



アリーが、今日、作った香料。


リナロールと、ウンデカラクトンと、デカラクトン、イオノンとダマセノン、フラネオール。

今日、桃を食べた人は、高評価を押して次の話へ⇒




 蛇足1.デカ、ウンデカ



 2-38.分厚い筋肉は、裏切らない 蛇足4.より

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/74/

 1から順番に数えてみてください。

 イチ、ニ、サン、し・・・ご・・・ろく・・・

 モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ 、ウンデカ、ドデカ


と、言うことで、デカは、10個。ウンデカは、11個。

デカラクトンは、ラクトン10個という意味ですね。




 蛇足2.はやっ。



8月15日までに、タリバーンが、全34州中9割にあたる31州をを支配下に・・・って。


「アフガニスタンの全34州中21州を14日までに、支配したそうです。」


って、一昨日書いたばっかりなのに。


1日で10個の州が、落ちてるじゃないですか。


首都カブールも、兵糧攻めどころか、早々に落ちちゃったみたいですし。


田舎を基盤とする政権ということで、農村部、山間部に強いのは、分かっていましたけれど、ここまでとは、ビックリです。


7月28日、タリバーン幹部バラダールさんが、天津で中国の王毅外相と会談をしています。この段階で、8月終わりまでに、アフガニスタン全土を落とす算段は、ある程度できてていたんでしょうね。


そして、タリバンは、初期に、パシュトゥーン地域の学生を主体に構成されただけあって、パキスタンと、関係が深いんですよね。


ともに、インドと国境問題を抱える、中国とパキスタンは、友好的で、関係を強化しています。


こうみると、主導権、中国に行っちゃいましたよね。


アメリカのアフガン撤退って、中国封じ込め政策の一環で、アメリカの力を集中させるためだったのに、逆に、中国の力を増やしてないかな?って思いました。




 蛇足3.45台


有機溶媒が、いっぱいあるから、燃え始めたら、たぶん スゴい火災に・・・ならなくてよかった


8月15日午前9時ごろ、東大の10階建ての2階と3階から火が出て、消防車が向かったそうですが、その数45台。すごいです。消すのに4時間もかかったそうです。


実験の準備のために、14日から薬品を温めていて、保温用の機械から火がでたということですが、燃え広がらなくてよかったですね。



 蛇足4.桃


竜とそばかすの姫って、映画が、公開されていますが、監督の細田守さんの映画って、全部、どこかのシーンで、桃が出てくるらしいんですよね。夏の一瞬を感じさせるために、旬の季節が短い桃を出すそうです。私なら、スイカを使いそうです。安易にスイカに走らないのが、テクニックなのか、それとも、桃に思い入れがあるのか、気になります。

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