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2-82.アタリヤショック 4

笑いが止まりまらない。


この稼働率は、どうだ?

遊技機の前には、人、人、人。


10種類までに増えた 回胴式遊技機の、総数は、なんと 200台。


客は、花から花へ飛び回る チョウのように、台を移動し、遊技を楽しむ。


ジェミニの案を受け入れて 導入した 遊技機。


大成功だ。


「遊技機の設置面積を、この5倍にするっ。

 もっと、種類を増やすぞっ。」


カジノのフロアマネージャーに、そう告げると、クッキー・オマヌータは、ニヤリと笑った。




[美容師の娘]  【 2-82.元に戻せっ。先週と同じ状態に 】




そこに、立っていたのは、若い二人組。

金色をした髪は、剣山のように 上にむかって そり立っている。

上からリンゴを落としたら、刺さりそうなくらいだ。


「この、TEって台、どっかで見たことないか?」


「見たことあるような。ないような。

 ただ、クソみたいな台だな。

 つまんねぇ。」


右足で、筐体を ガンっと 蹴り飛ばす。


「どこのメーカーが 出してるんだ?」


「筐体の横に書いてるだろっ。

 カエルスモッグ?」


「朝食のシリアルのメーカーだろっ。

 なんで、カジノのゲーム機を作ってるんだ?」


「おいっ、こっちのツツミマンは、ペットフードだぞ。」


ツツミマンと言う回胴式遊技機は、ケム・ニュートロニウム社が、製造したものだった。ペットフードの大手である。


「道理で、クソみたいなゲームだと思った。」


「銅貨も、飲まれるばっかりで、やってらんねぇ。」


「名前が違うだけで、どっちも同じようなもんだろ。

 なんで、製造メーカーが違うのに、そっくりなんだよ」


「こっちの金属装備製の、ウチュウゲームスも、クソだな。」


「コレ、まともな台の方が、少ないじゃないのか?

 チラシに、騙されたわっ。」


 ガンッ!


キック音が響き、2人は、遊技機の前から、立ち去って行った。




******************************




ずらりと並ぶ1000台の回胴式遊技機。


そのシルエットは、壮観だ。


ただし、そこには、先週まで 並んでいた客が 居ない。


「なんだ? この状態は・・・。」


クッキーは、キッと、フロアマネージャーを、にらんだ。


「ご指示通りに、台を 増やしたのですが・・・。」


「元に戻せっ。

 そうだ。200台がいい。

 10種類だ。10種類っ。

 50種類も必要ない。 先週と同じ状態に戻すんだっ。」


「しかし、今後も新しい筐体が、来ることになっております。」


「必要ないっ。メーカーに突っ返せ。」


「はぁ・・・。でも・・・」


「でも、は いらない。

 はいっ。YES。それ以外の 答えは 無い。

 今日の終了後、元に戻して おけっ。

 分かったな。」


「はい・・・。」


フロアマネージャーの 震える声は、とても 小さなものであった。




******************************



アリワーヌ・アント・ジェミニは、資金難で、この5日間カジノに来ることが出来ていなかった。


もう限界だ。 我慢できない。

クッキーから、資金を引っ張って、回胴式遊技機に向かいたい。


「クッキーさんっ。

 こちらが、2人の生徒の誓約書です。

 きちんと自署がありますから、大丈夫ですよ。」


そう、ジェミニは、カジノの上階にある事務所に 飛び込んで、クッキーに、誓約書を 見せようとしていた。


「そうですか。

 とりあえず、拝見いたしましょう。」


おかしい。

どうやら、クッキーの機嫌が、良くないようだ。

私のアイデアで、回胴式遊技機には、人が あふれていたはず。

何が起こった?


ガランとした、遊技場を見ていれば、分かったであろうが、ジェミニには、想像することが出来なかった。 人のいないカジノを。


「ライリューン・・・。ライレーン・・・。

 この署名は、なんです?」


「もちろん、学院の生徒の署名です。

 卒業までの支払いを、回避できますよ。」


「何を、言っているのです。

 必要なのは、エペイロ伯爵家、ヘドファン伯爵家の署名です。

 こんな2人の署名なんて、意味がありませんよ。」


エペイロ家、ヘドファン家・・・。

それは、いち教師ごときでは、手を出せる家ではない。


家だけではない。

おそらく、エペイロ家、ヘドファン家の生徒は、両王子の婚約者のことだ。


背中に 冷や汗が、流れる。


「わ・・・分かりました。

 そちらの 2人を、どうにか 致しましょう。」


無理だ・・・。 絶対 無理に決まっている。


そうだっ。

アドバイザー料だけでも、受け取ることが出来れば、今から、回胴式遊技機で遊べる。 まずは、そっちだっ。


「クッキーさん。

 それで・・・。

 私のアドバイザー料は、どうなりました でしょうか?」


「ふざけるなっ!

 下のカジノを見てみろっ。 誰一人として、遊んでやしないぞっ。

 何がアドバイザリー契約だっ。

 損害賠償を、請求したいくらいだ。

 学院の生徒への 支払いも そうだっ。

 生徒の卒業まで、支払い停止?

 署名を持ってきたと 言うから、見てやったらコレだっ。

 名前も聞いたことのない 生徒の署名が 2つ・・・。

 私を なめているのかっ?

 これ以上、顔も 見たくないっ。

 出ていけっ。」


「ひっ。 失礼いたします。」


ジェミニは、慌てて、部屋の外へと 飛び出した。



******************************



フロアマネージャーは、ドアの前で、逡巡していた。

事実を、主である クッキーに 告げるかどうかを。


その時っ。


「出ていけっ。」


 バタンッ


ドアが開き、人が 飛び出してきた。


「イタっ」


ぶつかってきたのは、王立飛翔師学院の教授。

カジノ中毒の要注意人物だ。


「・・・。」


教授は、何も言わず階段を下りて行ってしまった。


 ふぅ・・・


意を決して、部屋に足を踏み入れる。


「ん? どうした?

 あの教授が、何か言ってきたか?」


「いえ・・・。」


「なんだ? 早く言え。」


「実は、・・・」


「なんだと?

 なぜ、それを 早く言わないっ。

 どうするのだ。

 もう、明日、200台に戻すと、チラシを撒いてしまったぞ。

 やり直せんっ。」


「はぁ、しかし・・・。」


「そうだっ。荷馬車を用意しろっ。

 10台・・・いや15台だっ。」



=== ===== === ===== ===




その夜、王都のキテスサソエルパ地区のカジノ倉庫から、14台の荷馬車が、ゴトゴトと出発した。


馬車は、キューメシキコ州プリンアラモドルゴ市の砂漠へと向かった。


その先頭には、アタリヤ商会のカジノフロアマネージャーと、クッキー・オマヌータが乗り込んでいたと言われる。



=== ===== === ===== ===

私ならば、

もっと素敵な閉会式を演出できるって人は、

高評価を押して次の話へ⇒



 蛇足.閉会式


https://ncode.syosetu.com/n6487gq/114/


 オリンピュアス大祭は、盛大な閉会式と共に幕を閉じた。


 エイペロ伯爵家のオリンピュアスは、

 炎の前で 美しい舞を見せた。


 ロトロカデ広場では、

 オリンピュアス大祭の旗が、

 オリンピュアスから、

 ファン・アントニオ・モーツァルト会長へ、

 モーツァルト会長から

 マルタマクロン・アンヌダルゴ・フランソワへと

 渡された。


 赤い帽子をかぶったオリンピュアスの護衛が、

 手に抱えたボールを、塔の前に立つ エッフェルと言う男性に

 渡すシーンは、人々の涙を誘う。


 誰ともなしに、勇ましいエイペロ伯爵家の歌

 「ラララ・エイペロエーズ」が、歌われはじめ、大合唱となった。


 戦場に響く獰猛な帝国兵

 妻子らの命を奪わんと来たれり

 殉教者の血が王国の地を濡らすだろう

 武器を取るのだ、エイペロ家よ!

 進め!進め!

 帝国の血で大地を染めあげよ!


 ライリューンは、一人、貴賓室にたたずむ。

 大丈夫かしら? こんな歌を歌っても・・・。

 オリンピュアス大祭には、帝国選手も出場しているのに・・・。

 そんなことを、思いながら。


~07月31日 第114部分 2-78.スニップスのリン酸化 より



さて、8月8日、オリンピックの閉会式。


次の開催都市に オリンピック旗を引き継ぐ セレモニーがありました。


オリンピック旗が、小池百合子知事から、バッハ会長を経て、パリ市のイダルゴ市長に 旗が引き継がれました。


アンヌ・イダルゴ市長の面白いところは、スペイン出身のパリ市長って所ですよね。

この人、2014年11月7日に、財政的な負担の問題で、夏季五輪招致立候補反対と言っていたって所も、面白いです。


 それでは、まず、1個目のハードル。


   旗が、オリンピュアスから、モーツァルト会長へ。

   モーツァルト会長から アンヌダルゴへと 渡された。


 これで、OKとしましょう。ハードルクリアです。



閉会式では、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が流れる中、フランス国旗が掲揚されましたが、「ラ・マルセイエーズ」は、歌われませんでしたね。

なんと、オーケストラやピアノ、宇宙からの演奏で、国歌を流しました。

歌詞的に、歌いにくいだろうなとは、思っていましたが、こういう方法で問題をクリアしてくるとは、素敵なやり方だと思います。


 そして、フランスのライブ映像。

 会場からの、大合唱は、ありませんでしたが、


   誰ともなしに、勇ましいエイペロ伯爵家の歌

   「ラララ・エイペロエーズ」が、歌われはじめ・・・


 このハードルも、一応、クリアとしましょう。


さて、閉会式に戻ります。

この世を去った人に思いをはせる追悼の時間。

アオイヤマダさんが、踊りを披露しました。


 これも、


   エイペロ伯爵家のオリンピュアスは、

   炎の前で 美しい舞を見せた。


 で、OKですね。ハードルクリア。



そして、パリのライブ映像。

トロカデロ広場に設けられた特設会場では、五輪パブリックビューイング会場にたくさんのフランスの人たちと、フランスのメダリストたちが歓声を上げました。


 そのトロカデロ広場に設けられた特設会場・・・


   ロトロカデ広場では、オリンピュアス大祭の


 で、クリア。OKです。


さらに、パリのライブ映像。

エッフェル塔の周囲をフランス空軍の航空機がアクロバット飛行で、

トリコロールを披露しました。


 おっと、問題が発生です。


   赤い帽子をかぶったオリンピュアスの護衛が、

   手に抱えたボールを、塔の前に立つ エッフェルと言う男性に

   渡すシーンは、人々の涙を誘う。


残念ながら、今回の閉会式では、リオ五輪の閉会式で受け取ったあのボールをどうするか、5年越しの伏線回収は、してくれませんでした。


どうやら、ハードルを全部飛び越すのは、出来なかったみたいです。


何かやってくれると思っていたのに・・・残念。

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