2-81.アタリヤショック 3
「と、いう訳だよ。」
インナ・ゲーガラヒは、麺を打つ手を止めた。
「クッキー、信用ならないよ。あの教授は。」
まぁ、自分の打った麺を、小麦粉の塊だとか、ゴムだとか言われたら、嫌うのは当然だ。
「まぁ、やらせてみるだけの価値はある。
全くうまくいかなくても、ほとんど損は、無いだろう。」
「いや、新しい遊技機を入れるのだろう?
それは、お金がかかるのではないか?
失敗すると、どれだけ損が出るか。
堅実に石橋を叩いて渡らないくらいが、丁度いいのでは?」
「新規導入は、ほどほどにするさ。
もちろん、相当の成果が出るようなら、一気に増やすがね。」
「商売のことを、あなたに言うのは、釈迦に説法だったか。
しかし、まぁ、本当に、ほどほどで、頼むよ。」
インナが、また、麺を打ち始めたところで、クッキー・オマヌータは、席を立ち、上のカジノへと向かった。
[美容師の娘] 【 2-81.自分に ご褒美 】
「クッキーさん、見てください。この客数を。
たった2種類、たった20台遊技機を増やしただけ。
それだけなのに、これだけの人数が増えたんですよ。」
マネージャーが、駆け寄って来た。
「しっ。ここでそのような発言は、控えなさい。」
マネージャーを促し、上階の事務所へと向かう。
「どうなっている?」
「素晴らしいです。
初日、2日目ともに、新規導入した遊技機は、満杯。
人が、途切れることはありません。」
「なるほど、あの教授の言った通りか・・・。
それならば、増やしましょう。 種類を。
回胴式遊技機の 設置場所の面積を 5倍にします。
とにかく、種類を増やす。数を増やしなさい。」
「はいっ。 これは、スゴいことに なりそうです。」
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オリンピュアス大祭の休暇も終わり、学院は、日常を取り戻した。
いつもの毎日。
ただ、今日は、ちょっとだけいつもと違った。
アリワーヌ・アント・ジェミニ教授に呼び出されたのだ。
ライリューン、ライレーンの2人は、講義終了後に、教授の研究室へと向かうことになった。
「2人とも、すみませんね。
ちょっと気になる噂を、聞きましたのでね。」
ジェミニ教授の、持って回ったような言い回しに、いやらしさを感じる。
教授が、なかなか内容を切り出さないのだ。
「どんな噂なんでしょうか?」
間に耐え切れず、ライリューンは、教授に、その内容を尋ねた。
「2人が、賭博に手を出しているという 報告を受けたんですよ。
オリンピュアス大祭のね。
知っての通り 学院では、賭博行為を禁止しています。
噂とはいえ、そのような話が、教授会に入るとね・・・。
状況を、確かめなくては、なりません。」
たらりと、背中に冷や汗が、流れる。
オリンピュアス大祭の賭博が、学院で禁止されていたなんて 初めて聞いた。
「ボク、初めて聞いたんですけど、そんな規則があるの。
いつ決まった規則なんですか?」
ライレーンが、空気を読まずに、サクッと、尋ねる。
「あぁ、明文化された規則が あるわけではないですよ。
ただ、金銭問題を起こさぬための ルールですね。
学生の間の賭博は、禁止されています。」
「規則は無いけど、ルールがある?
良く分かんないな。 それ。」
うーん。 私は、下手なことを言わずに、この問題はクリアしたいな。 応対は、ライレーンに任せておいた方がいいかもしれない。
「まぁ、そこは、深く議論する部分ではありません。
賭け事に手を出しているという事実が、あるがどうか。
そちらですね。問題は。」
「ボクたち、そんなルール聞いたこと なかったからね。
参加しましたけど? ダメでした?」
「そうですか・・・。
負けが込んでいて、生活に影響が出ているなんてことは?
そういうのを防ぐためのルールですので。」
「あぁ。それなら大丈夫。 ボクたち、勝ってるから。」
「アタリヤ商会ですね。
支払いは、既に受けていますか?」
「うん。一部は、貰ってるし、残りの配当は、分割だね。」
「分かりました。
少し申し訳ないのですが・・・。
分割で、後払いの部分は、卒業後に 受け取ってください。
現在、受け取っているお金を 返す必要は ありません。
教授会の方には、ルールを 知らなかったことを 報告します。
よろしいですか?」
私たちは、ほぼすべての配当を受け取っている。 まだ、受け取っていないのは、わたしの、オフサイドポジションに賭けた競走馬スタディオン走の勝ち分くらいだ。 ライレーンは、スタディオン走では、賭けてなかったもの。
「はいっ。それなら大丈夫です。」
うん。 問題ない。
卒業すれば、受け取れるんだしね。
「それでは、こちらに署名をしてください。
こちらを、教授会に提出して、報告としておきます。」
私たちは、ペンをとり、サラリと署名を行った。
スタディオン走の配当は、金銭的に小さなものじゃないけれど、大部分の勝ちは、既に貰ってるもんね。
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私たちは、オリンピュアス大祭での賭博が
王立飛翔師学院の学生として、
相応しいものでないことを
知りませんでした。
本日、その行為が不適切であったことを知ったため、
配当残金の受け取りを、飛翔師学院卒業まで行いません。
王立飛翔師学院 ライリューン
王立飛翔師学院 ライレーン
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2人の生徒が、研究室のドアを閉めた。
アリワーヌ・アント・ジェミニは、ふぅーっと息を吐き出す。。
よし、これで大丈夫だ。
この署名を、クッキーさんに渡せば、私のカジノへの支払いは、停止される。
ライレーンと言う生徒が、「そんなルール聞いたことなかった。」なんて言い出した時は、どうしようかと思った。
そんな規則は、どこにも、存在しないのだから。
自分でも、うまい言い回しで、誤魔化せたと思う。
賭博で、負けが込んで、生活に影響出るのを防ぐルール。
そんなルール、私が欲しいくらいだ。
しかし、忌々しい。 何が、「ボクたち、勝ってるから。」だっ。
素人に勝たせるくらいなら、私に勝ちをよこせっ。
よし、ご褒美だ。
今日くらいは、自分に ご褒美を あげていいだろう。
カジノのチラシには、新しい回胴式遊技機の内容が、ちりばめられている。
どうやら、クッキーさんは、私の意見を取り入れたようだ。
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ジェミニは、カジノのチラシを4つに折りたたみ、ポケットつっこむと、チリンと ベルを 鳴らし、助手に、馬車を用意させた。
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今日くらいは、自分に ご褒美を・・・と、
毎日、ご褒美を用意している人は、
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蛇足1.ドル箱
オリンピックのサッカー、すごかったです。
日本代表の選手は、戦いを進めることに、顔が、シャープになっていくように見えました。
厳しい戦いを、進めることで、その精神が鍛えられ・・・というよりか、中2日でゲームしているせいで、実際に痩せていたように見えたのですが、過酷すぎではないでしょうか。
スペインも、メキシコも、疲弊していたように見えます。
出場チームを、旧コンフェデレーションズ杯と同様に、各大陸王者と、開催国にして、参加チームを減らし、ゲーム数を減らしたほうが、良い気がしますが、ドル箱競技なので、無理そうです。
蛇足2.ごはんを食べる
そして、決勝も見ました。
日本人選手は、いっぱい、ごはんを食べたほうが、いいかもしれません。
体の大きさ、ぶつかり方。
スペインも、ブラジルも強いし、体が、大きく見えます。
しっかり食べて、体重は5kg増、身長も5~10cm伸ばした方がよさそうです。
その他の方法としては、サッカー人気を、もう少し上げて、大谷選手や、ダルビッシュ選手くらいの体の大きさの人が、野球ではなく、サッカーをやるように誘導すればいいかもしれません。
体が、本当に違い過ぎです。
蛇足3.柳田
しかし、野球から、人気を奪うのは、難しそうです。
金メダルを取りに行って、金メダルを取ってしまいました。
ただし、柳田悠岐選手。
8回裏のサードフライは、問題ありません。
4回裏のワンナウト満塁、7回裏のノーアウト2塁、せめてどっちかは、セカンドゴロを打ってほしい。そう思いました。
国際大会決勝での、1点は、重い。
たぶん、松井秀喜選手なら、きちんとセカンドゴロを打っていた気がします。
負けていたら、2~3日、ウチの柳田があそこで・・・って、ホークスファンの人に言われていた気がします。
それは、ともかく、パリ五輪から野球が除外されますので、これが最後の野球の競技となるかもしれない中で、狙って金メダルをとったという事実と、銅メダルを取れなかった事実が、野球とサッカーの今ある大きな差だと思いました。
あ、あと、日本のボールも世界一だと思います。高評価を受けている、SSK製造のボールに金メダルをあげたいです。
蛇足4.マウコム 大然
サッカー決勝の延長に出てきた、ブラジルのマウコム選手の得点シーン。
日本代表の前田大然選手と、森保一監督が、スペイン戦で、頭に思い浮かべていたシーンは、これだったんだろうなって思いました。
蛇足5.中山 田中 旗手
オリンピックは、ショーケースでもあります。
日本代表の田中碧選手、中山雄太選手は、価値がすごく上がった気がします。
旗手怜央選手は、いくつかのシュートチャンスを失敗していなければ、価値が上がったんだろうなって思いました。
2006年ドイツW杯の時、ジーコ監督は、DFを置かず、GKだけを相手に、いくつか位置を変えながら、シュートをする練習を、大会期間中にまで行っていました。
W杯期間中にシュート練習をさせなければならないほど、シュートを枠に飛ばすことが、出来なかったんですね。
旗手怜央選手、遠藤航選手を見ていると、2006年から、その部分の進化が、上手くできていない気がしました。特に、ゴール近くから、上に外すのは・・・。言うのは簡単で、やるのは、難しいんでしょうけどね。
そういう意味で、ほとんどのシュートが、枠に飛んでいた久保選手が、素晴らしいのが良く分かりました。