表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/232

2-76.沈黙の日曜日4

「スニップス-ファスファアレェション」


ナカヨシが、ベルの額を押さえ、呪文を唱える。

私の苦手な土魔法。


待つこと5分。

すぅぅっと、ベルの目が閉じた。


「馬は、眠りに落ちた。

 これで良いのじゃな。」


「ありがとう。ナカヨシ。」


「真面目に練習すれば、お主なら、使えると思うぞ。」


「はい。でも、今、ベルに眠りが必要でしたから。

 本当に、ありがとう。」


これ以上、ベルに苦しい思いをさせたくない。


眠りの魔法を使えるのは、王族だけ。

ただし、ナカヨシは、例外。

違う方法で、眠りの魔法を使うことが出来る。


スッと、一人の男が、カバンを開ける。


ハムルッテ・アムレート。

カバンから、注射器を持ち出した。

彼は、馬を診るお医者さんだ。


「いや、しかし、本当に眠りの魔法が使えるとは。

 王家の血を引く方しか、使えないはずですが・・・。」


「他言無用じゃ。

 余計なことをしゃべっても、良いことなんぞ無い。

 下手をすれば、首が飛ぶぞ。」


「確かに。

 リストラではなく、本当の首が飛びそうですね。」


ハムルッテの左手、親指と人差し指が、ベルの首の皮を掴み引っ張る。

右手の注射の針が、ベルの首筋に当たる。


プスリっ。


針があっという間に刺さった。

すぅぅっと薬液が注射から首へと吸い込まれる。


「これで、(くび)の静脈に、薬液が入りました。

 楽にしてあげることが、出来ましたよ。」


ハムルッテは、ベルの首を1度撫でた後、私を見て言った。


「どうもありがとうございました。」




[美容師の娘]  【 2-76.見通しの齟齬(そご) 】




「アリー。一度、中に入らない?」


「ミラドール。私、ベルと一緒にいる。」


アリーが、馬房の前から動かない。

親友のライリューンは、アリーの後ろから動かない。


「アリー、中に入ろう。

 ちょっと話をしたら、戻ればいいから。

 このままだと、ライリューンも、入れないよ。」


私は、強くアリーを中へと いざなった。


「じゃ、ちょっとだけだよ。」


アリーが動く。

影のように、ライリューンが、後ろから付き添う。


まずは、部屋の中へ。

本当に、ここからが、大変。

だから、説明は、ハムルッテに任せよう。



******************************



左前足粉砕骨折。

これが、ベルの状態らしい。


「このままでは、健康な足も、健康なままではいられません。」


手術ね。


そう思った私は、ハムルッテの言葉に、うなずいた。


馬を診るお医者さん、ハムルッテ・アムレート。

彼は、息継ぎもせず、次の言葉を吐き出した。


「安楽死が、馬にとって、一番楽な道になります。」


え・・・?意味が分からない。

一瞬、時が止まったような気がした。


なんで、足を骨折しただけで、ベルが、死ななきゃダメなの?


クルリと後ろを振り返り、ミラドールを見る。


ホントに?ベルは、治らないの?

死ななきゃダメなの?


聞きたいことはいっぱいだけど、言葉が出ない。

ミラドールは、何も言わず、うなずいた。


「ライリューン、お願いがある。」


「アリー・・・。何かな?」


ミラドールは、回避方法を知らない。

私は、一緒に居てくれるライリューンを頼った。


「ナカヨシを、ナカヨシ教授を呼んで来てもらえない?

 何か、ベルを助ける方法を 知っているかもしれない。」


ハムルッテは、確かに馬を診るお医者さんだが、魔法を使えない。

魔法を使えるナカヨシなら、何か違う方法を知っているかもしれない。


「うん。待ってて。絶対に呼んでくるから。」


ライリューンは、すぐに、外へと飛び出していった。


再び、ミラドールと目が合う。


「わたし、ベルの所に戻る。」


「うん。」


ミラドールは、そっとドアを開けてくれた。



******************************



そうじゃのぅ。


左前足粉砕骨折。

いやいや、人ならともかく、ワシでは、馬は、分からんの。


が、ハムルッテが言うなら、そうなのじゃろう。


安楽死は、何で行う?首を落とす?槍で突く?


なんと、注射とは。そうか・・・。


アリーは、何と言っておる。


何も言わずに、馬房の前に・・・か。


おぬしも、付き添うか?

馬ではなく、アリーに付き添うか・・・。それもよかろう。


よき友を持ったものじゃの。


ハムルッテの方針を変えることは、出来ぬ。

ただ、注射ならば、ワシが、手伝えることもあろう。


馬車はあるかの? 現地まで向かおう。



=== ===== === ===== ===


夕日が、空を赤く染める。

コトコトと言う音を石畳に残し、馬車は、ナカヨシを乗せ、競馬場、厩舎へと向かうのであった。



=== ===== === ===== ===

サッカーでメキシコ相手に2点取れると思っていた人は、

高評価を押して次の話へ⇒



蛇足1.ポジションの齟齬


 14 エリク・アギーレ

判断力に優れており、的確な判断でメキシコ代表を牽引。

この世代では中盤での出場となる。中盤の守備を専門的に行なう選手。

バイタルエリアと呼ばれるディフェンスラインの前のスペースを埋め、相手選手からボールを奪取することが主な役割。

左サイドバック、右サイドでもプレーできる。


 5 ホアン・バスケス

この世代の守備もの要。

この世代のDFラインを牽引。

北中米カリブ海予選、全試合に出場。

185cmと高さがあり、強さもある。


 2 ホルヘ・サンチェス

右サイドバック。

サイドにおける守備を主な役割とする。

攻撃時に中盤の選手を追い越し、前線にドリブルで切り込んだり、クロスボールを上げたりする。

守備に加え、縦に激しく上下する運動をこなせるスタミナ、スピード、ドリブル技術、クロスを上げるキック精度が、求められる。

左右両サイドハーフも、担うことができる。



吉田選手からパスを受けた、日本の右サイドバック、酒井選手が、左サイドバックの14番エリク・アギーレ選手の後ろにボールを蹴り込みます。


アギーレ選手の本職は、中盤の守備。サイドバックも、出来ると言うことですが、左サイドの守備は、多少苦手なのでしょうか?内側から走り抜けた、堂安選手にボールが通った上に、堂安選手に、右手でポンと体を押されて、距離を取られてしまいます。この、手を使うプレーは、小さい方の選手がやるのは、あまりファールを取られないんですよね。大きい方の選手がすると、ファールと見られる場合が多いですけど。ともかく、南アフリカ戦では、敵であった審判が、メキシコ戦では、味方に見えました。


アギーレ選手の、守備。

本職は、中盤の守備なのに、左サイドバックをしなければならなかったことが影響していたのでしょうか?

日本の左サイドバックの中山選手については、本職は、センターバックですが、サイドバックをやっているため、日本の左サイドが固くなっているのとは逆に、メキシコは、守備が弱くなっていたようです。


堂安選手が、中にパスを通す直前、林選手が、斜めに走りました。そのまま、ペナルティーエリア左に走り込みます。


林選手は、前線、左に走って、5番ホアン・バスケス選手を引っ張りました。

この動き、岡崎選手に似てますね。

メキシコのディフェンスラインを壊す動きをしました。

鳥栖の前線の選手っぽい動きと言われれば、そうですね。


空いた場所に、久保選手が、走り込んで左足でシュート。

すごいゴールだと思いました。


堂安選手のパスも、止めずに蹴っておりワンタッチ。

久保選手のシュートも、止めずに蹴っておりワンタッチ。

2番のホルヘ・サンチェス選手が、必死で走って、久保選手に付いて守備をしていたのが上手くいかなかったのは、ワンタッチだったからのような気がします。


この6分と言う時間にゴールできたことが、勝因の、ほとんどだと思いました。


PKを含めて、かなり、運の要素があったとは思いますが、実力が、運を呼んだと思います。


あと、日本の最終ライン、特に前半すごかったですね。すごく高い位置を取っていました。前線からの守備も効いていました。思っていた以上にすごかったです。と、いうことで、日本は、がちがちに守って、0-0で引き分けか、1-0の負けであってほしいです。という私の望みは、嬉しいことにひっくり返りました。


金メダルを狙うなら、次のフランス戦、出来たら、堂安選手、久保選手、お休みさせて欲しいですね。可能なら遠藤選手も・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ