2-69.すっ飛ばす金曜日2
「じゃ、ちょっと早いけれど、この村で、昼食にするよ。」
「ここは?」
「ホゥスボールの道具を、特産にしている村よ。」
え? ホゥスボールの道具って、棍とボールとゴールと馬具くらいだよね? そんなのが、特産になるのかしら?
っていうか・・・。 ずいぶん寂れてる村だわ。
村の入り口に掲げられた木の看板も、下半分が割れている。
「あら?おかしいわね。
前に来たときは、もうちょっと、にぎわっていたのに。」
「そうなの? いつ頃の話?」
「8年くらい前かな?」
いつの話よっ! そりゃ、8年も経ったら、村の様子も変わっちゃうよ。
[美容師の娘] 【 2-69.うん、焼き肉 だね 】
「残念ね。まぁいいわ。食事にしましょ。」
「食堂とかあるの?」
見渡しても、村に 食事ができるお店が あるようには 見えない。
「違う、違う。ほら、あそこ。」
ミラドールが、指さした先には、軒先に吊るされた大きなお肉。
「屋外で 焼き肉が、出来るんだよね。ここ。」
あぁ、バーベキューみたいなものね。 それなら、みんなで来たかったな。 ピクシノビッチさんたちも含めて。
私が、あたりを見渡していると、ミラドールは、さっさと注文を始めてしまった。
「サーロインは、300gくらいね。
リブロースも、同じで。
あっ、赤身部分でお願いね。」
きめが細かく、柔らかい背中部分が、サーロイン。 ステーキの部位だね。 リブロースは、サーロインと肩ロースの間。 どっちも、霜降り部分は 焦げやすいので、赤身だけに してもらったみたい。
「肩ロース300g。
ヒレ200g、厚切りで。」
「タン。塩とタレ200gずつ。
カルビは、300g、ハラミも300gね。」
タンは、私は塩がいいな。カルビは、あばらのお肉。って、2人でどれだけ食べるつもりなの。
目の前には、2kgを超えるのお肉。 何人前? コレっ。
「もう、お肉はいいんじゃない?」
「そう? もうちょっと種類があったほうがいいんだけど。
アリーが、そういうなら、いっか。お野菜も、必要だし。
えーと、キノコ欲しいわね。コレ、貰おうかしら?」
ミラドールが選んだのは、エリンギに似たキノコ。おいしそう。
「トウモロコシも欲しいわ。これね。
ピーマンと、アスパラ。
それから、この、ししとうも いいわね。
あら、梵天丸ナスが、あるじゃない。 これもちょうだい。
じゃがいもと、かぼちゃと、タマネギと・・・。
うん。 これくらいでいいか。」
どうやって 食べるのよ。 この野菜の山っ。 だいたい、お肉と、野菜の 下ごしらえだけで、何時間かかるか 分かんないって。
「ううん。 下ごしらえは、してもらえるよ。
30分あれば、できるよね?」
お店のスタッフさんが、数人。 お肉と お野菜を運んでいく。 あぁ、専門の人が居るのね。それなら まだOK。 あの量を自分たちで処理するなら、明日まで かかりそうだもの。
「オリーブオイルと、塩と胡椒と、タレ。お醤油も、お願い。
後は、ビールが、1樽あればいいか。」
「水も、お願いします。」
ミラドールに任せていると、飲み物が、ビールだけになる所だった。
「じゃ、馬を預けないとね。」
ベルたちの方を 振り返る。
うん。 ベルは、お肉を食べられない。 草食だから。
だから、厩舎に預けることにする。
「あっそうだ。 人参、お願いします。」
とりあえず、カットした人参を小さな箱に詰めてもらった。
「ベルー。」
手の上に、カットした人参を立てるようにして、ベルの口元に近づける。 うん。お気に召されたようだ。 残りは、厩舎で食べてもらおう。
ベルたち2頭を、村に1件ある宿の厩舎に預けた。 泊まるわけじゃないけどね。 馬だけを預かってくれるサービスもあるみたい。
「用意できたみたいね。
じゃ、焼肉を始めましょ。」
アウトドア用のワゴンみたいなリアカーに、食材とビールと水が積まれていた。 ミラドールと、二人でリアカーを、ゴトゴトと、焼肉の網の前まで引っ張っていく。
重いよぉー。 特にビールとか、ビールとか、ビールが。 樽だもん。
あら? 炭火コンロみたいな魔法道具の上に網が乗っている。 白砂のような砕いた貝殻の撒かれた上に小さなテーブルと椅子。 ハンモックまである。 寂れた村だと思っていたけれど、この場所は、リゾート施設みたい。
「アリー。 ボーっとしていないで火をつけて。」
あっ。はいっ。って、私は、ライターじゃないけどね。
火魔法で、炭火に火をつけた後、風を送る。 炎が、ゴウゴウと音を立て始めたら、上から板を乗せて火を消す。 これで、炭火焼きのだいご味、遠赤外線で、おいしいお肉を焼くことが出来る。 弱火になっちゃうけれど、エリンギみたいに、強火でサクッと焼きたいものは、私が火魔法で焼けばいいからね。
サーロインは、ステーキで。ヒレの厚切りもステーキで・・・。これだけでおなか一杯になっちゃうよ。私は、ちょっとでいいや。
って、ミラドール。・・・飲み込むような勢いで、ミラドールがお肉を食べ始めた。 これだけの量があるにもかかわらず、遠慮をしていたら 食いっぱぐれることに なりそう。 あぁ、恐ろしい。 ナイフで、お肉の端を切り取って、トングで こちらに 引き寄せて置く。 これ、私のだからねっ!
ミラドールは、レアが好きみたいで、網に置いたと思ったら、裏返して、タレにつけたと思ったら、すぐに口に運んでしまう。 私は、もうちょっと焼きたい。 ステーキと同じように、タンも、カルビも、ロースも、横に寄せて確保しておかないと、ミラドールの餌食になってしまう。
「あっ、バターが無い。 アリー、もらってきて。」
人使いが荒いっ。 じゃがいもを焼こうとして、バターが無いことに気づいた酔っ払い・・・じゃない、ミラドールが叫んだ。 仕方なく、私は、バターをもらいに、走る。
あぁっ。横にのけて置いた、私のステーキが無いっ。 やられた。 お肉を、食べてから、バターを もらいにいくんだった。 ポリポリと、トウモロコシをかじりながら、恨みがましい目でミラドールを見たけど、全然、気にしていない。 優れたストライカーは、エゴイストって言うけれど、その通りだわ。
食べきれるかどうか 心配だった、食材たちの山が消えるころ、私の目の前には、立派な酔っ払いが出来上がっていた。
「すごい。ビールの樽が1個、開いちゃってる。」
「うんうん。もう、ひと樽くらいは、必要だったね。」
いやいや、飲み過ぎだし、足元ふらついてるじゃん。 帰り道が不安になるわ。
「あっ、そうだ。 この奥に、もう一つ村があるのよ。
ボールを作っている所なんだけど、寄っていこうよ。
歩いて行ける距離だから。」
そうね。 歩いて行けるくらいの距離なら、ミラドールの酔い覚ましに お散歩してもいいかもね。
って、ミラドール。 何してるのよ。
「記念よ。記念。」
白い壁に、ミラドールが文字を書いている。
『西部の英雄 ミラドール参上!』
自分で英雄って書いちゃってるし、こんなサイン恥ずかしくないのかしら?
「アリー。ぐずぐずしていないで、行くわよっ。」
いや、片付けもあるし、お支払いもしていない。 ちょっと待ってよ。 片付けをお肉のお店のスタッフさんに任せて、金貨でお支払い。 2人でのバーベキューで、金貨3枚って、どれだけ食べてるのよ。ほんと。
「アリー。遅いわよっ。」
ふらふらと、ミラドールが歩いていく。
きぃぃぃぃ。 お支払いも、全部、私持ちなのにっぃぃ。 ちょっとくらい待ってよ。
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ほんと、ストライカーは、エゴイストだわ。
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今年、1人でバーベキューをした人は、高評価を押して次の話へ⇒
ご時世ですね。大勢での飲食は屋外でも、OUT。仕方なく、お話でも、2人バーベキューにしてみました。
蛇足1. 応援合戦?
7月9日。甲子園。6回表に入る前に、ライト側の外野席に、巨人ユニホームを着た男性ファン3人が乱入。乱闘に発展し、警備員が間に入る展開に。ウィーラーがホームラン打った時に、大声上げてた人たちですね。正直、大声も、乱闘も、コロナを考えたらダメです。でも、一番気になったのは、これを「応援合戦は、ホドホドに」って書くスポーツ紙でした。
蛇足2. 屋外と野外
屋外で焼き肉が、出来るんだよね。
さて、この、阪神―巨人戦。雨天コールドとなりました。 突然、大雨が降ってきて、マウンドや、1塁2塁3塁本塁ベース上には、シートが かけられる展開からの、雨天コールドです。
NHK解説は、今中慎二さん。
「ヤガイの球場は、大リーグみたいに、全面を覆うシートが必要ですね。」
うん。そうですね。全面を覆うシートがあれば、雨は上がっていたので、中止にはならなかったでしょうね。
気になったのは、今中さんの「ヤガイの球場」・・・屋外?・・・おくがい?・・・いや、野外か・・・。
そっか、ドーム球場と、野外球場ですね。 屋外の球場とは言わないですね。一瞬考えてしまいました。
蛇足3. 黒土と、若手選手の育成
その甲子園の整備を担当するのは、阪神園芸。
1979年から、甲子園の整備を受け持つこの会社は、土の球場の整備では、世界一と言われます。というか、私が、勝手に世界一って思っています。
土が降った雨を吸い込む水分量が多いほど水溜りが出来にくい。ということで、甲子園の黒土は、吸水性が高い。
しかし、表面排水が良く、水はけがいい。
この相反する特徴が、甲子園の黒土の特徴。
この黒土、土の厚み全体に弾力性をもたせ、イレギュラーを起こさせないよう、砂が絶妙な割合で混合されています。 さすが、阪神園芸です。 イレギュラーしないはずなのに、阪神タイガースの内野陣にエラーが多いのは、私の気のせいでしょう。
素晴らしい土は、植物の育成にも優れていると言われています。 しかし、この黒土には、1979年から、言われているある伝説があるそうです。
「甲子園の黒土では、若手が育たない。」
残念ながら、若手選手の育成には、広島や、神宮や、埼玉の土の方が優れているようです。
蛇足4.
そして、話は戻ります。 雨天コールドです。
主催試合という考え方があります。 今回の場合、主催は、阪神タイガースですね。
慣例で、主催側が、勝っている時の雨天コールド・・・試合終了は、よっぽどでないと、してはいけないとされます。
今回の場合は、阪神タイガースが勝っているにもかかわらず、グラウンド整備もせずに、突然、審判がコールドゲームを宣言しました。 いや、阪神が、勝つのはいいんです。 どうせ、巨人に後半戦で、追い上げられるでしょうから。 ゲーム差は必要です。
実は、雨のグラウンドに砂を入れると、その後、元に戻すためには、土を そこそこの量 入れ替えないと ダメです。 そして、今回の整備せず終了は「どうせ、今日は試合できないだろうから、整備せずにそのまま試合終了にしたほうが、その後の整備にかかる労力・時間・お金が節約できる」そう考えたように、見えてなりません。
そのほうが、合理的なのは、確かですけどね。
この試合、一応、恰好だけでも、整備してから、「整備しましたけれど、やっぱり無理です。仕方ないので中止ですね。」のほうが、良かったのでは? 主催側として・・・。
どうでしょう?
蛇足5. サイン
『西部の英雄 ミラドール参上!』
自分で英雄って書いちゃってるし、
こんなサイン恥ずかしくないのかしら?
7月6日のヤクルト-阪神戦。5回表、2塁走者の近本光司選手が左手を動かし、サイン伝達を疑った三塁手の村上宗隆選手がアピール。
個人的には、伝達は、やってないで ほしい と思いますが・・・。
左手を横に伸ばした後、左腕を下げて、手を膝に置く。
その後、左腕を2度、2塁ベース方向に・・・。
ヤクルトの古賀優大捕手は、打者の佐藤輝明選手の内角高めにミットを構えている。
佐藤選手は、左打者ですし、位置に相関性があります。 この動きをしていたら、ツッコまれて当然と言えば当然です。
でも、こういう時、ヤクルト側に、やってほしいことがあるんですよね。
それは、7月6日に引退を発表された、松坂大輔投手の方法です。
松坂投手には、サイン盗みや、捕手のミットの位置での伝達の話が、色々とあります。
例えば、1998年8月20日。甲子園で、PL学園の平石洋介三塁ベースコーチが、横浜高校の松坂投手の球種を、横浜・小山良男捕手のミットの位置と、構えから、外角は「いけいけ」、内角は「狙え狙え」、変化球は「絞れ絞れ」で伝えて、松坂選手を打ち込んだ話は、有名です。
で、ヤクルトにやってほしかったのは、2009年第2回WBCの松坂投手の方法です。
2004年アテネ五輪、城島健司捕手のミットの構えから、キューバベンチからコースを指示する声が飛んでいたんですね。
アテネ五輪では、城島捕手は、ミットの構えを極力に遅らせ、投げる直前まで動かさないことで、対応しました。
この応用で、2009年第2回WBCでは、「ミットの位置を逆に構えて、キューバベンチが教えるのと違うコースに投げよう」ってしたらしいです。
このため、キューバの3回のアウトは全て見逃し三振となり、4回もグダグダ。5回に入ってからは、ベンチからコースを指示する声は、出なくなったそうです。
ヤクルトが、これをやって、タイガースを抑えてから、伝達を疑う発言をしていれば、もっと面白かったかも・・・。
って思ってから、いや、今回のでよかったかもって思いました。
と、いうのも、もう少し昔に さかのぼると、ふとももに、電波受信器を装着して、サインを盗んで 振動で 球種やコースを 教えていた時代が、日本にあったらしいんですね。
この、電波受信器で、指示された通り、外角の球種を予測して、踏み込んでいった所、ボールは内角へ・・・デッドボール・・・。
サイン盗みがバレていて、途中でサインを替えていたわけです。
ヤクルトが、松坂-逆玉作戦をしていると、もしかすると、佐藤輝明選手が、大ケガをしていたかもしれません。それはダメです。彼は、今後10年間、野球を楽しませてくれる選手です。
と、書いていて気付きました。あたかも「近本選手が、サイン盗みをして伝えていた」ことが確定しているかのように、この話を書いていたことに・・・。
し・・・してないと思ってますよ。 も・・・もちろん。
蛇足.6 旅行会社3社 五輪公式観戦ツアー 払い戻し決定
東京オリンピックの観戦チケットと宿泊がセットになった公式観戦ツアー。
JTBとKNT-CT、東武ツアーですね。
1都3県は、無観客なので、観戦ツアーを中止とし、購入した人には代金を全額、払い戻すことを決めたそうです。。
首都圏以外の地域で観客を入れて行う競技については、ツアーの最少人数を満たせば、実施するみたいですが、応募はあるんでしょうか?むずかしそうですね。
そして、さすがに、お詫び金は無いようです。
美容師の娘2-57.マスクをした 不審者
https://ncode.syosetu.com/n6487gq/93/
蛇足3.1998年のサッカーワールドカップ。
この時は、旅行会社が、代金全額の返金に加えて、
おわび金一人5万円を出したと言いますが、
無観客で、オリンピックを行った場合、チケット代金の返金に加えて、
おわび金なんてものは・・・さすがに、出ないでしょうね。