2-65.不愉快な水曜日 3
「その裁定は、無いでしょう。
あくまで、これは、試合で魔法を使わせないルールのはずっ。」
王都ホゥスボール協会理事コジョーン・キ・ノマートは、ローブ・サチブワ・ケタニオン会長に詰め寄った。
「これは、決定だ。
魔ーピングで、失格。
帝国は、金貨1000枚の罰金とする。」
「そんな。あり得ません。」
「魔法の行使には、事前申請が必要。
その原則は、覆せない。
Magic Use Exemptionが無いものは、失格だ。」
Magic Use Exemption
MUE。魔法行使免除。
事前申請によって行われる免除は、どうしても、不可欠な魔法の使用を事前に申請するものだ。
もちろん、帝国代表から、キズカの魔法行使についての事前申請は、無い。
事前申請無き、魔法行使は、違反。
魔ーピングとして、失格とされてしまう。
[美容師の娘] 【 2-65.ローブ会長の裁定 】
「何?あの赤いランプ。」
ミラドールさんが、指差した。
「ボク、分からない。
ミラドールさんが、分からないものを、分かるわけがない。」
アリー、早く帰ってきてよ。
ライレーンは、心からそう願った。
辛そうな おつまみを 口に放り込み、ごくりと ビールを飲み干すと、ミラドールさんは呟く。
「試合が、止まっちゃったな。
あっ、このおつまみコショウが効いていて、おいしい。」
その時、ドアが開いた。
「ただいまー。試合どうなってる?」
「アリーっ。ライリュ-ン。
おかえりぃ。」
遅いよっ。
「きゃっ。ライレーンどうしたの? いきなり。」
ライレーンは、アリーに抱き着いた。
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魔マーモグラフィー。
王都でのホゥスボールの大会では、競技場内をこの魔法道具で監視している。
魔法を使用した残滓を、感知し、警報を鳴らすのだ。
王都ホゥスボール協会代表と、帝国ホゥスボール協会代表の試合。
交代復帰した、キズカ・ハ・ナーガが、競技場に飛び出した瞬間であった。
この監視装置が反応した。
魔法道具に繋がるランプが、ピカピカと赤い光を放つ。
即座に、止められる試合。
キズカは、馬から降ろされ、非接触式 残滓 魔力 計測器で測定される。
非接触式 残滓 魔力 計測器は、大きく針を横に揺らした。
無情にも、魔法行使の証が、失われることなく、残されていることを示したのだ。
「交代時に、魔マーモグラフィーが、反応しただけです。
反応後、プレーをしておりません。
彼女の試合での、魔法行使は、あり得ません。
魔法道具が、反応しなくなるまで、ベンチ待機で良いでしょう。
ローブさん。いかがですか?」
ノマートは、王都ホゥスボール協会会長のローブに尋ねた。
ローブは、MCの委員長も務めるのだ。
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Ma-ping Control Committeeは、魔ーピング管理委員会。
通称MCと呼ばれる。
競技者を対象とした、魔ーピング検査。
魔ーピングの調査、情報の収集と管理。
アンチ・魔ーピング教育。
これらを行う王都ホゥスボール協会の機関である。
「黒だな。
魔法を使ったことは明らか。
キズカは、失格とする。
試合も、没収。
結果は、王都 3-0 帝国 として、処理するように。」
「ローブ会長。
それは無いでしょう。
あくまで、これは、試合で魔法を使わせないルールのはずっ。」
口から唾をとばしての問答。
しかし、結論は、変わらない。
ローブ・サチブワ・ケタニオンは、ノマートに背を向け、ドアを指差した。
何も言うな。行けっ。という無言の指示だ。
両足の無い理事は、椅子から浮き上がり、ローブ氏の背中を見つめた。
ひとつ ため息を つく。 彼女は、ふわりと競技場控室へと向かった。
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「あのランプが光って、試合中断になったんだね。」
赤いランプは、既に消えている。
選手は競技場から控室にもどり、誰も残っていない。
観客は、誰もいない芝生を、ただ眺めるだけであった。
「そうなのよね。アリー何か分からない?」
「分かるわけないでしょ。
私も、ライリューンも医務室に居たんだから。」
「一言、説明があってもいいのにね。」
何杯目かのビールを、ミラドールが、危なっかしい手つきで飲み干す。
ちょっと飲みすぎだよ。
「どうする? 残る?
先に帰るなら馬車を用意するけど?」
オリンピュアスが居ないので、ライレーンとライリューンは、ヘドファン家の馬車で移動している。
「そうだね。ボクは、寮に戻ろうと思う。
ライリューン?」
「うん。私も先に戻るよ。」
2人とも、先に寮に戻るみたい。
じゃ、馬車を用意させなきゃ。
「ミラドールは、残るよね?」
「うん。アリーは、最後まで見ていくんでしょ?」
「最後までかどうかは、分かんないけどね。
もうちょっと様子は見ておきたいな。」
「うんうん。私もアリーと一緒に行動するわ。」
ドアが開き、新しいグラスがミラドールの前に置かれた。
ビール来るのが、早い。
ほんと、大丈夫かしら? ミラドールが、飲み過ぎて潰れちゃいそう。
「もし、控室に入れるようなら、行ってみる?」
ミラドールが、飲み過ぎないようにするには、ここから離れたほうが良いかもしれない。
私は、帝国代表の控室へ行ってみることを提案した。
「そうね。
私、帝都のゴン・ケラ・ムカナのプレー好きなのよ。
会ってみるのもいいかもね。」
あっ、そこキズナじゃないんだ。
グイっと、ビールを飲み干すと、ミラドールが立ち上がった。
いや、まだ 控室に入れるとは、限らないんだけど。
あぁん。もう行く気満々なのね。 仕方ない。
「ライレーン。ライリューン。
馬車は、もうすぐ来ると思う。
案内が来たら、2人で寮に戻ってもらえる?」
「うん。アリーありがとね。」
「ミラドールさんも、またねー。」
すでに、ミラドールは、ドアに手をかけていた。
「ちょっと、ミラドール。急ぎすぎだよ。
待ってよ。」
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ライレーンと、ライリューンに手を振り、私はミラドールと共に、帝国代表の控室に向かった。
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ビールのおつまみは、辛いものがいい人は、
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蛇足1.次のページに
ドアが開き、新しいグラスがミラドールの前に置かれた。
次のビール、来るのが、早い。
この、サイトの小説管理ページを見たことがありますか?
今回、書き終わって気づきました、どうやら美容師の娘、101話目のようです。
新しい話を書くたびに、管理ページでどんどん下に新話の項目が作られていっていましたが、101話から、次のページに変わる仕様です。
一番下の話をクリックしても、前話にしかならず、投稿した話が消えてしまったのかと思ってビックリしました。
次のページが来るのが、早かったのかそうでないのかは分かりませんが、なんとか100話突破。うん。次は1000話突破したいですね。
蛇足2.クリミア半島と、危なっかしい匂い
何杯目かのビールを、ミラドールが、危なっかしい手つきで飲み干す。
ちょっと飲みすぎだよ。
6月28日から、アメリカとウクライナとNATOが、黒海で、大規模な軍事演習をしています。翌29日、ロシア軍が、黒海に面するクリミアで訓練を実施したことを発表しました。
先日の、英駆逐艦への警告爆撃といい、ボスポラス海峡運河の問題といい、危なっかしい匂いが充満してます。
まぁでも、2019年に、プーチンさんは「谷で虎たちが戦っているとき、賢い猿は座って、それがどのように終わるのか見ている」って言ってましたから、きっと、直接ぶつかることは無いでしょうね。
蛇足3.ペッパーくん
試合が、止まっちゃったな。
あっ、このおつまみコショウが効いていて、おいしい。
コショウは、ペッパー。
と言うことで、6年前に発売されたソフトバンクのロボット「ペッパー」くん、販売伸びないので、製造停止だそうです。台湾で作ってたんですね。
価格は19万8000円?思ったより、安い気がします。
なんで売れなかったんでしょうね。
あっよく見たら、本体19万8000円で、月額費用もかかるんですね。これは、個人では買わない可能性が高い。つまり、企業受けが思ったより良くなかったってことですか。なるほど。