1-10.風魔法と白いパンツ
母ウェンディは、陽気だ。
彼女の声がきこえると、人は集まり、自然と笑顔になる。
私は、6歳になった。
美人で 人に囲まれる母と、無口で、イジけ気味の父と 3人で暮らしている。
母ウェンディのカットと、おしゃべりは絶品。
三種類の石鹸と 三種類の魔法セットの 評判は上々。
聖職者の 取締まりは、今のところ 来ていない。
評判を 考えると、見つかっていないとは思えないんだけどね。
お目こぼし かな?
そして 父イアンは・・・暗かった。
もはや 翳があるではなく、暗いとしか 言いようがない。
ハンサムなのに もったいない。
仕方がないので、抱っこの後は、ギュー してあげる ことにした。
イアンが 笑うのは、この時くらいだ。
困ったように 笑う顔が カワイイ・・・とも言えなくない。
いつものように、午前の予約を 済ませると、お昼ご飯の時間だ。
「アリー、今日は パパと食べてね。」
なんと ウェンディが お出かけの 準備をしている。
「私もママとお出かけするっ!」
暗いイアンと 2人きりの食事は ちょっと・・・。いや、ウェンディとお出かけしたいだけですよ!
「今日は ダメっ、教会に 行くのよ。」
教会に行くのに そんなに キレイな格好して どうすんのよ。って、口に出しそうになる。
「寄付をね、しないと 取締まりが来ちゃうの。」
寄付と、取り締まり?関連が・・・あっ それで この2年 大丈夫だったのか。要するに、賄賂ってことだね。
「少しでも きれいな格好で、お祈りをして 寄付をするの」
印象操作って やつですね。わかります。
「午後は、お休みにするから 遊びに行って いいわよ」
わーい。
その手に持っているのは、おこづかい ってやつですね。
銀貨1枚をポケットにしまい、イアンと昼食の準備っ。
ワーイ イアント オヒル ゴハン ダ ウレシイナ
いつも以上に 暗く無口なイアンと 楽しいお昼ご飯。
ごちそうさまでした。
そして おこずかいの使い道っ。
貯金でございます!
イアンが 昔 冒険者をしていたように、この世界は 魔物が 出るような世界だ。
老後のためにも 銀貨は 貯めておきたい。
用心するに 越したことはないもんね。お金だいじアルネ♪
さぁ、お出かけだ。
魔法のあるこの世界。わたしは、いろんな 魔法を習得したい。
裏の空き地は、古い学校跡。
大きな木もあり、その木陰もあるので 居心地がいい。
近所の 子供の遊び場 ではあるが 魔法を 使っても 目立たない。 わたしの得意な 魔法は、風 水 火。 その練習には、もってこいの広場なのだ。
普段は、髪のセット用に 優しく魔法を 放つ。でも、ここでは イアンが 得意とするように1方向に強く放出する。
魔物などを やっつけるのには それが一番いい方法だから。
ひゅるぅん ドンッ
10mほど離れた 地面に向かって 風魔法を 放出する。
小さなクレーターが できるが 後で 整地するので 気にしない。
遠くを狙わないのは、ここがお子ちゃまの 遊び場だからだ。
隠れている子供に 魔法が当たった なんて話 聞きたくない。 血まみれの お子ちゃま 見たくない。
ぐるりと 一周クレーターを 作ったら 整地だ。
最近、威力が上がったので 注意しながら 近くの地面に 風魔法を ぶつける。 土を飛ばして、むこうの穴を 埋めるのだ。
ひゅるぅん ボンッドサッ
クレーターが 埋まっていくのは いいのだけど、魔法を 使うたびに 体が ふわんふわん と 浮く。
練習前より、魔法の威力が ちょっと上がってるね。 髪のセットの時に、イアン化しないか 心配だ。
ん? これって使えないかな?
ふと、思いついた思いついた 私は、風魔法を 優しく 真下に放った。
ドンっ!
ふわり と 体が浮く。
風の力を そのまま強くする。私は、イアンとは 違うから、微調整は 得意。
慎重に 力を 調節する・・・1m、2m、3m・・・。10mになると ちょっと 怖いくらいの 高さ。
腕と体の間に 水魔法で 泡の膜を張る。わき から 手の先まで・・・腰のあたりから わき まで。
鳥の足の 水かきのように ▽ 膜が 両側に 2個できた。 両手を広げ、膜を広げ、風魔法を 優しく 吹き付ける。
今度は 下から 持ち上げるように。
やった! 自由に飛べる。 わたし、鳥みたいっ。
下に見える 大きな木を見ると お子ちゃまが 見上げてる。
そか、木に登って隠れてる子が 居たんだな。 風魔法の 訓練を 木に向けて やらなくて 良かったね。
と、そこに イアンが 飛び出してきた。
美容院の 裏口からではなく、2階の窓から・・・。 これって 飛び出す っていうか 飛び降りる? かな。
「おー ぃー ろー」
なんだろ? 声が小さいアルヨ♪
あぁ 降りろ って 言ってるのね。
風魔法を止め、水の膜を パラシュートのようにして 降下! ふわりと、イアンの前に着地する。
私、かっちょいい!
「アリー。危ない!
飛翔魔法は、大人の魔法使いと
一緒でなければ 使っては ダメだ。」
飛翔魔法って 言葉があるってことは、使える人が いる 魔法なのね。 オリジナル魔法を 開発出来た と 思ったのにっ。
「それに、アリーは スカートだよ」
あぁぁぁぁぁぁ。 見えちゃってた。
くちょっ、あの お子ちゃまにも 見られたな。
私も お子ちゃまだけど・・・。
魔法の 訓練では、スカート禁止だわ。
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そして わたしは、イアンに 抱きかかえられて お家に帰るのであった。
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十二年前の 年賀はがきの お年玉番号の上に
「当たるといいね」と書いて 年賀状を 出し終えた人は
高評価を押して次の話へ⇒
年賀状を元日にお届けするため、12月25日(金)までに 差出しを
お願いしますって、いいますね
へぇ、そうなんだ。知らなかった。年賀状ってそうだったんですね。27日までかと思っていました。昔書いたことって、意外と覚えてないものですね。
それはさておき、ここら辺から、蛇足の匂いがしてきました。