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カフェでお見合い


 高い天井と広い空間。

 都内にあるそのカフェは、まるでホテルのラウンジのような内装だった。


 だが堅っ苦しさはなく、多くの人達は気軽にくつろいでいる。


 縁談と聞いて少し身構えていたが、こういう場所ならリラックスして話をすることができる。


 すると俺のスマホに結衣花からLINEが届いた。


『じゃあ、私はここから様子を見ているから』

『ああ、頼む』


 結衣花は俺が座るボックス席から見て、通路を挟んだ向こう側にいる。


 見てみると、彼女はメガネを掛けて髪型を少し変えていた。

 結衣花なりの変装なのだろう。


「お待たせしました」


 か細い小さな声がした。

 気が付くと、すぐそこに一人の女性が立っている。


 写真で見ていたが、実際に見るとかなり若く見える。


 メガネを掛けた彼女は長い髪を後ろでオシャレにまとめていた。

 たしか編み込みヘアとか言われているものだ。


 幼い顔だが、髪型の影響で大人びて見える。


 これがバベル社の人か。

 もっと怖い人が来ると思っていたから、拍子抜けだ。


 彼女は下を向きながら、上目遣いで俺を見てきた。


「ぁ……あの……。七夕川(たなばたがわ)美桜(みお)……です」

「初めまして、笹宮和人です」


 ……やっぱりだ。

 どこかで見たことのあるような気がする。どこでだろうか。


 しかし七夕川なんて聞いたことがない苗字だぞ。


 彼女のことを思い出そうとジッと見つめていると、結衣花からLINEが届いた。


『お兄さん、鼻の下伸ばし過ぎ。もしかしてメガネフェチなの?』

『そうじゃないって』

『どうかなぁ』

『妬くなよ』

『妬いてないもん』


 俺がメガネフェチだと?

 やめてくれよ。そんな趣味はない。


 七夕川は俺の席の前に座ってカフェオレを注文する。

 チラチラとこちらを見てくるが、やはり会話はない。


 もしかして俺と同じコミュ障なのか?


 ……と、ここで再び結衣花からLINEが届いた。


『ねぇ、お兄さん。その人、どこかでみたことない?』

『ああ。俺も同じ事を感じていた』


 結衣花もそう思ったということは、俺の勘違いではないということか。


 もう一度彼女をよく見た時、少し前に会った美少女のことを思い出した。


 そうだ。アレは確か秋作さんと出会った直後。

 四季岡ファミリアのメンバーとショッピングモールに行った時のことだ。


 あの時俺は、一人の女性と出会っている。


「あの……、もし違っていたらすみません。もしかして、四季岡美桜(みお)さん……ですか?」


 すると七夕川はピクンと顔を上げた。


「あ……はい。やっぱりバレちゃったね」


 正体を隠す必要がなくなったおかげで緊張がなくなった彼女は、綺麗に背中を伸ばして俺を見る。


「四季岡という苗字は偽名で、本名は七夕川(たなばたがわ)なの」

「やっぱりそうだったのか」


 そう言えば初めて会った時も、四季岡とは違う苗字を名乗ろうとしていたっけ。


 しかし妙な話になってきたな……。


 今回の次世代AI展の仕事は四季岡ファミリアのリーダー・楓坂秋作さんからの依頼だ。


 そして秋作さんの弟がザニー社の旺飼さんで、今回の次世代AI展にも関わってる。


 そしてザニー社のライバル企業がバベル社なのだが、その女子社員が四季岡ファミリアの一人・七夕川美桜ということになる。


 彼女と一度話したことはあるが、スパイ活動をするような悪い人間ではない。


 なにか事情があるのだろうか……。

 とりあえず、少し探りを入れてみるか。


「その恰好は変装か?」

「うん」


 さすがに編み込んだ髪をほどくことはしなかったが、美桜は変装用に掛けていたメガネを外した。


 だがここで彼女は不思議なことを訊ねてくる。


「メガネ、取らない方がよかった?」

「なんで?」

「残念そうな顔をしてたから」

「いやいや。してないよ? ホント」

「……」


 しばらく黙っていたが、結局美桜はメガネを装着する。


「似合う?」

「……まぁ、似合ってるよ」

「よかった」


 本当に俺、メガネフェチじゃないんですけど……。


 まぁ……、その……なんだ。

 可愛いとは思ってるけどさ。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

☆評価・ブクマ、とても励みになっています。


次回、美桜の正体とは!?


投稿は朝7時15分。

よろしくお願いします。(*’ワ’*)

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― 新着の感想 ―
[一言] あれま。敵か味方か。って身内なのは間違いないんでしょうが。 さて、どういう理由なのやら。単純に笹宮さんに惚れて、というのなら、楽しいのだけれど/w
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