表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
269/330

音水ちゃんは送られ狼っ娘?


 深夜二時半を過ぎた頃。

 会社の戸締りをした俺は音水を自宅のマンションに送ることになった。


「送ってくれてありがとうございました」

「まぁ、このくらいはな」


 こんな時間に女性を一人にするのはさすがに心配だし、送るだけなのだからさほど負担にはならない。

 礼を言われるほどのことじゃないさ。


 音水が住んでいるのはオートロックマンションで、エントランスでICカードをかざす必要がある。


「あ、ロックを解除しますね。笹宮さん、カバンを持っていてください」

「ああ」


 音水がカードケースを端末にかざすと自動ドアが開く。


 あぁ。いいなぁ、こういうマンション。

 俺も次引っ越す時はこういうマンションにしたい。


「ありがとうございました」


 そういうと、音水はそのままマンションのエレベーターに入っていく。

 だが……、


「お、おい……。カバン忘れてるぞ」


 俺の呼び止める声も聞かず、音水はそのままエレベーターに入ってしまった。

 もしかして眠気で俺の声が届いていないのか?


 仕方がないので俺もエレベーターに入る。


「なぁ、音水。カバン……」

「あっ! 気づいてくれたんですか! そのカバン、新しく買ったんですよ。つい衝動買いしちゃいまして」

「そ、そうか……」


 いや、そうじゃねーよ。

 カバンを持ったままだと、俺が帰れないじゃないか。


 エレベーターを降りた後、そのまま音水の部屋の前まで来てしまう。


「なあ、音水。えっと、カバンをだな……」

「はい、今玄関のドアを開けますね」


 再びカバンから鍵を取り出して音水は玄関のカギを開けた。


 ああ、なるほど。

 ここでもう一度カバンから鍵を取り出す必ようがあるから、俺に持たせていたんだな。


「ドアが開きました」

「じゃあ、これ。カバンを……って、おい」


 てっきりこれで終わりと思ったが、音水は俺にカバンを預けたまま部屋に入ってしまう。


 まいったな。ここで部屋に入らないと、音水と話ができなくなる。


 慌てて俺も部屋に入り、玄関先で音水に訊ねた。


「なぁ。カバン持ったままだけど、どうするんだ?」

「そうでした。ありがとうございます。それより……」


 ずずぃ~っと近づいた音水はなぜか眉間にしわを寄せた。

 だがどことなく演技クサい。

 何か企んでいるのか?

 いや、まさかな。音水に限ってそんなことはないだろう。


「……なんだ?」

「笹宮さん! 臭いです! すごく臭いです!」

「あぁ、まだ風呂に入ってないからな」


 もうすぐ深夜三時だ。

 いちおう歯は磨いているが、どうしても風呂に入らないと汗の臭いが気になる。


「シャワーお貸ししますので入ってください。このままだと明日っていうか今日の打ち合わせでクライアントに嫌われます」

「しかし……」

「仕事ですよっ! わがままはダメですっ!」

「わ……、わかったよ」


 仕事って言われると弱いんだよな。

 本当はこの後、近くのネットカフェでシャワーを浴びて朝まで待つつもりだったんだが、いいタイミングだ。

 お言葉に甘えるとしよう。


 こうして俺は音水の部屋でシャワーを浴びることにした。


 シャワー中、音水の声が……、


「ぃよぉぉっしぃ! 釣れたぁっ! 軍師、遙ちゃん健在ぃ!」


 なんか聞こえたんだが?

 もしかしてゲームでもやってるのか?


 シャワーを浴び終えた俺は自分のカバンから替えのシャツと下着を取り出した。


 最初から泊まり込みの予定だったので用意していたのだが、まさか音水の部屋で着替えることになるとは。


「音水。シャワーありがとう。じゃあ、俺は近くのネットカフェに行って朝まで待つことにするよ」

「待ってください」

「なんだ?」

「私もシャワーを浴びるので、その間だけまっててください」

「え……、いや、でも……」

「お願いします」


 音水は潤んだ瞳で懇願してくる。

 もともと可愛いというのもあるが、音水に上目遣いで頼まれると断りにくいんだよな。


「わかった。音水がシャワーを終えるまで待ってるよ」

「やった! ありがとうございます」


 まぁ、シャワーを終えるまで待つだけだ。

 大丈夫だろう。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

☆評価・ブクマ、とても励みになっています。


次回、シャワー後の二人。同じ部屋で何が起きるの?


投稿は朝7時15分。

よろしくお願いします。(*’ワ’*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これは、何も着ないかバスタオル一枚で出てくるパターン… 笹宮さん、美味しく頂かれてしまうのか。危機迫る/w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ