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妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~  作者: 雪野みゆ
第二部

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1章-1

第二部の始まりです。

 エルファーレン王国の王都フェーレスに到着するまでカテリアーナは終始ご機嫌だった。


 馬車には猫たちがたくさん乗っているため、もふもふパラダイスなのだ。


 ルゥナの森とソゥレの森の猫たちを王都まで連行する手段をどうするか? という問題を解決したのはカテリアーナだった。


「皆、子猫になれば馬車に乗れるのではないのかしら?」


 大きい王様猫姿と普通サイズの猫に変化するフィンラスをカテリアーナは見ている。それならば、子猫姿にもなれるのではないかと考えたのだ。


 そして、カテリアーナの考えは当たっていた。ケットシーは人型にも猫型にも変化できるのだ。サイズは大小何でもござれだった。


 カテリアーナを迎えに来たエルファーレン王国の馬車は六頭立てだ。車体も大きい。さらにもう一台貨物用の馬車がある。


 人間の子供サイズの猫たちを乗せるのは無理でも、子猫となれば話は別だ。


「だからといって、なぜ俺も猫姿にならねばならぬのだ」


 カテリアーナの膝の上に乗っているのは、ノワール姿のフィンラスだった。不機嫌そうな声だ。


「ノワール。じゃなかったフィルは人型も王様猫姿も大きいじゃない」


 フィンラスは人型も王様猫姿も長身なのだ。馬車が狭くなるから、小さい猫姿の方がいいとカテリアーナに押し切られたのだ。


 実はカテリアーナがもふもふに囲まれたいだけだったのだが……。


 六頭立ての馬車にはフィンラスとカテリアーナ、ルゥナの森のリーダーのイアンと仲間たちが乗っていた。


 貨物用の馬車にはカルスの監視の下、ソゥレの森のリーダーのロイと仲間たちが乗っている。


「うふふ。子猫たちがいっぱい。皆、疲れたのね。眠っているわ」


 否。イアンたちは寝たふりをしているのだ。自国の国王が同じ馬車内に乗っているのは、気が気でない。しかも知らなかったとはいえ、国王と妃になる女性を簀巻きにしてしまったのだ。


「子猫たちの毛づくろいをしてあげたい」

「元々こやつらは成猫だ。放っておけ」


 子猫は被毛が薄いので、親猫が毛づくろいをする。カテリアーナは母猫のような気持ちになっていた。


「フィル。聞きたいことが山ほどあると言ったことだけれど……」

「分かっておる。王宮についたら時間を取ろう。こやつらが聞き耳を立てているうちは話さぬ方がよかろう」


 フィンラスは座席の下で眠っている子猫たちをじろりと睨む。イアンと仲間たちの体がびくっと跳ね震えだした。


「あら? ぷるぷるしているわ。可愛い」


 イアンたちが眠りながら、夢を見てぷるぷる震えていると思っているのはカテリアーナだけだった。


◇◇◇


 王都フェーレスに入った馬車は王宮までの道を進む。


 城下の町では国王が花嫁を連れてきたことで賑わっていた。エルファーレン王国の国民たちは皆外に出て、一目でも花嫁を見ようとしている。


「皆、カテリアーナを歓迎している。手を振ってやれ」


 人型に戻ったフィンラスが馬車の窓を開けてくれたので、カテリアーナは身を乗り出す。


 外には人型や猫姿、獣人のような人々がいて、皆手を振っている。カテリアーナはそれに答えるように笑顔を浮かべて、手を振り返す。


「顔が緩んでおるぞ。クローディアから王族の振る舞いを教わっているだろう?」

「だって、もふもふした人がいっぱい。きゃあ、猫耳可愛い」


 人の姿をしているが、耳だけ猫の少女を見つけてカテリアーナははしゃぐ。そんなカテリアーナを見てフィンラスは苦笑する。


「これは妃教育が大変かもしれないな」


 王宮に到着するまで、カテリアーナは子供のようにはしゃぎ放しだった。



 エルファーレン王国の王宮はラストリアの王宮と全く違った佇まいだった。


「何て素敵なお城かしら。子供の頃に読んだお伽話のお城のようだわ」

「気に入ったか? ラストリア王国は城塞都市で城は要塞だからな」


 眼前にそびえたつ城は白亜の壁に葉のカーテンがかかっている。周りは森に囲まれ、緑が豊かだ。まさに妖精が住む城といった佇まいだった。


「すごく気に入ったわ。早く散策してみたい」

「そうか」


 馬車は王宮の入り口に横付けされ、停止する。

ここまでお読みいただきありがとうございました(*^▽^*)

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― 新着の感想 ―
[一言] 結局馬車の中には何匹いたのかな? 相当数居たような…(笑) 囲まれたい…
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