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第七話 迷宮説明


 

 デシウスの性癖暴露を呆れ顔で聞き流しつつ、俺はフェリスから迷宮についての説明を一から聞くことに。


「それでは説明させて頂きます。まず迷宮とは今より数百年前に突如として現れた建造物の事です。誰が、何の目的で作ったかは今でも不明ですが、一説では神が作ったと言われています」


(迷宮、私は聞いた事がないな)


「あんたが知らないのは当然だろうな。説明を聞く限り迷宮がこの世界に現れたのが今から数百年前。そん時には既にあんたはこの世を去った後って話だ~」


(ふむ、確かにその通りだ)


 俺がそうしてデシウスと話をしていると、自分の説明を聞いていないと思ったのか、フェリスが可愛らしく頬を膨らませ、俺に文句を言った。


「カイさん、ちゃんと聞いてますか?」


「悪い悪い。ちゃんと聞いてるから続けてくれ」


「お願いしますよ。では続きで、迷宮とは大きく分けてこの世界に五つ存在しています。その内の一つがこれから私達が向かうクレイクの街にあり、故にクレイクは迷宮都市として有名なのです」


「ケケ、まだお前を連れて行くかは決めてねえけどな~」


 俺の言葉にフェリスは話の腰を折らないでくださいよ~と涙目で訴えてきたので、流石に俺もやり過ぎたと思い、ああ、悪かったなと雑に頭を撫でる。

 すると、不自然な程にいきなりフェリスの機嫌が直り、わ、分かってるならいいんすよ~と逆に機嫌が良くなった。よく分かんねえな~。


(……羨ましいな)


 デシウスの言葉は聞かなかった事にした。


「――ごほん、では話の続きに戻ります。先程クレイクは迷宮都市として有名と話しましたが、それ目的で世界中から多くの探索者が集まる街となっています」


「ん、探索者ってのは何だ?」


「探索者とは迷宮の中にあるお宝や魔物の素材などを目的に迷宮に潜る人達の事です。探索者は下位、中位、高位、最上位に分けられており、最上位の探索者は貴族や大商人などにも劣らない金銭を稼ぐと言われています」


「へえ、そいつは俺に向いてるかもな~」


「確かに、カイさん程の強さがあれば最上位の探索者になるのも無理ではないかもしれません。そしたら一緒に迷宮に潜る私もお金持ちに……ぐふふ~~」


 幸せな未来を想像しているのか、フェリスは十五歳の少女がしてはいけない程のえぐい表情で笑っている。いや、普通に怖えよ。

 しかし、このフェリスの姿を見ればデシウスも夢から覚めるのではないか、俺の小さな期待は背後から聞こえてきたデシウスの感心した様子の声で消え去った。


(年の割りにしたたか。それもまた味があるというもの……)


 駄目だこの剣神、もう手遅れだ……。

 

「どうかしましたカイさん、頭を抱えて?」


「……何でもねえよ。話の続きを頼む」


「分かりました。では最後にクレイクの迷宮の事について話します。クレイクの迷宮は全五十階層で構成されていて、現在は四十五階層まで攻略されています。そして、各階層事にボス部屋と呼ばれる特殊な場所が存在して、その部屋の中にいる魔物を倒す事で上の階層に向かう事が出来ます」


「へえ、五十階層まで攻略されてねえのか」


「はい。噂によると四十五階層のボスがドラゴンらしく、生半可な戦力では対抗のしようもなく、現状優秀な探索者を集め、連合で倒してしまおうと画策しているようです」


 フェリスの口からドラゴンという言葉が出ると、背後のデシウスがほう、懐かしいなと昔を思い出しているのか、目を細め呟いた。


「ドラゴンの事を知ってんのか?」


(勿論、倒したこともあるぞ。尤も、私一人ではなく魔術神と呼ばれた我が盟友、ノアと二人がかりだったがな。ふふ、懐かしい記憶だ)


「へえ、あんたが二人がかりだと現状、俺には無理か」


(いや、そんな事はない。お前の実力は生前の私に限りなく近く、加えて私達が倒したのは最上位のドラゴン、龍と呼ばれる存在。もし迷宮に存在するドラゴンがただの竜だったとしたら、今のお前でも特に無理なく倒す事が可能だろうな)


「ケケ、そいつは朗報――ん、どうしたフェリス?」


「……あ、いえ。ただ、カイさんが誰かと話しているように聞こえまして~」


 ああ、たとえ小声だろうとこんだけ近くにいるんだ、気付くわな。

 まあいい、おそらくフェリスと俺は長い付き合いになる、早めにデシウスの存在を教えておいたほうが後々厄介な事にならずに済むだろう。


 そう考え俺はフェリスに俺の背後にデシウスがいる事、俺の遠い先祖の剣神だった事、ロリコンでお前がお気に入りだと言う事、全てを話していく。


 そして全ての事を話し終えた後。

 フェリスは完全に調子に乗っていた。


「やだも~、デシウスさんは女を見る目がありますね~。全く、カイさんとは大違いですよ。少しはデシウスさんを見習ったらどうですか~?」


「……黙れ絶壁。話が終わったなら出発するぞ」


「ちょ!? 絶壁は流石に酷―――あれ、出発するぞって事は、もしかして私も連れてってもらえるって事ですか!? そうなんですか!?」


 背後で騒ぐフェリスを無視して俺は歩き出す。

 

(カイよ、これから騒がしい毎日になりそうだな)


 全くだ、頭が痛くなるぜ。

 ――だがまあ、屋敷に閉じ込められてた時の事を考えれば。

 そんな毎日も案外悪くねえかもしれねえな……。



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