第二十話 探索者の反応
高級宿アリステラに泊まった翌日。
俺とフェリスはアリステラの食堂で朝食を食べた後、金儲けの為に迷宮へ向かうべく探索者組合へ向かい、中へ入ると一斉に視線を向けられる。
「来たぜ、あいつが昨日暴れたヌルだ」
「おい、あいつをヌルって呼ぶのは止めとけ。昨日の【青の騎士団】と【青龍の息吹】の連中との揉め事を思い出せ」
「ああ、下手にヌルと呼んで怒らせたら何をされるか分かったもんじゃねえ。あの隻眼のウィルが自分より上だと認めた奴だぜ」
「けど、じゃあ何て呼ぶよ?」
「カイか剣神でいいんじゃねえか。自分でそう名乗ってたし」
探索者達は俺に恐れを込めた視線を向ける。
おそらく、昨日の一件を直に見ていた者達だろう。
はん、最初は俺の事をヌルだ何だのと馬鹿にしていた野郎共が随分と調子の良い事だなァ~と、俺の心の中で奴らを笑う。
もっとも、この魔術至上主義の世界において魔力を持たない俺を馬鹿にするのは致し方ない部分もあると言えばあるんだろうがな~。
「――あ、カイさんアルエさんが手招きしてますよ~」
「ああ、しかも少し怒ってやがるなあれは」
何か文句でも言われるのかね~。
そう考えながらアルエの元へ向かうと、俺の予想通りアルエは開口一番、【青龍の息吹】との一件の事を話し始めた。
「カイさん、昨日のアレは少しやり過ぎだと思うんです!!」
「あ˝~、【青龍の息吹】の連中を黙らせる為に剣を抜いた事か~?」
「その通りです! あの後、私達は大変だったんですよ!? 探索者になったばかりの人達はあの後もしばらく立ち上がれない人もいましたし、女の子の探索者なんて怖くて泣きだす子までいたんですよ!!」
「――あ˝~、そりゃ俺が悪りいな」
【青龍の息吹】の連中だけなら兎も角、無関係の探索者まで巻き込んだなら間違いなく俺が悪い、そう考え俺は最初にアルエに謝罪し、もし俺の剣気に巻き込まれた探索者がアルエの元に来たら、俺が謝っていたと伝えてくれと頼んだ。
「……はあ、今後は気を付けてくださいね。カイさんの剣気でしたっけ? あれ普通にそこらの魔物よりよっぽど怖いんですからね~」
ちなみに後に聞いた話だが、アルエは俺と【青龍の息吹】の連中とのいざこざの場面で近距離にいた事もあり、俺の剣気を受け腰を抜かしてしまっていたとか。
俺を叱ったのは私怨もあったのだろうか。
「ああ、今後は気を付けるさ。そんじゃ、早速迷宮へ潜って来るとするぜ~。今日は五階層辺りまで進むとするかね~」
「――普通は五階層に行くのに数週間はかかるものなんですがね。まあ、昨日の様子を見るに不可能とは思えないのが恐ろしいですね」
アルエの言葉に嬉しそうにフェリスはウンウンと頷き。
「もう本当にカイさんは凄いんですよー!! 魔物が何百匹いても一瞬で斬り伏せて!! ほんと化け物みたいな強さでしたー!!」
おい、褒め言葉として化け物はどうなんだ?
そんなフェリスの言葉を聞いた周りの探索者は魔物数百匹を一瞬!?と驚き、アルエも確かに凄いわね~と言った。
「け、けどユリウスとかウィルだって魔物数百体くらいは倒せるんじゃねえか?」
「確かに出来るだろうが、にしてもそれなりに時間は掛かる。それを奴は一瞬と来た。正直信じられねえが、本当だとしたらまじの化け物だ」
「――なあ、もしかしたらあいつなら一人で赤竜を倒せるんじゃねえか?」
「……不可能じゃねえと思えるのが、恐ろしいところだな」
探索者達の言葉に背後のデシウスは自信満々に言う。
(ふん、ただの竜ならばカイの敵ではあるまい。数分、いや数秒で事足りる相手であろう。剣神を継ぐというのは伊達ではないのだよ)
「ケケ、残念ながら誰も剣神の事は知らねえけどな~」
(――うう、それを言ってくれるなカイ)
落ち込んだ様子のデシウスに俺は悪かったと言い、しかしまあ不自然な話ではあるわな~と心の中で考える。デシウスの話が本当ならば魔王と戦ったデシウスは英雄と言っても過言ではなく、剣神の名も世に轟いていてもおかしくない。
あ˝~、何か厄介事の匂いがするぜこいつは。
まあ、あくまで俺の勘だけどな~……。
体調の関係で話がかなり短いです。
本当は五階層攻略の予定でしたが申し訳ありません。
そして、明日も更新できるかは不明です。
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