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第十二話 決闘、その後


 ゲイルとの決闘が予想外の形で終わり暫し剣を持ったままボ~としていると、フェリスが大声を上げながら俺に駆け寄って来た。


「わぁ~~!! 流石はカイさんですー!!」


 そのままの勢いだと俺に抱き着いてきそうなフェリスの頭を俺は手で押さえると、フェリスは若干不満そうに頬を膨らませ言った。


「むむ、カイさんは私に抱き着かれたくないのですか?」


「ケケ、俺はロリコンじゃねんだよ、どこぞの先代剣神様と違ってな~」


「うう、カイさんは相変わらず意地悪です~……」


 俺とフェリスのやり取りをアルエは微笑ましく見つめ、アプリはパチパチと拍手をしながら俺に話しかけて来た。


「うんうん、二人とも仲が良いのは良い事だね~。それにしても、カイ君は流石だったよ。まさかあんな勝ち方をするなんてさ~」


「あ˝~、あれは俺も予想外だった。俺としてはもう少しゲイルと戦っていたかったんだがな~。正直、物足りねえ気分だぜ」


「まあゲイル君のあの判断は仕方ないと思うけどね~。だって、遠くから見てた僕でさえ剣を握ったカイ君の姿には体が震えちゃったからね~」


 へえ、剣を握った時の俺はそんな風に見えるのか。

 けど、フェリスは平気そうだがな~。

 俺の疑問にアプリがすぐに答えた。


「多分、戦いの経験があるかないかだと思うよ~」


 あ˝~、成程ね。

 確かにフェリスは元荷物持ち。

 戦いの経験はねえわな~。


「――さて、それじゃカイ君の勝つとこも見れた事だし僕はそろそろ迷宮に潜ってくるね~。二人とも、またね~」


 アプリはそう言い残し走り去って―――はいかず、何か言い残した事があるのか周りには聞こえないよう小さな声で言った。


「カイ君、もし君が迷宮の三十階層まで辿り着いたら僕に教えてほしい。君の実力を見込んで、頼みたい事があるんだ」


 普段は飄々とした態度のアプリがこの時ばかりは真剣な表情でそう俺に告げた。


「あ˝~、覚えておくわ」


「―――ありがとう」


 アプリは俺の言葉に少し安心したのか笑顔になり、最後に俺に軽く手を振り去っていき、一連の話を聞いていたフェリスが俺の脇をつつき。


「カイさん、アプリさんの頼みってどんなことなんでしょうかね?」


「ケケ、そんなこと俺が分かるわけねえだろ。ただ、厄介事なのは間違いねえと思うがな~」


「え、厄介事だってどうして分かるんです?」


「アプリが俺の実力を見込んでって言ってただろ? あれはつまり自分だけでは手が余る事柄だから俺の力を借りたいって話だ。軽く見ただけだが、アプリはかなりの実力者。そのアプリの手に余るって事は、厄介事以外に有りえねえわな~」


「ああ、成程~。けど、厄介事と分かっていながらよくあんな簡単に頼みを受けましたね? カイさんはやっぱりアプリさんの事を……」


「あ˝~、別にアプリの事は何とも思ってねえから安心しろ。それに、よ~く思い出してみろ。確かに俺はアプリの言葉を覚えておくとは言ったが、一言も頼みを受けるとは言った覚えはねえぞ」


「――うわ~、カイさんっていい性格してますね~」


「ケケ、そりゃ俺は別に善人名乗ってるわけじゃねえからな~。困ってる人間全て助けたいとか欠片も思わねえし~」


 それに今は俺だけじゃなくてフェリスもいる。

 不用意に危ねえ橋は渡れねえわな~。


「まあ、何はともあれこの問題は三十階層に到達してからだ。今この事を考えるより、俺達にはさっさとやらないといけない事がある」


「え、そんなことありましたっけ?」


 この馬鹿、忘れてやがる……。


(まあまあ、フェリスも色々あった。忘れるのも仕方なしだ)


 お前はフェリスに甘すぎんだよロリコン剣神。

 全く、俺はため息を付きフェリスに言った。


「思い出せ、今の俺達は一文無しだ。このままだと、野宿だぞ?」


 俺の言葉にフェリスは先程までの笑顔を崩し、完全に真顔になる。

 俺とフェリスの間に何とも言えない空気が流れた。

 そして、フェリスは冷や汗を大量に流しながら俺の手を取り言った。


「カイさん、早く迷宮に入りましょう!」


「ああ、俺も今すぐそうしたいところだが、その前に俺の探索者登録を終わらせねえと。完成する前にあんなことになっちまったからな~」


「ああ、あれないと迷宮に入れませんもんね~」


 俺とフェリスは登録をするため組合の広場に戻る。

 そして広場へ戻ると何やら言い争う声が聞こえて来た。


「この馬鹿どもめ! あの化け物のどこが無能なヌルだ!? 貴様らのお陰で私はとんだ恥を晒したんだぞ!」


「え、けど団長だってあいつの事を馬鹿なヌルって蔑んでいたじゃないですか! 俺達だけに罪を擦り付けるのはよくないですよ!!」


「黙れ! 貴様らは私の部下で私は貴様らの団長だぞ! 私の言葉に逆らうな!! これ以上言い訳するなら除名処分にするぞ!!」


「そ、それは流石に横暴ですよ団長!!」


 【青の騎士団】団長のゲイルと団員の言い合いは長時間続き、他の探索者や組合の受付などは呆れた様子で眺めている。


「うわ、酷いですね」


「ケケ、あの分じゃ先は長くねえだろうな~」


 このしばらく後、俺の言葉通り【青の騎士団】は団長ゲイルと団員の争いが原因で自然消滅する事になるのだった……。



明日辺りに迷宮へ入ると思います。

もしかするとその前にマギウス家の話を入れるかもです、

そしてご報告とお願いです。

まず皆様の応援のお陰で日間ランキングに入る事が出来ました事についてお礼を申し上げます!

そして、これより上に行くためには更なる皆さまの応援が必要になります。

余りポイントポイントと言うのは意地汚く感じる部分もありますでしょうが、やはりポイントが上がると見てくれる人も多くなり作者のモチベも上がります!

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