第十話 アプリとフェリス
決闘を了承した俺は【青の騎士団】団長ゲイルに連れられ組合内にあるという修練場へ向かう。その途中、フェリスとアルエが俺に声を掛けた。
「カイさん、決闘を受けてしまって本当に大丈夫ですか? ゲイルさんはあのような振る舞いですが上級探索者として確かな実力を持っていますが……」
「もう、アルエさんは心配性ですよ~。大丈夫、カイさんならさくっと倒してくれます!――そうですよねカイさん?」
表面上は明るく振る舞うが内心は俺が勝てるか不安そうなフェリスに、ああ、何の問題もねえ、すぐに倒して戻ってくると告げる。
俺の答えにフェリスは良かったと小さく呟き安堵の息を漏らす。
そして背後を歩いていたアプリが俺の肩を叩き言った。
「カイ君が負ける心配はほぼないだろうね~。実際、ゲイル君は上級探索者としては下位の強さ、安心していいと思うよお嬢さん~」
「……むむ」
おそらくフェリスを気遣ったと思われるアプリの言葉に、何故かフェリスは頬を膨らませ目を細め、アプリを指さし俺に言った。
「カイさん、この人は誰ですか?」
「あ˝~、こいつはさっき知り合った自称中級探索者のアプリだ」
「ちょ、自称って僕は正真正銘の中級探索者なんだけどな~。まあいいか。紹介の通り僕の名前はアプリだ。宜しくねお嬢さん~」
「……はい、宜しくお願いします」
そうして二人は握手を交わしたが、俺の気のせいだろうか、基本的に誰とでも仲良くなれそうなフェリスが若干不機嫌そうにしている。
「あれ~、僕なんかしちゃったかな?」
「……いえ、特に何も。ただ、あなたは私の敵になりそうだと、そう思っただけですので気にしないで頂けると嬉しいです」
「――ああ、そう言う事か~! ふふ、可愛いな~もう~」
けどそう言う事なら心配いらないさ~とアプリはフェリスの顔に口を近づけ、小さく一言だけ告げ、先に修練場へ向かうと言いこの場を去っていく。
「何がしたかったんだか。てか、顔が真っ赤だが大丈夫かフェリス?」
「――べ、べべべべ別に私はカイさんの事なんて何も思っていませんからねー!!」
「あ˝~、何言ってんだお前?」
「――き、聞こえてないなら気にしないでください! さあ、早く修練場へ向かいましょう! 行っちゃいましょう!!」
そう叫び声を上げながらフェリスは修練場へと走っていく。
これを見たアルエはもう~青春ね~と嬉しそうに呟く。
あ˝~、意味が分からん。
(フェリスもお年頃か。それに引き換え屋敷に閉じ込められた結果、女性との接触がほぼなかったとはいえ、お主はまだまだ子供よのうカイよ~)
「おい、あんたまで変なこと言ってんじゃねえよ……」
てか、普段はそんな喋り方じゃねえだろ。
全く、それもこれもアプリがフェリスに何か言ったせいだ。
今度フェリスに何を言われたか聞き出してやる。
そう心に決め俺は修練場へ向かった。
今日は体調が悪くかなり短めの話になっています。
本当は決闘まで書きたかったのですが申し訳ありません。
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