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07.重装騎兵編

小説で超絶アクションをどこまで表現できるか、私なりの回答をここに。

今回は軍勢、重装騎兵1万の迫力に挑戦します。よろしくお付き合いのほどを。

 小さく、遠く、低く声――。

 気付く。振り向く。緩い丘――の、その上に。

 霞むような、陽炎にも似た――土煙。


 緊張が走る。警戒を呼ぶ。かすかな怖じ気が飛び火する。


 耳が捉える――鬨の声。

 足が捉える――地の震え。

 大地が、明確に、唸る――。


 大気に怖気。地に怯え。

 丘の上を今にも乗り越えて――、

 黒鉄の色。敵意の潮。殺意が大きく波を打つ。


 百ではきかない。千をも悠に上回る。

 丘を越え、地を踏みしだき、土煙に霞んでなお続く。

 敵意の黒。鈍色の闇。死神の殺意――それが束。


 警戒どころの話ではない。迎え撃つのも覚束ない。

 矢を弾き、地を揺るがして、戦意をへし折り意を奪う。


 恐怖。戦慄。押し迫る。

 怒涛を成して――死が寄せる。


 蹂躙――。


 弾く。撥ねる。衝き飛ばす。

 石より軽く、草より軽く、蟻より蚤よりなお軽く。

 押し倒す。踏みしだく。轢き潰す。

 悲鳴を圧し、血煙を呑み下して肉を噛み、骨を砕いてただ土へ――。


 死神どころの話ではない。

 想像の地獄など生ぬるい。

 酸鼻を極め、残虐を突き抜け、あらゆる命を原初へ還す。


 土から生まれ出たものは土へ――。

 灰から生じ出たものは灰へ――。

 そして塵から成ったものは塵へと――。


 残るは、ただ痕――。

 暴虐の響き、血肉の残滓、そしてただ死、死、死――。

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