第九話 蹂躙と戦闘
少しずつ長く出来るといいなぁ。
「な...」
僕は口を開こうとした標的の頭を飛ばし、近くに居る別の標的に向かっていく。そして僕の腕は簡単に標的を貫く。
「全員、あの餓鬼を狙え!」
指揮官らしき標的は仲間に命令する。
(好都合だな)
僕はそう思いながら近づいて来た標的達を一匹、また一匹と潰していく。
「魔法を使...」
「煩い」
僕は、鬱陶しくなって指揮官っぽいやつに一気に近づき殴る。ただそれだけで命は散っていく。
「...これで最後」
離れた所では、魔法を放とうとしていた魔族達を、シロを含めて元々この場に居た冒険者達が片付けていた。彼らは、今倒したやつで最後だと思っているらしいが、僕は気付いていた。
僕は、背後から来た黒い槍を難なく打ち落とす。
「貴様は何者だ?」
一帯に声が響きわたる。
その時、霧が出てくる。それも、とても気持ち悪い色の。
「皆!シロの下へ急げ!」
おじさんの声が聞こえた。何故とかそんなことよりも標的の方が気になる。
前から突然出て来る標的の頭を僕は軽くを吹き飛ばす。しかし、標的はすぐに再生して僕を殴る。
僕は後ろへ飛ばされ、木を何本かなぎ倒す。
標的は言う。
「下等生物が、身の程を弁えるがいい」
霧が消え、標的の姿が露わになる。
魔族のように人間と同じような姿だが、角が生えていて肌も青い。
冒険者の一人が怯えながらそいつの名前を言う。
「魔人」と。
それは魔族の上位個体を指す、名前。冒険者ランクSからA程の力を持っている。
そして何よりも厄介なのがその回復能力。心臓と頭の両方にほぼ同時にに致命的なダメージを負わせなければ殺せない。例外は少しあるが
「その巫山戯た力があろうとも、一撃で貴様に致命傷を負わせれば意味あるまい」
魔族は勝ち誇ったように言う。やつはさっき持ち前の鋭い爪で、僕の心臓を狙ってきた。僕の心臓を潰すまではいかなかったが、恐らく少し削れた。
普通だったら、死んでいた。
僕は一切傷の無い体で奴に迫る。やつに飛ばされた時に着ていた服がかなり破け、巻いていた包帯は殆ど無くなっている。
抑えが無くなったら速度も変わる。此処に来た時よりも早く近づき、相手の片足を飛ばす。
「何っ⁈、しかし無駄なこと!」
そんな僕の姿を見て驚いたようだが、直ぐに片足を再生し懐に入ってくる。そしてまた同じように僕の心臓を狙うが、今度はやつの爪が折れる。
「何だとっ⁈しかし、防御力が上がった所で!」
やつはまた驚いた表情を見せるが、そのまま僕に拳をかます。それによって僕は上空へ飛ばされる。
やつは背中に翼を生やし、僕に追撃をする。そしてそのままされるがままに攻撃を受け続ける。
今の僕にはそれらの攻撃はほぼ効いていない。感覚も鋭くなっている。
段々とやつが何処に攻撃をするか分かるようになってくる。
僕はやつの腕を左手で掴み引き寄せて、口を開く前に右手で脳天から体を貫く。
やつはそのまま絶命する。
骸と共に地面に落ちる。
僕は少しだけ理解出来た気がする、この力のことを。今は前程の殺意は無い。
僕は、まだ残っていたズボンのポケットからおばちゃんから貰った砂糖菓子を口に入れる。
「あぁ、甘いなぁ」
僕は以前と違って、気分良く意識を失った。
エルは何を理解出来たのか。
次回はシロ視点で今までの振り返り予定。




