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俺がとんでもないものと関わった話!!  作者: カイム OTA
序章
9/16

第捌話 美人なお姉さんが急に叫んだのでびっくりしてみる




言われるがまま椅子を運び、指示されたとおり部屋の中央に置く。二つの椅子が向かい合わせになった。


「よし、完成。そっちに座って。」


これまた言われるがまま席に着くと、向かいに未来(みらい)さんが座った。


「これから、君の悩みを解決する手助けをしてあげる。だから、私のことを今だけ全面的に信用してね。」

「は、はい。」


いやに真剣なトーンで話す未来さんにつられ、心臓の鼓動(こどう)が少し早くなる。


「緊張してるの?ふふ、じゃあ始めよう。」


そう言うと未来さんは胸元から何か光るものを取り出した。…あれは宝石?深い(あお)色をしている。

と、彼女の目つきが変わった。なんだろう、殺し屋の目というか、眼光がやばい。ここじゃないどこかを見ているかのように()わっている。


「出てこい…。今すぐにッ!!」


未来さんの叫びが校舎に響く。直前までの彼女とのギャップに俺が固まっていると、どこか遠くで笛の音が聞こえた。

突然、教室全体が霧に覆われた。扉付近に立っていた先輩はおろか、正面の未来さんの姿まで(かす)んでくる。


「え…。み、未来さん、なんか霞んできたんですけど!」

「落ち着いて。それは自然現象よ。むしろ霞まなきゃおかしいわ。」

「落ち着けって言われても…」


視界がどんどんホワイトアウトしていく。俺は恐怖と戦いながら、かすかに見える未来さんの足を凝視(ぎょうし)した。一応言っておくと、意識を飛ばさないためだ。断じて足に興味があるわけではない。


「晴れるかなー、これ。」


雰囲気をぶち壊すような軽いノリで未来さんが話す。

と、おもむろに未来さんの足が鮮明になってきた。


「晴れてきましたよ!」

「私の足を(にら)みながら言わないでよ。ほら、顔を上げて。」


言われたとおりに顔を上げると、そこには未来さん…じゃない誰かが立っていた。彼女の背後に。

俺はそいつから目を離さずに未来さんへ言葉を投げた。


「みみみ未来さん、今すぐ逃げてください!」

「逃げる?なにから。」

「う、うう後ろに明らかにヤバい奴がいます。多分すでに何人か人殺してますよ!」

「そう…。でも、私は安全よ。」

「え…?」


明らかにヤバい奴を背後に立たせているのに、この人はどうしてこんなにリラックスしているんだろう。


「なぜなら、その『ヤバい奴』と相対(あいたい)しているのは、私じゃなく、あなただからだよ。」


相対しているのが…俺?

そう認識した瞬間、いまだ霞がかっていたそいつの顔から霧が晴れた。


「…っ!」


それはとてもよく見慣れた顔。朝、昼、夜、鏡を見ればそこにあった顔。つまり俺だった。


小波(さざなみ)くん、何がみえる?」

「………おれがみえます」

「ふーん、そっか。」


未来さんは意味深なセリフをつぶやき、すぅっと息を吸うと、俺だけじゃない、そいつにも向けているかのように言葉を発した。


「じゃあ、君たちには今から面談をしてもらいます。」



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