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俺がとんでもないものと関わった話!!  作者: カイム OTA
序章
8/16

第漆話 いくらなんでも怖すぎるので美少女先輩に頼りまくってみる



ずんずん進んでいく先輩を追い、校庭に入る。心霊スポットだという先入観と、今は丑三つ時だという事実に、まるで異世界に来たかのように錯覚してしまう。


時々校舎や校庭に人がいる、と感じるのはただの幻覚なんだろうか。


コンクリート造りの校舎に足を踏み入れると、中は閉鎖(へいさ)空間だからか、俺たちの足音だけが際立(きわだ)って響いた。

思った通り、中は(すた)れていて、床に使われているゴム材がところどころ逆立っている。

どこまでいくんだろう…。さっきから先輩の(そで)をつかんでいるのだが、先輩は変わらない速度で歩いている。


階段を一階、二階と昇る。もう三階だ…。え、まだつかないの?そろそろ気を失いそうなんですけど。


「あ、あの、どこまでいくんですか」

「着いたわよ。」


間が悪いが、どうやらやっと着いたらしい。

そこは一階や二階にもあった普通の教室だった。

先輩に続き中に入ると、教室のなかには一人の人間がいた。


「んお、やっときたねー?いや、時間ピッタリか。」

「連れてきたわよ。この子が小波(さざなみ)くん。」

「ふーーーーーん?」


その人は俺に近づくと、じぃーっと見つめてきた。緋色の瞳が上へ下へ動いている。

仕返しとばかりに、俺も先輩に隠れながらその人を観察する。

髪の色は青。珍しい色だ。服はスカートタイプのスーツ。スカートはタイトではなくふわっとした形をしている。っていうかスタイルがいい。きゅっと締まったくびれがその上のバストを誇張している。そんなに大きくはないはずなのに、なんだろう、とても蠱惑的(こわくてき)に見える。

まぁここが心霊スポットである限り、美人なんて怖さに拍車をかけるだけだが。


「うぅん、いいね。とってもいいね。君、名前は?」

「え…?今先輩が言ってませんでした?」

「あれ、そうだっけ。まぁいいよ。名前は?」


いやよくはないと思う。とはいえ進展がないので、ここは素直に名乗っとこう。


「小波、彗です。小さい波に彗星の彗。」

「ふむ、矮小(わいしょう)の小に電波の波、それとほうき星ね。」

「…」


…いやそうだけど。間違ってないんだけど、なんかむかつくな。この人、先輩と同系統の人間か?


「私の名前は夢原(ゆめはら)未来(みらい)。未来でいいよ。」

「あ、はい。」


自分の名前は突っ込ませないのか。自分勝手なとこがますます先輩っぽい。


「で、スイくん。君は怪奇現象を解きにきたんだとか。それ本当?」

「本当です。ここなら解消できるって聞きました。」

「…うん、そうだね。でも、違うよ。」

「…え?」


何が違うんだろうか。俺が先輩に聞いたのはそういう話だったはずだ。

と、俺が怪訝(けげん)な態度になったのを感じ取ったのか、未来さんはうん、とうなずくと、真剣な目で俺を見た。


「小波くん、訂正させてもらうとね、解消できる、じゃなくて、解消するんだよ。」

「解消する?それって結局一緒じゃ…?」

「いいや。違うんだ。」


そう言うと未来さんは真剣な態度のまま一度深く呼吸をした。


「確かに怪奇現象を解消できる環境ではある。でもね、最終的には君が頑張らなくちゃいけないんだ。」

「俺が…?」

「そう。君が頑張らなきゃ失敗することもあり得る。だから、覚悟をしておいてね。」

「か、覚悟って」


未来さんは俺の言葉を待たずに、にっこりと笑うとすたすたと教室の奥へ歩いて行った。


「手伝ってくれるかな。椅子、運んでよ。」



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