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俺がとんでもないものと関わった話!!  作者: カイム OTA
序章
6/16

第五話 夜は静かなので逆に心は弾ませてみる

 



 ()()ない絶叫。走る閃光。助けを求める女の子。そんな中にひとつ、妙に鮮明(せんめい)な音が響いている。


「ピピピピピピピピ」

「………うっさ」


 俺は耳元で鳴り響くスマホのアラームを止めた。うん、疲れはとれてるな。

 現在時刻、午前一時。外はまっくら。家の中もまっくら。ただ俺の部屋を除いて。


 俺は今日の丑三つ時…午前二時に、先輩から書かされたメモの場所に行かなければいけない。

 大体家から10分くらいの場所なので、出るのは……1時40分ぐらいでいいか。


「……」


 ぼーっとしていると、先ほど夢の中に響いていた絶叫が遠くから聞こえてくる。

 うーん、幻聴がひどいな。幻覚も時々見える。ほんとに今日で解決するんだろうか?


「……っと、支度(したく)しなきゃ」


 頭を起こすためにシャワーを浴び、もろもろの支度を整え、準備が完了した頃にはもう1時30分だった。

 ……あと10分どうしよう。早めに行くか、ゆっくりいくか、それともひとりしりとりでもするか……。うん、散歩ペースでゆっくり行こう。

 歩速を半分にすればちょうど予定通りに着くはずだ。せっかく夜の街に繰り出すのだから、普段見ない街の姿をじっくり見てみよう。


 家族を起こさないように無音で家を出ると、外もまったくの静寂(せいじゃく)が広がっていた。

 うわぁ、なんかテンション上がるんですけど。控えめに言って、夜、最高。


 にわかに浮足立ちながら、俺は目的地へと歩を進めた。もし長期戦になったりした時用に水や軽食を購入し、リュックを弾ませながら夜の道を歩いた。リュックどころじゃない。俺も跳ねていた。スキップしてた。


「~♪」


 鼻歌まで歌いながら夜道をスキップする男子高校生。それは紛れもなくただの不審者であった。

 ふと、スキップしている最中(さいちゅう)、真横からひぇっ、と可愛い声が聞こえた。立ち止まって声の方を見ると、そこにはまるで幽霊でも見たかのような顔の女の子が。


「……」

「……」


 なんだろう。あきらかに警戒されている。深夜に出歩く者同士、仲間のはずなのに。

 その女の子は制服だった。これはうちの制服か。こんなとこでなにしてんだろう。と思い、


「な、なぁ」


 と声をかけた、いや正確にはかけようとした時だった。弾かれたかのように駆け出した女の子は、すぐそこの角を曲がって俺の視界から消えていった。それ、ガチで不審者を()くときの挙動じゃねぇか。ちょっと傷つく……。


 ふと、あの女の子はどこから出てきたのか気になり、視線を戻す。

 女の子に気を取られていたが、よく見ると……これは……()()

 ってことはここ神社か……。いや怖いよ。なんでこんな時間に神社から女の子が出てくるんだよ。うん、見なかったことにしよう。怖いからね。


 気を取り直して夜道を歩く。一度は下がった俺のテンションも、いつのまにか元通り(つまり不審者)になっていた。





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