表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺がとんでもないものと関わった話!!  作者: カイム OTA
序章
3/16

第二話 美少女先輩が怖いので従順に跪いてみる

 冷汗(ひやあせ)が首筋をつたい、()えられた白銀をかすめて地面に落ちる。

 まぁつまりどういうことかというと、俺は現在帰宅途中で、火咬(かがみ)と雑談をしたあと校門を出ようとしたタイミングで、刀を首筋に突き付けられている、ということ。


 うん、客観的に見ても意味が分からない。どうしてこうなった。


 俺は横目で刀を突き付けている本人を盗み見る。


 限りなく漆黒に近い紫色の超ロングヘアーは(あで)やかにつやめいていて、見る者の心をくぎづける。


 可憐で整った中に可愛さを見いだせる顔立ちと、大きいつり目はとてもマッチしていて、まるで二次元の女の子の様だ。

 背中にはギターケース、服は学校指定の制服、足を(おお)うのは黒タイツ、というなんともオーソドックスなスタイルのはずが、彼女のスペックのせいでティーン雑誌に載っていてもおかしくないような着こなしだと錯覚してしまう。


 その女…天命夜景(あまみよかげ)は俺を興味なさそうに眺めながら言った。


「数日前、始業式の日に見たことを話しなさい。」

「み、見たこと……?」


 俺がオウム返しをすると、彼女の右足が(またた)いた。そして腹部に襲来する鈍痛(どんつう)


「ぐふぉあっ!」


 たまらず俺が(ひざまず)くと、彼女…いやこの女は変わらず退屈そうに俺を踏んだ。

 …俺を踏んだ。……踏んだ!?この現代(いま)という時代(とき)で人を踏むなんて、SやМに関するプレイでしかありえなくないか!?こいつナチュラルに踏んできたぞ!?っていうか踏みにじってる!ぐりぐりしてるぅ!


「俺は……こんなプレイを予約した覚えはない……!」

「あら、そう? 私はこうするつもりで来たのだけれど。」


 まずい、このままだと俺の中で何かが目覚めかねない!はやく話を進めないと!


「あ、朝、登校してたら、路地裏で、刀を持った、変な人を……見た」


 なんとか言葉をひねり出す。発言が終わるとともに、こいつは俺の背中を、一拍おいてひときわ強く踏みにじった。

 痛い痛い痛い痛い!これかかとでぐりぐりしてる!背中へのめり込み方が半端じゃない!地雷でも踏んだのか!?


 すると、こいつははぁっと短くため息をつき、ぐりぐりを止めることなく淡白(たんぱく)に言い放った。


「それ、私。」


 ……あっさり自白しやがった。せっかくぼかしたのに。


「やっぱりあなたが(のぞ)き魔だったのね。上倉(かむくら)高校2年2組、出席番号12番の小波彗(さざなみすい)くん。」


 なんだろう、ちょっと調べればすぐ出てくるような、ともすれば誰でも知ることができる情報のはずなのに、俺の全てを知られているような、そんなとてつもない恐怖を感じる。


「覗きじゃない……。通りがかっただけだ。つまり事故だ」

「事故じゃないわ。あなたは自分の遺志で路地裏に踏み込み、自分の遺志で私たちを覗いたのよ。」

「いいがかり過ぎるだろ……。俺の意思だとしたら、あんな身を乗り出して覗いたりしない。もっと見つからないようにする」

「あら、意思じゃないわ。遺志よ。志を遺すとかいて遺志。」

「お前は俺をもう死んだものとしてみているのか!? どんだけ見られたくなかったんだよ!」

「ちなみに聞くけど。」


 天命は俺の悲痛な叫びをつまらなさそうにぶった切ると、これから殺されるのかもしれない、という事態に若干震えている俺を、さらに強く踏みつけて問いを投げかけてきた。


「その後のことはちゃんと覚えてるわよね?」

「………」


 答えは沈黙(ちんもく)。まぁ仕方がない。こういっちゃなんだが、全く覚えてない。厳密(げんみつ)に言えば、天命を見たあたりから記憶が(おぼろ)げになり、その後のことはさっぱりわからん、という感じだ。


「お、覚えてない゛っっつぅぅぅうううう!!!!」


 言い終わる前に、背骨に鋭い衝撃が走った。んー、これは多分(かかと)落としかなー。なかなか痛い。涙出そう。っていうか出てる。ちょっとだけ。


 だが俺は暴力には屈しない! 絶対泣いたりなんかしないんだから!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ