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俺がとんでもないものと関わった話!!  作者: カイム OTA
序章
14/16

第拾弐話 天命を得たので未来を選びとってみる

 

「はぁ……。見かけ通り、優柔不断ね。いいわ。私が助けてあげる。」


 突然耳に入ってきた声に、俺は戸惑(とまど)いを隠せなかった。ちょっと懐かしい声。しばらく聞いていなかった罵倒(ばとう)。そうだ。これは……


天命(あまみ)……先輩……」

「えぇ、そうよ。あなたみたいな優柔不断な泣き虫を見てると、とーってもイライラするからアドバイスをあげる。」

「ちょ、夜景(よかげ)ちゃん? ……ま、いっか」


 未来(みらい)さんが何かを言いかけたが、先輩はそれに構わず、俺の顔を白く細い両手で包むと、目線をまっすぐ合わせてきた。その眼には迷いなんてない。


「いい? 人間だれしも、選ぶことのできないような選択に遭遇(そうぐう)することが多々あるわ。」

「はい……。今がそうです……」

「黙って聞きなさい。そんな時、一番後悔しない方法はね、」


 先輩の目がすっと細くなる。手は俺の顔をホールドしたままだ。


「自分がやりたい方を選ぶのよ。メリットデメリット、被害利益そんなもの全部無視して、自分のやりたいものを選ぶの。そうして選んだものは、きっと未来への力になるわ。」


 その言葉が俺に届いた瞬間、今まで思考を覆っていた霧がぶわっと晴れ、天から幾筋もの光が差し込んできた気がした。


「人ひとりができることなんてたかが知れてるんだから、何を選んだってなるようになるのよ。なら、やりたいことを選んだ方がお得じゃない。」


 ふっと微笑(ほほえ)み、先輩の手が離れる。もう言いたいことは言い終わったのか、先輩はくるっと背を向け扉の方へ歩いて行ってしまった。


 残されたものは静寂。そして、俺が決断するまでの時間だった。

 しかし、俺はもう『決めない』なんて許されない。

 それに、俺はもう悩んでなどいなかった。


「……未来さん」

「うん」


 決断を告げるべき相手に呼びかける。未来さんは少しも変わらない態度で俺の決断を待っている。

 そしてもうひとり。


「……小波(さざなみ)……(すい)。」

「……あぁ」


 目の前の俺の眼にも涙が浮かんでいた。だが表情は暗くない。それは俺にとってちょっとだけ救いだった。


「二人とも、聞いてほしい」


 目を閉じ深く呼吸をする。俺の答えは決まっていた。もう後悔はしない。これが俺の未来になるんだ。

 俺は目を開け宣言した。


「俺は、消さない。こいつを………消さない。」



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