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第90話 まるでホラーだ


俺とアニスはペロパリの家に向かっていた。ハーリーさんには図書館で待機してもらうことにした。会えるか確認を取るためにと言い訳をした。


 「まさか、あの男がそこまでの度胸があったとはな」


 「奥さんが居るのに堂々と恋文書くとはな」


 「僕ならそれをされた瞬間、アービスを縛りあげて、女はなぶり殺す。苦痛という苦痛を与えて殺す」


 なんで俺が縛り上げられているのだろうか。そこはツッコんだらいけない気がする


 「ついた、ペロパリの家だ」


 「詩人! 出てこい!」


 アニスは家に怒鳴りつけるが物音がしない。まさか、居ないのか?


 「アービス離れてろ」


 「壊すのか?」


 「よく分かったな」


 自分の考え方を当てられたアニスは嬉しそうに木製扉を蹴破った。扉の残骸が玄関の方に飛び散っていく。

玄関には様々なものが散乱していた。本に紙、瓶、刃物、魔法具、さまざまだ。


 「汚い家だな」


 「彼の家では私物が語りかけてきて、挨拶なんかをするって詩集に書いてあった」


 「そんな戯言がどうした?」


 「だからこんな物が散乱しているのかなって」


 「ふん、現実逃避の結果だろ」


 興味がなさそうに物を跨いで歩きだすアニス。俺もアニスの後を付けて行く。


 「気をつけろ、一応、最上級魔術士だ」


 「クライシスやシャロちゃん、アモンクラスじゃないなら苦戦するわけがないだろ」


 「あまりペロパリさんについては詳しくないからなんとも言えないが要人にこした事は無いだろ」


 「心配するな、アービス、僕は君を守るよ」


 「だからそれ逆……」


 俺の言葉は届かなかったのか、アニスは自信満々な顔をしてペロパリさんの家を探索し始める。

 リビング部分のベランダから見える植物たちは綺麗だったがリビングにさえ、物が散乱していた。


 「俺は二階を探す」


 「大丈夫なのか?」


 「俺の事も少しは信用しろ」


 落ち着かせるためにアニスの頭を撫でるとアニスは顔を赤らめて分かったとだけ笑って呟いた。


 ――――


 二階に登ると、部屋が五つあり、俺は手始めに近くの扉を開く。そこはピンク色のベッドの置いてある部屋だった。ここには物は散乱しておらず、綺麗に整頓されていた。


 「もしかしてハーリーさんの娘さんの部屋?」


 浮気をされていると娘さんは知っているのだろうか、俺はペロパリへの怒りを募らせ、その部屋を探る。


 「――ます」


 すると俺の耳になにか声が聞こえてきた。俺は部屋の隅にあるクローゼットを見た。

背後から聞こえた気がしたが、まさかな……。


 「ハーリーさんの娘さん?」


 「――ます」


 「中に居るのか?」


 「――ます」


 微かに聞こえる音だけではまるで分からない。俺はクローゼットの開ける窪みに手を入れ、思い切り引っ張った。


 「おはようございます」


 「うわあ!?」


 そこに居たのは、目を虚ろにさせ、同じことを繰り返して呟く裸体の女性だった。クローゼットの中にぴったりハマって正座で座る女性。年齢は10代後半くらいか?ツインテールの女の子だ。


 「な、なんだこれ!?」


 「どうした!?アービス!?」


 俺の叫び声に釣られてやってきたアニス。その光景を見て俺の方に駆け寄ってきた。


 「おい、アービス、まさか、服を剥いたのか?」


 「そんなわけないだろ!クローゼット開けたら居たんだよ!」


 「ならいつまで見てるんだ!」


 俺はアニスの両手で両目を押さえられ、後ろにバランスを崩し、壁に背中を打ち付けた。


 「いてえ!?」


 「す、すまない、そこまでする気は……だが、目を奪われる君も悪い!!」


 「理不尽すぎるだろ!」


 「す、すまない……アービス、ごめん」


 さすがに罪悪感が沸いたアニスは俺を心配そうに見つめてきて、俺は怒る気持ちが薄れた。


 「あ、いや、大丈夫、怒鳴って悪かった」


 「ありがとう、アービス、背中大丈夫か?」


 「おう、大丈夫だ」


 元気な所を見せるように俺は立ち上がるとアニスは良かったと安堵した。


 「さて、この子なんだろうな」


 こんなに騒いでも女の子はただただおはようございますを連呼していた。


 「僕はそういうのに詳しくないから分からないが操る術とか?」


 「有り得るな、それが得意魔術か?」


 「あいにく、この家に詩人は居ないな、さて、どこに消えたかな」


 「ペロパリさんが何をしたいのかが分からないからな」


 「ただ女を手篭めにしたいだけだろ」


 「彼は最上級で詩人だぞ? 詩を好きな女性は多いし、上手い詩を言えればモテない理由がない」


 「言えないんだろ、僕は読んだことさえ忘れたが、アービスの説明とアモンの感想を聞いた限りでは、暗い詩しか作れないのでは?詩人の恋文は酷かったろ?」


 「た、たしかに」


 というか話をちゃんと聞いてたんだな、ボーとしてただけじゃなかったのか。

 だが、そんな理由ではない気がする。なぜ、奥さんをこんな状態に変えた?


 「変声師の娘がどうして結婚したのかは分からないが、この現状を見るに何かがあったんだろう。それは詩人に聞かないと分からないな」


 「もう少し調べてみるか」


 「彼の私室を探そう、何かあるかもしれない」


 俺はアニスの提案を受け入れ、アニスがハーリーさんの娘さんを毛布で包みベッドに横たわらせると他の部屋を探し始めた。

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