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第59話 ガリレスさん汚い


 「おっほほほ! ここは通さないわよ!」


 「ここは俺が――――」


 「|百本木杭(ハンドレッド・パイル)!!」


 「きゃあああ!!!」


 俺の勇気ある行動をガン無視したアニスの詠唱と共に手から放たれた千本の細い木の杭が、次なる刺客の鉄扇(てっせん)を持ったお姉さんに振り掛かり、お姉さんは背中を向けて逃げ出し、杭が地面に突き刺さる中を必死で駆け回って逃げ、百本目の杭が地面に突き刺さった辺りで息切れを起こしながらこちらを向いた。


 「はぁはぁ、そんな攻撃当たらな――――」


 「えいっ!!」


 またもやアニスはポケットに入っていたものをお姉さんに投げつける。それは投げナイフだった。お姉さんはそれを息切れしながら鉄扇で弾く。


 「はぁはぁ、舐めないで、はぁはぁ、欲しいわね」


 「舐めてないさ」


 真顔でそう言い放ったアニスにお姉さんは訝しげな表情を浮かべる。すると、弾かれたナイフが勝手に動き出し、お姉さんに向かって行った。


 「きゃあ! なによこれ!」


 お姉さんは何度も鉄扇で弾くが、ナイフは勢いを増して襲って来ていた。


 「ああ!! それももったいない!」


 また悲痛な声で叫んだのはチェーンさんだった。俺は出番が無い分、黙ってこの光景を見る事しかできないため、チェーンさんの解説を大人しく聞いた。


 「あれは、千年間刃が欠けないナイフとして有名だったんが、なんと狙った獲物は刃が突き刺さるまで逃さない呪いのナイフだったんだ!」


 「そうか、なら永遠にそうやっていろ」


 「ちょっ! ちょっと待ちなさいよ! いやぁ! 助けて!」


 チェーンさんの解説を聞いたアニスは無慈悲にナイフに襲われているお姉さんを放置し、先を進んでいった。俺は戻るときにまだやっていたら助けてあげようと思い、先へ進んだ。すまない、お姉さん。


 ――――


 そんなこんなで刺客を無数の魔法でごり押していくアニス。奪った魔法アイテムは三つだが最後の一つは使わなかった。理由は知らん。


 「さて、着いたな、この門の先がキングオーガが居た場所だ」


 チェーンさんのランタンが割れないように気をつけ、刺客を倒していたらいつの間にか、あの門まで来ていた。だが、キングオーガは居ない。油断しなければ不意打ちをされても対処できるはずだ。


 「開けるぞ」


 アニスとチェーンさんは頷く。俺は勢いよく門を開けるとそこには――――太ったおっさんが部下に鉱石を掘り出させていた。


 「おい! おっさん!」


 「誰がおっさんだ! うおっ! お前はブリッジのクソガキ!」


 「誰がクソガキだ! クソおっさん!」


 なるほど、このおっさんがジルド商会のジルドか、チェーンさんとクソクソと連呼し、言い争いをしだした。小学生の喧嘩かな?


 「くそ、賭場に来ると踏んで高い金が貸し切りにしたってのに」


 「その割に雇ってないやつが紛れてたぞ」


 「そんなわけがないだろ」


 「強運のガリレス」


 「は? やつは私が口頭で金を出すと言って金が入った袋を出した瞬間に金を受け取ったぞ、その後の最上級魔術士の冴えない男よりも早かったくらいだ」


 「ガリレスぅう!!」


 た、確かにあの場に一人、事情を知らないガリレスさんが居た方が不思議だ。

 ガ、ガリレスさん、まさか、追手を引き受けたのって……シャーロットさんとアモンさんを途中で裏切って闇討ちする気じゃ!


 「強運め、金を受け取った事をうやむやにするために僕たちに力を貸したな」


 俺とは違う予測を立てたアニス。そ、そういうことなのか!? でも依頼は受けたならそれを実行するのが魔術士じゃ……。


 「途中で裏切るためじゃなくて?」


 「やつのようなずる賢いやつはそんなことしないな、まず、王命を下されている僕たちを攻撃した事がバレたら最上級魔術士の称号剥奪だ、どこぞのアホは権力さえ手に入ればなんとかなると思った愚か者だろうが強運は違う」


 「だ、だけど、ガリレスさんはお金を受け取ったんだよな? なら依頼を引き受けて実行するってことじゃ……」


 「やつはそんな誠意のある人間じゃないのは分かるだろ、だからそこのクソ商人が金を出した瞬間、金を受け取ったんだ、もしもクソ商人の方が成功して、何もしなかった自身を責めに来た時、金を受け取った後はよく聞いてなかったと言うためにな、僕たちが賭場に来なかったら、金だけ持ってとんずらを考えていたんだろうが、まぁ、僕たちが本当に来ると思ってなかったのがやつの計算違いだな、この際、一時的に仲間になってしまえば良いと考えて追手を嫌々な演技で引き受けたんだろう」

 

 それが本当ならなんて矮小な人物なのだろうか。汚い汚すぎるよガリレスさん。俺はガリレスさんがしんがりを務めくれた時の事を思い出し、ガリレスさんの思惑にかかりかけてた自身を恨みつつ、ガリレスの株が俺の中で下がった音が聞こえた。


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