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第53話 こいつらと関わると不運しかねえ

 

 俺たち勇者パーティーとチェーンさん、エルちゃんの六人はなぜか賭場に来ていた。チェーンさんが行きたいと駄々をこねたせいだが。ダーツに、ルーレット、ポーカーなど様々な種類の掛けゲームが行われていた。後は酒飲み場もあり、まさに大人の繫華街のような場所だ。前世の世界のパチンコなどが無い分、静かめな気がした。

 来たことが無いので分からないが王都で見たことが無い人だらけだ。


 「すごいです~! 初めて来ました~!」


 「ふらふら移動すんなよ、アモン」


 「シャロちゃんは博打弱いからね~」


 「弱くない!」


 この人、酒も博打も弱いのか。喧嘩以外からっきしだな。すると見ていたのがバレ、シャーロットさんが近づいてきた。


 「おい、なに見てんだよ、ガキ! 弱くねえから!」


 「いや、なんも言って――――」


 「目が言ってんだよ!」


 「おい、アービスをいじめるな、雑魚雑魚シャロちゃん」


 「なんだその呼び方!?」


 「クソ雑魚シャロちゃん」


 「殺すぞ!」

 

 勇者パーティーが騒いでいる中、チェーンさんは賭場の隅にあるルーレットの賭け場所に行き、かなり賭けに勝っている男に話しかけた。


 「やぁ、ガリレス」


 「おげえ! なんでお前ら、こんなとこ居んの?」


 俺たちの顔を見て、まるで気持ち悪い物を見たかのような反応を示したのは、黒いジャケットを着て、髭を生やした黒髪天然パーマの男だった。この人は確か強運のガリレス。最上級魔術士の一人で、この前の三人組の騒動の際、なぜか肥溜めでオーゲイの下敷きになっていたという。


 「ガリレス、お前、臭いぞ」


 「馬鹿にしてんのか! シャーロット!」


 「してねえよ! 肥溜めのガリレス!」


 「してんじゃねえか! なんだよ、てめえら、勇者パーティー、エア・バーニング以外揃えてよ、こっちは一週間前から匂いが取れなくて自宅謹慎してやっとこさ、外に出れて気分良かったんだ、邪魔すんな、特にチェーン、お前は俺の前から消えろ」


 「なんかしたっけ?」


 「これからなんだよ」


 ガリレスはそれだけ言うと、ルーレットの方に視線を戻したが、俺の傍に立っていたアニスがガリレスの頭を掴み、こちらに戻した。


 「おい、強運、教えろ、何が起きるんだ?」


 「いだだっ! な、なんだよ! 勇者様のくせに野蛮すぎるだろ!」


 「僕はそういうまどろっこしい察しろみたいなのが嫌いだ、何か知ってるなら話せ」


 「分かった! 分かったから頭から手を離せ!」


 ガリレスの頭を離すアニス。ガリレスは自身の頭を押さえながら、アニスへの恨み言を呟きながらチェーンの方を見た。


 「お前、隣国のジルド商会に喧嘩売っただろ、今日の朝くらいから酒場とか賭場とかにあのジルド商会のやつらが傭兵を募集してたぜ、他の最上級魔術士や俺にも声掛けてきたしよ、誰かしら最上級魔術士が乗ったらめんどうだぞ」


 「ガリレスは断ってくれたんだ、さすがお得意さん」


 そういえば、ガリレスさんは隣国から依頼をよく受けているらしい。

 確か、ガリレスさんの最上級魔法は、マッピングだ。宝箱やトラップを察知できる。どんなに過酷な状況や場所でも生き残る事から強運のガリレス。パーティーに一人は欲しい感じの人員だ。オーゲイが死ななかったのもガリレスさんが居たからかもしれない。


 「あ? 当たり前だろ、勇者パーティーを護衛に付けた事も噂として流れてたんだよ、お前らみたいなとんでもびっくり人間相手に俺がどうしろってんだよ」


 「戦うしかない!」


 「それが嫌だから断ったんだろうが! 居るとは思えねえが、アホの中のアホは絶対いる、ここを戦場にする前に消え――――」


 「おらおら! オーゲイ様が悪い商人を懲らしめに来たぜ」


 そう言って行き勇んで来たのはオーゲイだった。アホの中のアホが居たな。こいつか。


 「あ~~~~!!」


 「もう遅かったな、ガリレス」


 シャーロットさんのその言葉に、ガリレスさんはすごく嫌な顔をして、立ち上がった。そして、オーゲイを睨みつけながら近づいていき、至近距離でガンを付けた。


 「てめえ、俺の前にのこのこよく現れたもんだな」


 「なんだよ、お前はそっち側か? 卑怯者」


 「アホ中のアホだなお前、こっちは勇者パーティーも居んだぞ、お前如きが調子に乗れる相手じゃねえんだよ」


 「お前がアホだろ、この数に勝てると思ってんのか? もうここはいつもの賭場じゃねえんだよ」


 オーゲイさんがハッタリのようにそう挑発するように笑うと、賭場に居たやつらが一斉に立ち上がった。見た目からして居るのが自然で気付かなかったが、全員、傭兵のような雰囲気だった。


 「今日は新顔が多いなと思ったらそういうことか……」

 

 勇者パーティーやチェーンさんは特に驚かなかったが、ガリレスさんは違った。目を見開いてオーゲイを見ると頭を下げた。


 「おいおい、詫びかよ、まぁ、許してやって――――」


 「本当に不運……」


 「あ?


 「だな!」


 「げぼお!?」


 頭を下げたガリレスは急に頭を上げ、オーゲイの顎を頭突きした。強制的に顔が上に向いたオーゲイ。そんなオーゲイの横腹を蹴り付け、横なぎにした。


 「お前すげえじゃね……逃げんなよ!?」


 叫んだシャーロットさんを無視し、そのままガリレスさんは外へ逃げていってしまった。なんて逃げ足の速い人だ。

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