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第EX3話 クリスマスへの憧れがこれなわけじゃないからな!

ブクマ200感謝記念!

今回はもしもクリスマスの日にアニスと過ごしたらです!


 俺の世界にクリスマスなどない。なぜなら前世の世界と違ってそういうクリスマスを祝う宗教が無いからだ。

 だが、なぜか、みんなクリスマスクリスマスと言い始めた。突然、どこから持ってきたんだそんなもんと言いたくなるほどのヤドリギを立てた両親もだが、特にうるさいのは背後の人物だ。


 「アービス! クリスマスプレゼントは何が良い? 僕かい? 僕? それとも僕? いや、ここは僕かな? 僕しかないよね? 僕! 僕? 僕!?」


 ゲシュタルト崩壊するからやめてくれ。背後で永遠に僕をプレゼントなどと言うクリスマスソングを具現化したようなセリフを吐く女。幼馴染にして勇者のアニスだ。冬装備は白いコートに長ズボン。首に赤いマフラーをしている。冬服も可愛い。そして、綺麗な黒い短髪にまばらに積もっている雪がさらにアニスに似合っている。可愛い。だが、それよりもこの状況は変だ。


 「なぁ、クリスマスなんて祝ってなかっただろ、それに昨日まで夏みたいな気候だった気が……」


 「なんの話だい? こんなに綺麗な雪景色なのに!」


 確かにアニスの言う通り、この雲がかかった昼下がりに強くもなく穏やかに雪が降っている。まるでドラマだ。だが、俺は確信していた。これは夢落ちだ。


 「でね、アービス、僕は今日、君と二人でクリスマスパーティーをしたいと思っている」


 もはやそれはパーティーではないが、まぁ、アニスの感覚は知らないが俺はこの世界では初めてのクリスマスだ。何か予定があるはずがない。


 「良いぞ」


 「ダメだ、ナチやエア・バーニングなど連れて――――え? 良いの?」


 「おう、別に誰呼ぶつもりもなかったよ」


 クリスマスが急に始めるなんて思ってなかったし。


 「そ、そうか、なら、僕の勇者の家でその、二人で……」


 「あそこは広すぎだな、俺のとこにしよう、二人きりが良いなら今日はあのメイドさんには帰ってもらうよ」


 「アービス? 熱でもあるのかい?」


 「なんでだよ!」


 「いや、君が積極的に二人きりで良いなんて珍しいなって、いつも邪魔をするのかのように小さい淫獣やうるさい空気男、脳筋女、図書女も呼ぼうと言ってくるのに」


 淫獣は分からんが、後の三人は雑すぎてわかった。まったく隠語になってないからそうやって呼ぶのやめような。


 「良いよ、今日は二人で、プレゼントとかもらってもな」


 どうせ夢落ちだし。


 「な、なら君の家に行こう」


 「ああ、まずは食料を買いに……」


 「それはやめよ? ね?」


 「なんで?」


 「……なんかお邪魔が入りそうで嫌だ、僕はこのまま直行で行きたい」


 「まぁ、家に何か食材あんだろ」


 多分、メイドが作る用で残っている食材があるはずだ。足りなきゃ買いに行けば良いだけ。それくらいなら許してくれるだろ。


 ――――


 俺は自宅だというのに暖房の入れ方を知らなかった。当たり前だ。俺の記憶は夏みたいな気候で終わってるんだからな。


 「そこの暖炉を使えば良いんだ、君は暖炉を使ってなかったのかい?」


 「いや、色々とな、事情がな」


 それくらいなら実家と同じだから出来る。俺は暖炉に火を焚くと安堵の息を吐いた。あまり感じなかったが寒かったらしい。俺は暖炉の前で手を暖炉にかざしながら腰を降ろした。


 「暖炉あったけー」


 「ああ、暖かいな」


 「うおっ!?」


 いつの間にか、俺の隣に寄って座っていたアニス。俺はびっくりして間抜けな声を上げるとアニスはどうしたんだい? といたずらっ子のような笑みを浮かべていた。


 「いや、急に隣に来るもんだからよ」


 「良いじゃないか、二人でこうやって肩を寄せ合ってるほうが暖かいだろ?」


 アニスはそう言うと、俺の肩に自身の肩をすり合わせてきた。なるほど、確かに暖かい。


 「アニス、悪い、俺、クリスマスプレゼント用意してないわ」


 まぁ、しょうがないとはいえ、アニスはもしかしたら楽しみにしていたかもしれないからな。一応、詫びを入れるとアニスは首を振った。


 「良いんだ、僕は君さえ居れば」


 「お、おう……なんか照れ――――ん?」


 「そう、君さえ居れば良いんだよ」


 俺の手にはなぜか縄が巻かれていた。そして、アニスの目が虚ろなのが確認出来たが、すぐに腕を引っ張られてしまい、アニスの胸の中に顔を埋めてしまった。するとアニスは俺の頭を愛おしそうに撫で始める。


 「僕のアービス、僕のアービス、誰にも渡さない、僕だけのアービス、君の事が大好きだよ」


 「んごっ! んおっ!」


 俺はアニスの胸の中で放してくれと抗議するが、アニスは離さず、そのまま俺を押し倒す。そして、俺の腹部の上に乗ると白いコートを脱ぐと白いインナーが見え、さらにズボンも脱ぎ捨て始めた。白い下着だった。まずい。非常にまずい。どんな淫夢だ。


 「メリークリスマス、アービス、僕からのプレゼントさ」


 さらにインナーにも手を掛けた。アニスの白い腹部が見え始め、そして、上半身の衣類が全て脱ぎさられていく、俺は目を瞬時に瞑ったが、アニスのきわどい吐息が目を閉じたことにより明確に聞こえ出し、そして、アニスが立った音が聞こえ、布が擦れる音が聞こえた。これは下着を脱いで――――。


 ――――

 

 「まずいからああああああ!!!!!」


 はぁはぁ、起きた。起きた。まずかった。ここは俺のベッドの上。勇者パーティーの専用借家。現実だ。雪など振っていない。


 「うるさいぞ、アービス」


 「アニス……?」


 すると俺はベッドの上に自分しか居ないと思っていた現実を打ち壊される。寝起きのような声。俺が振り向きそこを見ると服は着ていた! だが、アニスが居た。


 「なんで居るんだよ!」


 「君が良いよって言ったんじゃないか? どうした? 僕のえっちな夢でも見てたのかい?」


 ベッドのから上半身を起こしたアニスが俺の耳元でそうささやくと、俺の顔は真っ赤になってしまった。


 「へ!?」


 アニスも俺の反応に驚いたのか、素っ頓狂な声を上げてしまっていた。俺たちはしばらく金縛りにあったように固まる。


 「あーもう! 俺は行くぞ!」


 「あ、待ってよ! アービス!」



 あんなものは淫夢だ! クソっ! ク、クリスマスなんて知るかアアアア!!!!!


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