第42話 エピローグみたいなもんだが、俺はどこまで不運なんだ
まずい! やつらが離れていくまで沈んでいようとか考えているうちに気絶していたのか!? 早くここから出ないと!
そう慌ただしく考えている俺は強運のガリレス。俺は謎の三人に襲われ、肥溜めの中に落ちたのだが、あまりの激臭に耐えられず、気絶していたらしい。
「げぼお! おえっ!」
俺は肥溜めの中から顔を出し、なんとか口にある汚物を吐き出しながら息を吸う。だが、やはり気持ちの悪い空気しか入らない。さっさとここを抜け出そう。俺は肥溜めの岩の壁の隙間に手を入れ、力任せに飛び上がり、別の隙間に手を入れ宙吊り状態になった。
「はぁはぁ、不運だ、不運すぎる、王国は今頃どうなってんだ……」
俺は柄にもなく王国の心配をしてしまったが今は自分だ。足を岩の壁に当て、隙間を見つけ差し込み、固定すると手を隙間から出し、さらに隙間に入れる。こういう地道なのは好きじゃねえが仕方ねえ。助けを呼んでも良かったがあの強運のガリレスがなどと言われは恥だ。恥はあのおっさんだけで充分だ。まぁ、あのおっさんが生きている可能性は低いか。
「あー、まったくこの村は不便だな」
ん? 聞き覚えのある声がしたぞ。いや、絶対ある。
俺が上を見上げて待っていると案の定、知っている人物が穴の中を覗き込んできた。肉体強化を得意としているオーゲイ・ドッチだ。あの野郎、生きてやがったか。ていうか、今からこいつ、トイレすんのか!?
「ガリレスの野郎、逃げやがって、本当に腰抜けだな」
「んだとごらぁ!」
「お!? おお!? 汚物にまみれたモンスター!?」
「違うわ! てめえ! オーゲイ!」
「あ? ガリレスか? 何してんだそんなところで」
「うるせえ! てめえがあのクソどもを倒せなかったからこんな目に!」
「なっ! てめえ見てたのに助けなかったのか!」
「俺は非戦闘員だぞ!」
「クソ野郎め! 一生そこで這いずりまわってろ!」
オーゲイはそう言うと、ズボンを降ろそうとしていた。まさか! あのおっさん! する気か!? 嘘だろ! マジで殺すぞ!
「おい! てめえ! その汚物を出してみろ! 切り落とすぞ!」
「落とされんのはてめえだ――――ん?」
俺は目を閉じて覚悟していたが、穴の上でオーゲイが間抜けな声を上げて空を見上げていた。そして、オーゲイは顔を真っ青にして逃げようとした。その瞬間、俺は見た。
縄でぐるぐる巻きにされているやつらがオーゲイの方に突っ込んでいくのを。
そして――――――――何かが砕かれる音がした。これは木材を叩き壊した音。あの飛行物体。店に叩きつけられたのか。小さな木片がこの肥溜めにまで飛んできた。
――――ぎゃあああああ!!
ざまあみやがれ! オーゲイ! あの飛行物体に巻き込まれやがった! 不運な野郎だ! 俺は幸運だったな。さすが俺、まった――――あ?
「アアアアアア!!!」
俺は幻覚を見ているのだろうか。上から粉塵に巻かれたオーゲイが背中からこの肥溜めに落ちてきているではないか。げ、幻覚だ。これは幻覚だ。でも。やっぱり落ちてきてまっ!?
「ぁああああ!!!」
俺はオーゲイの下敷きになる形で肥溜めの底に落ちていった。俺は思った。もう二度とこのおっさんとは飲みに行かねえ。
――――
「キャアアアアアアアアアアアア!!!!」
「ガアアアアアアア!!!」
私の名前はアリシア! 私とお友達のジャックちゃんの下半身と偉そうなドレイクの三人は勇者様の一行たちに飛ばされ、空で回転をしているのだー!
私はこんな体験始めてだけど、楽しいー!! ドレイクはすごい悲鳴を上げてる! ドレイクはビビりだなぁ! ジャックちゃんはどんな事を思ってるんだろ! やっぱり普段から空飛んでるからあんまり怯えないかな!
そんなこんな私たちは飛んでいたんだけど、ついに到着! 変な建物に突っ込んだけどここって最初のとこだー!!
「どけ! アリシア!」
「きゃっ!」
私はドレイクの上に居たみたいで押しのけられちゃった。もう! 乱暴さんめ!
「ジャック、アリシア、無事か?」
「押しのけた後に心配するって逆だよー!」
「うるせえ! 重かったんだよ! ジャックは!」
ジャックちゃんは相変わらず元気よく足をバタバタさせてる! 上半身があったころより元気かもー!
「たくっ、ここ最初の酒場じゃねえか」
「天井に穴空いてるよー!」
「俺たちが落ちてきたせいだろ」
「誰も居ないねー!」
「見りゃ分かる事をいちいち言うな! 大体ここの客とマスターは食ったんだろうが!」
「食べてないよー! キングオーガが私の身体を振るもんだから、全部吐き出しちゃったー!」
まぁ、元々、あんなおじさんばっかり食べるの嫌だから残してたから別に良いんだけどねー!
「まったく、なんでキングオーガなんかと戦ってんだ……」
「だから説明したじゃんー!」
「わーってるよ! うるせえなあ! 小言だ!」
「性格悪いよー!」
「生まれつきオーガなんてこんなもんだろ!」
オーガにしてはドレイクは優しいと思う。普通のオーガは何もしていないのに殴る蹴るをするけど、ドレイクはしない。だから偉そうなドレイクに私もジャックちゃんも一応着いてきたのかなー? わかんないー!
「あはは!」
「なに急に笑ってんだ気色悪い」
「これからどうするのー?」
「あ? そうだなぁ、旅でもするか、どうせエア・バーニングにも勝てねえの分かったし、ていうかジャックは治らねえのか?」
「治るよー! 時間かかるけどね!」
「なら、適当に歩いて旅でもしようや、どうせ俺たち暇なんだしよ」
「そうだねー! 行こう! ジャックちゃん!」
ジャックちゃんは私が呼ぶと下半身だけを動かして付いてきて、ドレイクはそれを見て気色悪いと笑いながら先頭を歩き出して。
私はこの二人が大好きです。二人と旅ができるならどこへでも行くよー!!
これで2章は終わりです。ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
3章の方もよろしくお願いします!




