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第10話 君の冗談は僕の心を壊そうとする


 アニスは今日俺の家に泊まる事になってしまった。どこで寝るのか聞いたら、俺の部屋で寝るとか言い出した時は卒倒しかけたがそこしか寝るところは無いと言う事で俺の部屋でアニスと俺は座っていた。木製のベッドの方に腰かけるアニスは、寝巻を着ており、その寝巻は薄い材質で出来た服でノースリーブな上に、丈が足りておらず、おへそがちらちら見てしまっている。下も短パンのような下を履いており、露出度が半端ないくら高い。毎日夜、綺麗な肌を見せつけてるようなそんな服を着て過ごしているとか目に毒すぎる。


 「僕と一緒にベッドで寝ようよ?」


 「俺は床で良い」


 俺はアニスをベッドに、俺自身は床に毛布を敷いて寝る事にした。だが、アニスは納得できないようにベッドから立ち上がると地面にあぐらをかいて座る俺の上に座り、背中を押し付ける。服の薄い材質のせいで背中の形がよく分かるし、髪の毛の良い匂いが俺の鼻をくすぐる。


 「ねえ、アービス、僕と一緒に寝て?」


 「嫌だ」


 断固拒否せねば。俺だって男だ。理性が飛ぶかもしれない状況くらい分かる。でもまさか勇者パーティー結成で一日立たずに勇者と淫行なんて……バレなくても嫌だ。


 「……そうだよね、添い寝するなら僕なんかより、抱きしめがいがありそうなシャーロットやナチみたいな胸のある子が良いよね、そういえば、今日はナチを見たり、シャーロットを見たり忙しそうだったね? 綺麗だった? 可愛かった? 僕を見るより、目の保養になったでしょ? 良かったね? ねえ? 良かったね? 良かったね? 良かったね?」


 壊れたかのように良かったね? と言ってくるアニス。俺は後姿しか見えないが、きっと顔はすごい表情になってることだろう。アニスの拗ねを治す方法は……。


 「ほら、アニス、拗ねるなよ、アニスも今日、壇上で頑張ってたよ、偉いぞ、アニス」


 そう言ってアニスの後頭部を優しく撫でると、アニスはこちらに顔を向け、俺のあぐらの上で腰を移動させる。そして、こちらに向かうと、教室でやったように抱きしめて、頭をすり付けてくる。俺は教室のように野暮は言わずに受け入れる。


 「ねえ、アービス、添い寝」


 「……分かったよ」


 もうあきらめた。結局、いつもこうなる。最大限の我慢を披露してやろうじゃないか。


 「アービス大好き」


 「はいはい、甘えん坊さんめ、まったく俺が将来、結婚したらどうす――――」


 「殺すぞ」


 「え?」


 俺はなんとなく冗談で言ったのだが、アニスは甘えるのをやめ、俺を見て睨みつけていた。憎悪と何かが混じったようなその瞳は最大限に怒っている証拠だ。


 「アービス、僕はそういう冗談は好きじゃないな、でも冗談じゃないとしたら誰と結婚するの? ナチ? シャーロット? ねえ、誰と結婚する妄想をしたの? 誰と幸せになろうとしたの?」


 「いや、特に誰ととかは考えてなかったけど……」


 「そっか、やめてね、僕の前でそう言う冗談言うの」


 「ご、ごめん」


 まさか、そんなにキレられるとは。そんなに寂しがりやで大丈夫なんだろうか……。俺は、大丈夫なんだろうか……。


 「ほら、おいで?」


 機嫌を戻したアニスが俺の目の前から離れ、ベッドに潜ると、俺を手招きした。俺はしぶしぶベッドのギリギリ落ちないくらいの場所にアニスに背中を向け、寝そべった。


 「こっち向いて」


 「うう、嫌――――」


 「向かないなら、上の服脱いじゃおうかな」


 「分かったからそれだけはやめろ!!」


 冗談じゃない! そんなの無理だ、無理無理。そんな状態のアニスと一緒に寝たらマジでやばいから。

 

 「うっ!?」


 だが、結局やばいことには変わらなかった。アニスの方を向くと、アニスの薄い材質の服の隙間から白い身体の小さい膨らみが見えそうで見えない状況が視界に飛び込んできた。


 「どうしたの? 何かついてる?」


 「い、いや、お、おい、足を絡ませるな」


 まるで追い打ちをするかのようにアニスはその細い足を俺の足に絡ませてきたのだ。まずい。まずい。まずい。


 「寒いんだから良いだろ」


 「気温的に暑いくらいだよ!」


 この世界の現在の気温は前世で言うところの夏だぞ! だが、今の俺は別の意味で熱くなっている。まずい、早く眠ってしまおう。


 「さ、さぁ、寝るぞ、アニス」


 「今日は随分と早いんだね。まぁ、良いか。おやすみアービス」


 なんとか寝る事を許されたアービスは疲れのせいか、目を閉じて数分、深い眠りに入っていった。



 ――――


 寝顔が可愛い。アービス。君は僕と結婚するんだから我慢なんかしなくていいのに。僕は君なら今すぐにだって受け入れるのに。寝顔が可愛い。


 最初は勇者パーティーに入れるって国王に言ったらダメだって言われたけど、僕が勇者やめるって言ったら慌てて了承した時は笑いそうだったな。みんな僕の事を邪魔せずに傍観だけしとけばいいのに。


 それよりもナチだ。シャーロットはぶっちゃけなんでもいい。容姿だけならアービスは落ちない。でも、ナチはダメ。やっぱりダメ。どうあがいてもダメ。許さない。もしもナチがアービスを取ったら死ぬより辛い目に合わせてやる。


 まぁ、でもアービスが僕以外を選ぶわけないんだけどね……だって、僕とアービスは神様に選ばれてるんだから……

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