帰宅
「・・・」
「・・・」
会話がなくなり、少し気まずくなってきたので、聞いてみた。
「あなたは誰。」
「自己紹介がまだだったな。俺は桜井龍一だ。今22歳だ。」
僕は、思ってたよりも若くて少し驚いた。
「見た目がこれだから、そう見えないかもしれないな。」
と、眼帯に手をあてて言った。
「君は誰。」
「僕は佐々木拓哉、小学5年生だよ。」
その時、チャイムのような音が鳴り響いた。
「なんだ、この音…。」
「5時になると鳴るんだよ。桜井さん、知らないの。」
「へえー、ここに住んでまだ1週間だから全然わからないんだよなあ。で、拓哉くんはそろそろ帰らないとお父さんとお母さんが心配するんじゃない。」
頭がボーッとしてて、時間のことを気にしていなかった。
「急いで帰らなきゃ。」
と飛び起きたが、体が思うように動かなくて倒れてしまった。桜井さんが手を差し伸べて
「家まで連れてってやるよ。」
と言ってくれた。雨は止んでいた。ゆっくり家まで歩いて行った。桜井さんは一番聞きたいであろうことを聞こうとしなかった。僕の体調を気遣ってくれたのだろう。そして家の前についたとき、ママとばったり会ってしまった。
「拓哉どこ行ってたの。…その人は。」
僕がなんて言えばいいかわからなくて困っていると、
「熱があるようで、道端で倒れていたので、家までとどけに来ました。」
と、桜井さんがフォローしてくれた。
「そうですか。うちの息子がご迷惑おかけしました。ありがとうございました。」
と、ママは頭を下げた。
「当然のことをしただけです。」
と僕の方を向いて、
「しっかり寝て、早く元気になれよ。じゃあな。」
と言って足早に去っていった。
その夜、僕は薬を飲んですぐに寝た。




