出会い
ピピピピピピッ
携帯のアラーム音が豪快に鳴り響く
「うっ、もう朝か…」
いつものように秀一は布団をたたみ、コーヒーをすすりながら埃をかぶった窓から自分の町を見渡してみる
「今日もいつも通りだな」
まぁそれは自分の地位のおかげで襲われる確率が低いだけなのだろうな
そのかわり提供される家が一般的なマンションだが…
チョイサーの戦いは下剋上みたいなものだ
ようは下の地位の者が上の地位の物を倒せば下の者はその地位の者へとなれる
だがしかしは妖者以上の地位には何かしらの便利な能力か武器を与えられているので妖者以上になるのは困難である
もちろん地位が上がれば提供される生活のための必要品が豪華になることが魅力的である
逆に上の者が下の者を倒すことで下の者の所有物を奪うこともできる
敗者の人権も例外ではない
人権を奪われるとほぼ勝者の奴隷に近い存在となるらしい
勝敗の判定は相手を殺すか、相手が負けを心で確信した時である
「まぁ俺には関係ないだろうさ」
秀一の場合は生まれた境遇がよかったからこその地位である
まぁ俺は上者だからごく一般的な生活ができるからいいのだよ
下級くらいになってくると死んでいるような生活らしいが
正直、今のままでいいからできるだけ争わないようにしている
と言ってもまれにたちの悪い輩がいるんだよ
「…ッ!?」
と、思った瞬間に金属製の扉が開かれ、一つの人影が飛び込んできた
「ちょっ!?」
驚きのあまり秀一は椅子から立ち上がった
どのように扉を開けたのか知らないが何故か身長は俺より少し小さい少女が片手にナイフを持ちこちらに殺意むき出しで突進してきている
(チョイスタイム!)
チョイスタイムとはチョイサーの戦闘において公平に託された能力であり、危険な状況下での打開策をいくつか提示してくれるのだ
だが、選択が全て正しいわけではない
そして急な出来事だと案が提示されるまでにやられる可能性がある
また選択をしくじったら負ける確率がグンッと上がってしまう
c1:そのまま背負い投げ
c2:とまれと叫ぶ
c3:避ける
「もちろん!」
秀一は半歩ほど横にのけ反った
「へ?」
そのまま勢いを殺せずに少女は壁に激突した後に動かなくなった
おそらく気を失ったんだろう
ぶつかるときにゴンッと鈍い音がしたが大丈夫だろうか
少女の服装などを見る限り地位は下級の者だろう
体格は普通の女の子に比べれば痩せている
むしろ痩せすぎている
腕などほとんど骨と皮膚しかない
やはり日ごろまともなものを食べていないのだろう
「このままだと可哀想だな」
普通、襲われた場合は相手を殺すか捕縛して奴隷にする事が常識なのだ
だが、秀一は少女の手からナイフを奪い自分の布団に寝かしてやった
何度もこういう目にあっている者であり心優しいからこその対応である
彼なりに下の地位の者として生まれた者の苦しみをわかろうとしているのだ
しかし今までは道端で襲われることはあっても家で襲われたのは今回が初めてである
また、上の地位の領域へ行く者などはあまりの飢えに耐え切れず生死の覚悟を決めたものか一か八かの下剋上を行う自殺志願者である
この少女もそれなりに苦労しているのだろう
「とりあえずバイトに行かなくてはいけないな」
秀一は一日の時間をほとんどバイトに費やしているのだ
ひとり身なので生活費は自ら稼がなくてはいけない
(あのこも俺がバイトから戻るまでには目が覚めて出て行ってるだろう)
と思いつつ青年は少女の寝ている枕元に冷蔵庫からとりだした缶コーヒーと食パンと『どうぞ』と書いた紙を置き、バイト先へと向かうのだった
-to be continued-




