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0話 記憶

北歴353年──。

一つの広場に二つの人だかりがあった。

一つは私服の人だかり、真ん中には舞台があり、舞台の上には白髪の歳とった見た目では70代の老人が演説をしていた。もう一つは軍服らしき物を着た兵隊が多勢いた。


「みなの衆よ!私たちは革命軍『裁きの民』である」


『裁きの民』その言葉に皆が戸惑う。


「戦うのだ!それがお前達の『最後の抵抗』であり、お前達の『生きる意味』である!皆の者この言葉を念頭におき、我等の思想を批判する者は即ち敵とみなす。敵は無二念の如く薙ぎ払え。この国を変え平和を築くため、私は革命を起こそうと思う。

当然革命を起こすのだから、死というものと隣り合わせになるだろう」


おいおいふざけてんじゃねぇぞ!


そんなヤジが飛ぶが老人は眉一つ動かさない。


「ただし、私の力となってくれる者に一つだけ約束をしてほしい。

もし死ぬ時、それは私の目の前でしか許さない。それが出来ないというのならここで今私の目の前から立ち去り、私達が変えた世界を生きて欲しい。ただ、後であの時こうしていればもっといい国へと導けたのではないか?そんな後悔はしたくはないだろう?」


ざわめきが大きくなる。


「ならば戦え!そして変えろ!変革の時は今この時である!

神なんて信じなくてもいいのだ!何が神だ?」


神を侮辱するとは何事か!


「ではその者に問おう。お前の信じている神とやらはこの腐ったような世界をただただ見ているだけのか?」


再び広場は静寂と化す。


「そんな奴を信じるのか?私は思う。

信じるのは今隣にいる仲間であり、自分である!

未来を変えたいのならば、まずは行動を起こせ!諦めるのはそれからでもいいだろう?

今から5分間時間を与えよう。私の元で力が存分に振るうことができないという者がいたら、私の元から立ち去れ。私はその者を咎めはせん。どうか、私の組織の一員となり、共にこの国を変えよう」


演説が終わると私は目を閉じると自分を思い返す。


周りはざわざわとしているのだが気にはしない。


あぁ、終わった。私はやり遂げたのだ。

ただ、今のこの国を救えるとすれば今でしかない。今動かなければ変わらない。

だが、それはただの私の思い違いかもしれない。

単なる私の欲望なのだから。

人は欲が多い生き物である。

その欲を満たすためには殺しさえ厭わない、そんな者もいるだろう。


私は人を殺しすぎた。

この罪は生きて償うしかあるまい。

国を変えよう、そう思うにはすこし歳をとり過ぎた。


やはり、国を変えるのは、若者の力である。



5分がたち私が目を開けると、そこには6人の10代から20代の顔つきの若者達がいた。


「よくぞ残ってくれた、若者よ。これからこの国を共に変えよう。君達を私達『裁きの民』は盛大に歓迎しよう。さぁ、この国の『終わりの始まり』だ」


6人の若者は(ひざまず)き、忠誠を誓うのであった。


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