地道なランク上げ
今回短いです。すみません
誤字、脱字があればご指摘お願いします
シズクと契約してから二週間が立った。
この二週間なにをしていたのかというと、
主にシズクのランク上げだ。
この二週間シズクのギルドランクはBになった。
俺達よりは遅いが、それでもかなり異常な速度で
上がっているらしい。
俺とサクヤとセシルは全員Aランクだから、
自分達も依頼を受けながらシズクのランク上げを
優先して行おうというわけだ。
この事をシズクに話したとき、とても
申し訳なさそうにしていたので、とりあえず
頭をわしゃわしゃ撫でておいた。
うん、サラサラの綺麗な髪だ。
おっと、そういえばさらに重要な事があった。
シズクと契約した日の夜サクヤ達と運動していたら、
乱入してきたシズクに襲われた。
俺が襲ったんじゃないぞ、襲“われた”んだ。
だが俺の名誉の為に言っておく。
断じて俺はロリコンじゃない!!
そしてあの状況を抜け出すのは無理だ。
だってサクヤとセシルもシズクの味方だったから。
あのとき俺はもう愕然としたね。
だってシズクを止めようとした瞬間に二人に腕を
ホールドされてベッドに引き倒されたんだから。
そしてシズクに襲われたんだ。そのあと少し
痛がったかと思ったら、
すぐに復活して、さらに二人も加わり責められた。
まあ、最後には俺が勝つんだが。
あとから聞いたがあの夜のことは計画的犯行
だったらしい。
……そんな事よりも面倒事回避の為に頭は
つかって欲しい。
絶対あいつらには無理だが。
さて、現実逃避はここまでにして俺の目の前で
涎を垂らしているAランクの魔物である、
グランドガイロン――五メートル程の虎と亀を
足したような魔物――を倒す事にしよう。
まったくどうしてこうなるんだ…
遡ることこの日の朝
今日もシズクのギルドランクを上げるため、
クエストを受けていた。
といっても俺は自分のクエストをこなしながら
見守るだけで、実際にクエストをこなすのは
シズクだけだが。
今日のシズクのクエストはBランクの魔獣、
シークレットスネークというステルス能力を持つ
六メートル程の蛇を一体討伐することだ。
ちなみに俺はGランククエスト、薬草採集である。
Aランクの奴がGランククエストを受けることなど
普通はないので、受付嬢に変な目で見られたが
仕方がない。俺の精神安定の為だ。
……俺は平和に暮らしたいのでござる。
戦い漬けの生活は嫌なのでござる。
というわけで俺はサーチでシズクを見守りながら
薬草を採集しているのである。
……またもや頭や肩に小鳥達を乗せながら。
そうして薬草を百本ほど(普通は1日に十本ほど
見つかればいいらしい)集めた頃、周りに魔力が
満ち始めた。
「ん?なんだこれ?」
俺が不思議に思っていると、小さな光球が幾つも
現れたかと思うと、人の形を取り始めるではないか。
そして数十秒後には二十人程の小さな妖精と
俺とさして変わらない年代に見える虹色の髪を
持つ少女が残った。
「すっげぇ!妖精さんじゃないか!!
初めて見たけど、凄く可愛いなこれ。
ところで君も妖精さんなのかい?」
妖精さん初体験に少々はしゃいでしまったが、
すぐに落ち着き虹色少女(とりあえず命名)に
尋ねる。
「いいえ、私は精霊だと思います。
記憶が欠落しているので確かではありませんが」
話を聞くと精霊は妖精の上位種族で高い魔力を持ち、
人と同じくらいの大きさらしい。
そして彼女だが、名前すらも思い出せないらしい。
気が付くとこの妖精さん達と一緒にいて、
現在記憶を思い出す為に各地の森を旅して
いるんだとか。
ここには魔獣に追われて逃げてきたらしい。
本来精霊はそこらの魔獣ごときに遅れを取る事は
ないらしいのだが、何故か魔法が上手く発動
しないらしい。
結構死活問題だよな。
……ちょっと待て。魔獣から逃げてきたって事は
ゴガァァァァァァァ!!!!
やっぱりぃぃぃ!!
この子今魔法使えないんだよな、となると
俺がやるしか無いわけで……
「精霊さん、こいつは俺が引き受けた。
その隙に逃げてね。んじゃ、またどこかで」
ヒュッ バァァン!!
ゴォォォガァァ!!
グランドガイロンの鼻面にその辺の石を拾って
ぶつけて、精霊さんの反対側へ引き付ける。
「あっ!?…」
精霊さんがなんか言おうとしていたが、
俺はもうグランドガイロンを引き付け始めて
いたので聞く事はできなかった。
こうして俺とこのデカブツは向かい合っている
訳である。
俺がこいつを精霊さん達から引き離したのには
理由がある。
それはこいつのスキルが問題だった。
こいつのスキルは【妖精喰らい】。
このスキルは喰らった妖精または精霊のレベルと
能力の完全吸収という対精霊に特化したもので
精霊さんにとって相性最悪だったからだ。
「さて、精霊さんを怖がらせた罪、
償ってもらおうか」
「《影縫》か~ら~の~《氷血華》」
面倒なので魔法二連撃で倒す。
ちなみにこの《氷血華》って魔法は相手の血液を
一気に凍らせて体外に放出させるという、
半端なくエグい魔法なのだ~。
そして放出した血液の氷が華のようだから
こういう名前にした。
さて、シズクの方も終わったみたいだし
ギルドに帰るか。
アカツキがグランドガイロンを倒した頃
「またどこかで会いましょう、優しい少年」
光のなかで優しく微笑む虹色の髪の少女がいた。
――――――――――
ギルドに着いた俺は酒場で酒を飲みながら
シズクを待っていた。
この世界は飲酒の年齢が定められていないから
非常に助かる。
まだ日本にいた頃の話だが、俺の父は大変な
酒好きだった。その影響で俺も小さい頃から
よく一緒に飲んでいたのだ。
いい酒と悪い酒の飲み比べをしたり、
バーテンダーをしていた従兄にカクテルの
作り方を習ったりした。
そのくらい酒好きなのだ、俺も。
おっとシズクが来たようだ。
なにやら少し嬉しそうな顔をしている。
サクヤ達はシズクの表情の変化があまり
わからないそうだ。
……俺は良く分かるんだがなぁ
話を聞くと、後少しでAランクに上がるらしい。
これで俺の役に立てるといっていた。
余りに可愛かったので抱き上げると
嬉しそうに笑っていた。
この子はホント癒し系である。
シズクを抱き抱えたまま宿に戻ると、
他の二人はまだクエストから帰ってなかった。
あの二人はいつもAランクの討伐クエストを
受けている。
……昼も夜もホントに好戦的なもんだ
………ハァ
そのためシズクと二人だけの食事である。
ふと俺に子供が出来たらこんな感じなのかなぁ、
と考えていると
「…アカツキの赤ちゃんはボクが生むから。
安心していいよ。」
「ブッ!?」
これは俺が飲んでいた酒を噴いてしまっても
悪くないだろう。
「…考えてる事が顔に出てる。」
「そんなに分かるもんなのか?」
だとしたら非常にこまるんだが。
「…多分ボク達以外にはわからない」
……じゃあいいか。
酒を噴き出すというアクシデントもあったが、
とても楽しい食事だった。
……何だか将来について考えることになった食事
でもあったが。
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