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Vtuber になったらシリーズ

Vtuberやってたら婚約者もVtuberだと判明した件について

作者: じりゅー
掲載日:2026/03/15

 

「パリスさん?」


「そう、パリス・パールっていう人とコラボしてほしいの。」


 僕は蒼矢。Vtuberアズール・フレッシャとして活動している高校生だ。

 両親は槍車フロウ、愛原ルピナスとしてVtuber活動を行っている。

 ベーコンエッグを乗せたトーストを食べていると愛原ルピナスこと母さんからコラボの依頼をされた。


「お母さんがコラボしてほしいだなんて、どうしたの?」


「昨日その子と蒼くんとのコラボ権を賭けてゲームで戦って負けちゃったの。」


「あー、そういえばなんかやってたね。」


 両親がVtuberだと判明してから2人のチャンネルを登録してたけど、確かにお母さんと誰かがゲーム対決をしていた枠があった。

 ちょっと見ようかと思ったけど、僕も配信が終わってこれから寝るというところだったので見ていなかった。


「僕とのコラボ権を賭けてたんだ?」


「もちろん勝つつもりだったけど、ラストで100点と言われてプレッシャーで負けちゃったの。」


「それありかなぁ…?」


 たまにある手法だけど何かを賭けている状況でそれをやっても良いのだろうか。

 とはいえそれを言い訳にしてゴネてもみっともないと思われるかもしれないし、別に良くないことをされる訳でもないからいいだろう。


「あの子の執念には負けたわ。でも悪い子じゃないし、個人的にパリスちゃんとはお話ししてほしいから私としては受けてもらえると助かるわ。」


「分かったよ、僕からは大丈夫だって伝えておいて。後で連絡先も教えて。」


「ありがとう、アコードの申請をしてもらっておくから承認しておいてね。」


 お母さんがそう言うのだから多分悪いことは無いだろう。

 それに、お父さんがVtuber(こういうこと)をしている分には繋がりは多いに越したことはないと言っていたからね。大先輩からのありがたい言葉だ。







 パリス・パール。

 オンリーカラー9期生所属。容姿は金髪でボブカット、頭にティアラのような王冠、もしくは王冠のようなティアラをつけている。イケメンとも美女とも言える中性的な顔立ちだ。

 僕と同じ性別不詳Vtuberで、ある国の王子と王女が融合した存在…という設定なのだとか。

 コラボ相手の事を何も知らないというのも失礼な話かと思って少し調べた感じだとこんなところかな。

 サジェストには婚約者と出てたけど、婚約者がいるという設定なのだろうか。

 性別不詳なのに婚約者がいるとはなかなか珍しい設定だ。昔王子と王女が融合する前どちらかに婚約者がいた、とかかな?


「あ。」


 登校中、アコードからフレンド申請があった。

 パリスさんからのもので間違いない。とりあえず承認する。


『承認ありがとうございます! いつコラボできますか?』


 いきなりメッセージが来た。

 ひとまず平日は19時以降、休日はいつでも良いと返信する。細かい日程は向こうに合わせるつもりだ。


『では今日19時から!』


 最速か。まあ僕は別に予定無かったからいいけど。

 正直今日コラボできると思ってなかったので少し驚いた。企業所属となると色々あるだろうし忙しいだろうに。

 了承の返事を出して登校に戻る。


『この枠何!?』


 歩き出す前に今度はアンちゃんことアンナ・テーナからのメッセージが来た。

 メッセージと一緒に今日するであろうパリスさんとのコラボ枠のサムネのスクショが送られてきている。

 枠立てるの早すぎるしサムネも最初から用意していたと思えない速度だ。それにしても行動が早すぎるけど。

 …アンちゃんも枠に気付くの早くない?

 2人の異常なまでの速度に戦慄しながら返信する。


『さっきお母さんに頼まれてコラボすることになったんだ』


『昨日のコラボ対決配信の結果だよね?

 アズちゃんがさっき了承したのは良いとして枠もサムネも用意良すぎない?』


『それは思った

 正直ちょっと怖い』


『多分やばい女だよ! 気を付けて!』


『秒で枠に気付いた君も怖いよ』


『え?

 いや、これはたまたま気付いただけだから!』


 まあ流石に枠が立つのを待ってた訳じゃないだろうけど…違うよね?

 背筋に寒気を感じつつ、僕は今度こそ歩き出した。







「来ちゃった。」


「…誰?」


 授業を終え、寄り道もそこそこにして家の玄関を開けると知らない人がいた。

 他校の制服――確か南凧野(なんだこの)高校だっただろうか。それを着た女生徒だが、髪は短めでボーイッシュだ。男装すれば男と言い張ることもできるかもしれない。


「どうも、本日コラボさせていただきます。パリス・パールこと菊木(きくぎ)(はる)です!」


「菊木春…?」


 どうも記憶に引っかかる名前だ。

 記憶の糸をたどり、たどりにたどってその違和感の正体を突き止める。幸いさほど時間はかからなかった。


「ああ! 春ちゃん!」


「そうだよ蒼矢くん! 久しぶり!」


 思い出した。昔両親がどうしても仕事で居なかった日に預けられた家の子の一人。

 お泊りしたし何度か遊んだけど、彼女が引っ越したのをきっかけに疎遠になったんだっけ。


「やっぱり大きくなったね、お互いにだけど。」


「そうだね、なんだか春ちゃんも大人びたよ。」


 僕も春ちゃんもあの時のままじゃない。背丈も、顔立ちも。

 だけどどこか、あの時の春ちゃんを思い出させてくれる。懐かしさを感じる。


「まさか蒼矢くんの家まで来てるとはね。」


「何!?」


「その声は!」


 後ろからするはずのない声がして反射的に振り向いた。


「誰だ!?」


 それはそうだ、春ちゃんが知るはずもない。


高嶺(たかね)さん!?」


「企業所属のVtuber(ひと)がどうしてタイマンで母親を負かせてまで蒼矢くんとコラボしたがるか不思議だったけど…昔馴染みだったのね。」


「蒼矢くん! この人は誰なんだ!?」


 高嶺さんが玄関の扉を閉めるのを確認してから答える。一応身バレ防止で。


「この人は高嶺杏奈(あんな)さん、アンナ・テーナっていうVtuberをしてる人だよ。」


「蒼矢くんとよくコラボしてる人だね、ちょっとだけコラボ配信を観てたからわかる。

 この人は――泥棒猫! の素質を持っている人だ! 将来を誓い合ったボク達の敵になりえる人だ!」


 …将来を誓い合った?







「パリパリパール! オンリーカラー所属のパリス・パールです!」


 :パリパリー!

 :パリパリー!

 :アズちゃんが来ると聞いて


「今回は素敵なゲストをお呼びしています! どうぞ!」


「こんアズール! 所属とか無いけどアズール・フレッシャです!」


 :こんアズール!

 :こんアズール!

 :アズちゃんキター!


「えー、今回はなんと残念ながらもう一人います…

 ボクとアズールのコラボ配信の枠を見て呼んでもないのに駆けつけてくれた方です。どうぞ。」


 :え?

 :誰?

 :テンション低w


「おはこんばんテーナ! どうも、アンナ・テーナです!」


 :アンナさん!?

 :アンちゃん!?

 :なんで!?


「アズちゃんが泥棒猫に取られそうだったので駆け付けました!」


「泥棒猫はそちらだろう、何故ならアズール君はボクの婚約者(フィアンセ)なのだから!」


 :ここで婚約者設定回収!?

 :婚約者はアズちゃんだったかー え? なんで?

 :お互い泥棒猫扱いで草


「リスナーさんが話についてこれてなさそうなので僕から説明します。

 まず、パリスさんが僕の家で待ち構えてました。次にこの配信のサムネイルを見たアンちゃんが僕の家に飛んできました。その結果どういう訳か3人でオフコラボすることになってしまいました。どういうことだろうね。」


 :それはこっちが聞きたいw

 :オフコラボなの!?

 :パリスアズールの家知ってて草


「家を知ってるのは当然だよ。幼い頃お互いの家に遊びに行っていたからね。

 尤もボクは引っ越してしまったからアズール君はボクの家を知らないのだが。そのせいで疎遠になってしまったしね。」


 :パリスに悲しき過去

 :婚約者と引き離されたのは悲しいな

 :引き離されてなかったらワンチャン同期になってたんじゃね?


「アズール君が同期…!

 それは良いな! 今からでもオンリーカラーの9期生になろう!」


「流石に無理でしょ。」


「いや、君のコネ(人脈)があれば可能なはずだ!」


「今コネと書いて人脈って読んだね? そりゃ両親が太いのは分かるけど。」


 :コネ草

 :でもオンリーカラーは全然受け入れてくれそうだよな

 :アズちゃんが企業所属になる…? あり得るな


「企業所属になったら私がアズちゃんとコラボしづらくなるじゃない! アズちゃんは私のだから!」


「いや、婚約してるボクのものだからね?」


「どっちのものでもないしそもそも婚約ってすっごい前の話だからね? その直後パリスさんがお父さんとお母さんとも結婚するって言ってたの覚えてるからね?」


 :どんだけ前の話だよ

 :結婚について何も理解していない…

 :近親重婚に加えてアズちゃんと結婚しようとするの草


「まあボクは王子であり王女でもあるからね! 王族とは何人もの側室がいるものなのさ!」


 :王様と妃を側室にするのは正気じゃないんだよなぁ

 :英雄色を好むどころの話じゃない

 :まさか融合設定が生きてるから両親と結婚するって言ったってこと!?


「ボクは男性であり女性でもあるからね。両親と結婚するというのもおかしくないのさ!」


「おかしいよ。」


「流石にもう疑問に思ってほしい年頃だね。」


「過去の発言だからね!」


 :ここまで開き直って貫き通すスタイルは嫌いじゃない

 :アズちゃんバッサリ切り捨ててて草

 :追撃のグランドアンナ! ダメージは加速する


「それはそれとしてどうだい? オンリーカラー(ウチ)に来るというのは。

 有名な人をイラストレーター(ママ)にすることだってできるし、オンリーカラーの人ともコラボできるしロケにもいけるしライブもできる!」


「別に個人のままでいいかな。イラストレーター(ママ)も今の人で良いし、ゲーム実況メインだからライブには興味ないし。ロケで遠出するのは面白そうだとは思うけどね。コラボは皆が皆って訳にはいかないと思うけど縁があればやるよ。」


「そう言えば、私アズちゃんからイラストレーター(ママ)のことを聞いたことが無かったね。ジョウ・チャンってどういう人なの?」


 :無名の謎絵師ジョウ・チャン先生の謎が解き明かされる!?

 :アズちゃん絡みでジョウ先生も注目されてたな

 :どういう経緯でアズちゃんと先生が知り合ったんだろ


「昔からの知り合いなんだ。そのよしみで描いてもらったってところだよ。」


「ボクもジョウ先生を調べてみたんだけど、それっぽいアカウントに銀髪でロリな巨乳美少女のイラストばっかり上げられてたのしかわからなかったよ。」


「あーそれ先生の性癖だね。僕も最初そんな感じのイラスト送られて手直ししてもらったんだ。」


 :巨乳アズちゃん見たい!

 :貧乳なのが良いんじゃないか

 :アズきゅんは男の娘です


「私としては巨乳のアズちゃんは解釈違いかな~」


「ボクは半分男だから巨乳の婚約者も良いと思うぞ。そういう訳だからアズール君、ジョウ先生の連絡先をくれ。」


「多分あの没イラストもう無いと思うよ。」


「くっ! この後湧いてくるであろうファンアートで見るしかないか…」


「こっそり見るのは自由だけど宣言するのはやめてね?」


 :こっそり見るの許してくれるんだ

 :実際この配信を期にアズちゃんの巨乳FAはあふれそう

 :半分男を免罪符にするなw


「とにかくオンリーカラー(うち)には来ないということだな、残念だ。」


「別に企業にいなくちゃいけない理由もないからね。友達と遊びたい時だってあるし、個人で時々配信してるくらいがちょうどいいんだよ。両親を見てると本当に忙しそうだし。」


「そういうことだから諦めなさい!」


「本人の意向なら諦めるよ。けど、気が変わったらいつでも連絡してほしい。」


「頼むならルピナスかフロウにするんじゃない?」


「それもそうだ。ボクよりも大先輩で両親の2人なら確実に移籍できるし頼みやすいからね。」


「そもそも移籍するつもりは無いけどね。」


「ふっふっふ、それはどうかな。いずれアズール君は自分から移籍させてほしいと懇願することになる…」


「意味深な悪役のセリフやめてね?」


 :敵側の王族だった

 :パリス悪役も似合いそう

 :それっぽいセリフを思いついたから言っただけやろ


「そうだ、アンナ君はボクと仲良くする気は無いかい? 僕は懐が広いから側室の一人にしても良いんだよ?」


「誰がアンタなんかと!」


 :そう言って結局くっつくラブコメを俺はいくつも見てきた

 :融合設定を活かして恋敵をハーレムに加えようとするなw


「そんなに側室を増やさなくてももういっぱいいるんじゃないの? 同期の人とか。」


「確かに9期生は全員僕の側室みたいなものだが…彼ら彼女らはあくまで友人であり仲間だ。側室そのものではないよ。」


「そういう分別はあるのね…」


 :変に理性的だなw

 :側室みたいなものって言うのもどうかと思うのだが


「アンナ君とはもっと仲良くなれると思うんだけどね。」


「何を根拠に!」


「女の勘ってヤツだよ。男の勘ではワンチャン付き合えると出ている。」


 :本当に仲良くなれるかなこの2人

 :女の勘と男の勘出せるの便利だけどどっかで相反しそう

 :男の勘草


「もしよければだがアンナ君ともタイマンでコラボしても良いかい?」


「ありがたい話だけど…」


 :企業Vからのコラボ依頼とは激熱だな

 :素直に受けちゃっても良いのよ?

 :こういう輪は大事


「うーん、まあ気が向いたら…」


「ありがとう! コメント欄を凝視してたのは見なかったことにするよ!」


「言わないであげて!?」


 :まあリスナーの反応も大事だから…

 :人によっては否定的にもなるしなぁ

 :これまでの流れからして素直に頷けなかっただけじゃね?


「無論アズール君ともタイマンでコラボ配信するぞ。テトラス対決とかどうかな?」


「パリス、やめときなさい。」


「どうして?」


「どれくらいのレベルが良いかな?」


「無論全力だろう?」


「絶対やめておいた方が良いわ。」


 :あっ

 :まずいって

 :やめとけやめとけ!


「なんだその激辛メニューを頼もうとしてる人みたいな扱いは…ボクだってオンリーカラーのテトラス大会に出場してたんだぞ?」


「あ、そうなの。けど…うーん…大丈夫かな?」


 :両方の腕前見てるけど止めといた方が良いぞ

 :テンプレ覚えたての人VSテンプレ火力で通常攻撃してくる人

 :開幕の火力で瞬殺、そうでなくても高火力連打が来る


「そんなに強いのかい?」


「コメントではやめた方が良いって言ってるね。」


「一回ボコボコにしてみたら? もし実力差があってもコーチング配信にすればいいし。」


「うーん、やっぱりどうもボクに対しては辛辣だね。ボクはこんなにアンナ君と仲良くしたいのに。」


「私としても仲良くしても良いんだけどね。泥棒猫じゃなかったら!」


「もっと出会い方が違っていれば…」


 :乱入無しで出会えましたか?

 :出会い方がイレギュラーすぎる

 :もしかしてアンちゃん結構重い女?


「でもコーチングは良いかもしれないね。コーチングメインでサブで対戦もしよう。最初と最後の2回とか良いんじゃないかい?」


「成長を感じられる構成にするってことだね。」


「アズちゃんのあれはそう簡単に身に着けられる技術じゃないとは思うけど…」


 :経験者は語る

 :アンナちゃん一回ガチでボコボコにされたからね

 :アズちゃんとは歴が違うよ歴が


「いつやるかは後で打ち合わせしよう。」


「そうだね。あ、次は乱入無しで頼むよ?」


「それは保証しかねる…って言いたいけど、テトラスメインだったら私は介入できないわね。対戦相手になるくらいはできるけど。」


「アンナ君の方がちょうどいい相手になるかもしれないし、対戦するときだけ通話しよう。配信に乗ってた方が面白そうだからね。」


 :楽しみになってきた

 :パリアズテトラス配信待ってます!

 :アンナちゃんも来るなら観るわ


「で、パリスさんはアンナちゃんとどういう配信がしたいの?」


「やはりガチンコでタイマンの対談コラボだろう!」


「何話すの?」


「アズール君との関係とかこれまでの配信のネタとかかな。」


「それ今でも良くない?」


「勘だけどそれ僕がいない方が良い気がする。」


 :多分その勘合ってるよ

 :アズちゃん本人に聞かせられない話になりそう

 :聞かせられないの2割くらいだろうし今話しても良いような気はするが


「次のコラボも決まったことだし、名残惜しいけどそろそろ締めるとしようか。」


「そうだね、またコラボしよう!」


「まあ、別にコラボしてあげても良いけど…アズちゃんは絶対渡さないんだからね!」


 :アンナちゃんかわいい

 :ツンデレムーブ助かる

 :お疲れ様ー!


「終わりの挨拶どうする?」


「おつパアルってどうかな?」


「パリスさんのパ、アズールのア、アンナちゃんの…あれ?」


「アはアンナのアで、ルがアズールのルでしょ?」


「ああそうか、おつパアルー!」


「「おつパアルー!」」


 :おつパアルー!

 :おつパアルー!

 :おつパアルー!






「どこまで本気なの?」


 アズール、パリス、アンナの3人コラボを終え、帰路に就いたパリスとアンナこと菊木春と高嶺杏奈。

 2人が別れる前、杏奈は意を決して話を切り出した。


「どこまでって?」


「婚約のこと。菊木さんは本当に蒼矢くんと結婚する気なの?」


「……」


 問われた春は少し、考える素振りを見せた。

 彼女は考えがまとまると返答し始める。


「半分は…いや、7割は本気だよ。結婚のことをよく理解していなかった時期だったというのは本当だけど、彼と結婚したいという気持ちもまた本物だったから。」


「昔結婚しようって言ったから、その義務感でっていう訳ではないのね?」


「義務感だけでそんなことが言えるわけないじゃないか。生半可な覚悟でデビューした時から婚約者がいるなんて言い続けてられないよ。」


「もう一つ訊きたいんだけど、さっき将来を誓い合ったって言ってたけど蒼矢くんは菊木さんとの結婚を承諾したの?」


「それは乙女の秘密って言っておこうかな。秘密の多い女は良い女って言うしね。」


「そう…」


「逆に、高嶺さんはどうなんだい?」


「私?」


 訊き返された杏奈は虚を突かれる。


「キミは蒼矢くんのことが好きなのかい?」


 杏奈は少し悩み、煮え切らない表情で返す。


「好きだけど、これが恋愛かそうでないかはわからない。」


「ボクには友愛に近いように見えるけどね。」


「でも、友愛だけじゃない。そんな気はしてる。」


「そう、か。じゃあボク達は争う運命なのかな。」


「きっとね。」


「…配信中に言った女の勘だけど、あれは本当にそう思ってるつもりだよ。」


「私と貴女が仲良くなれるってヤツ?」


「ああ、本当になんとなくだけどね。」


「男の勘の方も?」


「あれはテキトーだよ。純粋な乙女のボクに男の勘なんてあるわけないじゃないか。」


「………」


「何か言いたそうだね。見た目は男っぽいくせにとか考えてそうだ。ボクもそう思ってるけど。」


「分かってるじゃない。気にしてるかと思ってた。」


「そういう気遣いできるところも好きだよ。」


「そう言って何人女子を落としてきたの?」


「全員は把握しきれてないよ。割とガチだなって子が何人かいるのは分かるんだけど。

 それにしてもボクの女子人気が高いことがよくわかったね。」


「そりゃ王子様みたいな雰囲気出してるし。」


「友達のプロデュースでね。乗ってみたらこうなってしまった。どうも素質がありすぎてしまったらしい。」


「ちょっと同情するわ。」


「そう言う高嶺さんも人気が出そうな見た目だね。その人柄なら女の子ともうまくやっていそうだ。」


「そう思う?」


「ボクは女の子を見る目には自信があるんだ。」


「説得力があるわね。」


「女慣れしてそうだからかな?」


「さっきから言いづらいことを自分から言ってくるわね。」


「ボク気遣いの達人って言われてるから。」


「説得力があるわね。」


「女慣れしてそうだからかな?」


「なんで同じこと言うの?」


「同じことを言われたからだよ。」


「それはそうね。」


「今の会話配信だったらどんなコメントが来てたかな?」


「NPCかな? とか会話ループ入った? とかかも。

 職業病ね、私も人の事言えないけど。」


「キミも同じことを考えてたって訳だね。やっぱりボクらは相性が良いのかもしれない。」


「私は素直に認められないけど、そうなのかもね。」


「それじゃあ、次のコラボで。」


「ええ、またね。」


 2人は別れ、それぞれの帰路に戻る。

 どこか混沌の気配を残しながら。

今回で三部作の最後となるわけですが、筆が乗ったら短編で続きを書くとか連載にするとか色々考えています。考えているだけですまだやるとは言ってません。

もし機会があったら家族会議とかテトラスコラボ回とか書きたいなぁ、なんて考えてます。もし書いたらね。

今作は作者がある夢を見たことで色々考えることとなり、その混沌の中で生まれた作品となります。作者の推しが結婚して3、4歳くらいの子供がいた夢でした。ガチ恋勢じゃないのにでかいショックを受けたなぁ…

ではまたどこかで。おつじりゅー!

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