戦うための力
「普通の人間じゃ.......ない?それってどういう......」
不安そうに問いかけるエデンに対して、ECOの隊員はすまなそうな顔をする
「インターフェースを埋め込まれると、簡単に言えば........寿命が縮む。」
エデンは息を呑んだ。
「……寿命……?」
「装着者の体を改造する代償として、少しずつ、寿命が縮むんだ。すぐに死ぬわけじゃないが……無理はできない」
手の甲に触れる装置を見つめる。冷たく光る金属の感触が、代償の重さを伝えてきた。
「とにかく、今は休んでいてくれ.....」
隊員はそう言い残して病室から去っていった。
ベッドに横たわるエデンは自分の手の甲を、ぼんやりと見つめる。
そこには、手術で埋め込まれたらしいラベジニウム用のインターフェース――小さな装置があった。
「……俺、もう普通の人間じゃないんだな」
ECOの隊員に言われた言葉が頭の中にこだまする。
呟く声は、自分でも驚くほど震えていた。
胸の奥には、あの悔しい光景がよみがえる。
――通りすがりのおばあちゃんが、エイリ星人に襲われていたあの時。
自分は、庇うことしかできなかった。
「……今なら、あのエイリ星人にも勝てるのかな……」
問いかけるように自分の声に耳を澄ませる。だが答えはない。
部屋は静まり返り、ただ病院の機械音と遠くの足音が聞こえるだけだった。
誰も答えてはくれない――エデンは一人で考えるしかなかった。
まだ学校に通う年頃で、戦うための準備も経験もない。
「……休むか」
病院の窓から見える夕陽を眺めながら自分の心の奥で呟き、ベッドに身を沈める。
手の甲の装置は微かに冷たく、未知の力を秘めていることを告げていた。
目を閉じていると、ふと、あることを思い出した。
自分の父
エミット・リュートからもらった「箱」のことを
「もしお前の身に何かあって、困っているなら、その箱を開けろ」
中身を見せられたわけではない。ただ、父の言葉だけが、幼い自分の胸に深く刻まれていた。
その時の父の表情は優しかったけれど、どこか覚悟めいたものがあったように思う。
箱の存在は、当時の自分にはまだ意味が分からなかった。
今、その言葉を思い返す。――あの箱の中に、何かあるかもしれない
エデンはポケットからその箱を取り出す
固く閉ざされた封を解き、中を見る
中には、黒く光る小さな球体の石のようなものが収められていた
それを見た瞬間、脳内に直接声が響く
「................力が欲しいか?」
「戦うための力が......欲しいか?」
その瞬間、心の奥底で、これから自分の運命が大きく動き出すことを予感した。




