試験会場
エンジン音がゆっくりと止まり、車が静かに停車した。
「着いたぞ。」
ハンドルに手を置いたまま、大山が短く言った。
窓の外には、広大な敷地と巨大な施設が広がっている。まるで競技場のような建造物に、すでに多くの人影が吸い込まれていくのが見えた。
「ここが……入隊試験の会場……」
エデンは思わず呟く。
胸の奥が、じんわりと熱くなる。
緊張と期待が混ざった感覚だった。
(ついにここまで来たんだな。)
頭の奥から、低く響く声がする。
「緊張しているな、エデン。」
荘厳で落ち着いた声は、どこか不思議と安心感を与えてくる。
「そりゃするだろ……受かるか分かんないんだから。」
「だが、お前はここまで来た。逃げずに。」
少しだけ口元が緩んだ。
大山が横目でエデンを見る。
「顔が固いな。まあ無理もないか。」
そして軽く肩を叩いた。
「だが安心しろ。お前は十分鍛えた。あとは出すだけだ。」
「……はい。」
エデンは深く頷いた。
車のドアを開け、地面に足をつける。
その瞬間――
空気が変わった。
周囲には同じ受験者と思われる人たちが大勢いる。
装備を整えている者、黙って目を閉じている者、仲間と話している者。
全員が強い意志を纏っていた。
(すごい人数だな……)
大山は車にもたれながら言う。
「俺はここまでだ。終わったら連絡しろ。」
「はい。ありがとうございました。」
「――行ってこい。」
短い言葉だったが、重みがあった。
エデンは深く一礼し、会場へ歩き出した。
施設内部。
巨大なホールには、すでに数百人の受験者が集められていた。
ざわめきが広がる中、前方のステージに職員らしき人物が現れる。
マイクの音が響いた。
「諸君らは本日より、入隊試験を受験する。」
ざわめきが止まる。
「先に言っておく。これは選抜だ。教育ではない。」
試験官は淡々と続けた。
「我々が見るのはただ一つ。」
一拍。
「——死地に立てる人間かどうかだ。」
空気が重くなる。
何人かが息を飲んだ。
「ラベジニウムは入隊後に支給される。よって本試験ではラベジニウムの使用は禁止だ。」
「所持している者は職員が一時的に受け取る。」
エデンはわずかに目を細めた。
(……当然だよな)
「ケイごめん、お前の出番はないみたいだ。」
インターフェースからラベジニウムを取り、職員に渡した。」
「試験は四段階に分かれる。」
試験官は指を一本立てる。
「第一。身体能力評価。」
二本目。
「第二。状況判断試験。」
三本目。
「第三。総合実地試験。」
ここで少し間を置いた。
「負傷、脱落は自己責任だ。」
ざわつきが起きる。
だが試験官は構わず続けた。
「最後に面談を行う。」
「それらを総合的に評価し、合否を決める。」
視線が受験者全体を貫く。
「なお——」
声が低くなる。
「途中で逃げても構わん。」
一瞬の沈黙。
「むしろ推奨する。覚悟のない者は今ここで帰れ。」
誰も動かなかった。
エデンも。
心臓が少し速くなる。
怖くないわけじゃない。
でも——
(ここで帰る理由はない)
「では——」
試験官が告げる。
「入隊試験を開始する。」
緊張が最高潮に達する。
エデンは拳を握った。
(……やってやる)
試験官が先にある扉を指す
「受験者はこの先の部屋に入り、指示を待て。」
受験者たちは先に進む
試験がついに始まる




