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エデン  作者: ko-da
序幕

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1/20

日常の終わり

数十年前、世界は危機に陥った


三十五年前、宇宙から飛来した侵略種――エイリ星人。


人類は滅亡の危機に瀕した。


だが、地球には同時に一つの希望も落ちてきた。


謎の鉱石ラベジニウム。


それを利用し設立された公的防衛機関、ECO(地球外生命体対策部隊)。


人類はかろうじて滅びを免れた。


そして現在。


エイリ星人の出現頻度は減少し、人々は「危険と共存する日常」に慣れ始めていた。


――少なくとも、表面上は。


エミット・エデンは帰り道を歩いていた


高校一年生。


身長167センチ。


少し長めの黒髪。


特別なところは何もない、ごく普通の少年。


できるなら何も起きないでほしい。


平穏に生きたい。


そう思っている。


そのはずだった。


「た、助けて……!!」


悲鳴が聞こえた瞬間までは。


路地の奥。


血を流し、倒れ込んでいるおばあちゃん。


そして、その前に立っている存在。


人ではない。


灰色の外殻。


異様に長い腕。


節だらけの脚。


裂けたような口。


エイリ星人。


心臓が凍りつく。


(無理だろ……)


逃げればいい。


関わらなければいい。


普通の人間ならそうする。


エデンも、そう思った。


思ったのに。


次の瞬間、彼は走っていた。


「こっち来い!!」


エイリ星人の注意を引く。


化け物の頭部がゆっくりと向く。


そして――消えた。


速すぎて視認できない。


衝撃。


身体が吹き飛ぶ。


地面に叩きつけられた瞬間、骨が折れる感覚が全身に走る。


呼吸ができない。


肺が潰れた。


視界が赤く染まる。


それでも。


「……逃げて……」


おばあちゃんの方へ視線を向ける。


その瞬間。


エイリ星人の腕が振り下ろされた。


激痛。


身体の感覚が消えていく。


(あー……終わったな……)


ぼんやりと思う。


遠くからサイレンの音。


誰かの声。


「ECOだ!対象排除!」


閃光。


爆音。


エイリ星人の気配が消える。


誰かが駆け寄ってくる。


「少年!しっかりしろ!」


声が遠い。


寒い。


眠い。


(あ……俺……助からないな……)


直感で分かった。


そのまま意識は、闇に沈んだ。


右手に激痛が走った。


次に目を開けた時。


そこは病院だった。


白い天井、消毒の匂い。


「……え?」


身体を起こす。


痛くない。


あれだけの重傷だったはずなのに。


腕を動かす。


脚を動かす。


問題ない。


完全に治っている。


あり得ない。


そして。


何気なく右手を見た瞬間――


呼吸が止まった。


手の甲。


皮膚の下に埋め込まれた金属構造。


円形の装着部。


中心に小さな空洞。


まるで。


何かをはめ込むための装置。


「……なんだよ……これ……」


自分の身体じゃないみたいだった。


その時。


病室のドアが開いた。


ECOの制服を着た人物が入ってくる。


真っ直ぐこちらを見て、静かに言った。


「君は命を失うはずだった」


一歩近づく。


「だが、何者かが君に手術を施した」


そして。


右手を見つめながら続けた。


「それは――ラベジニウム装着用インターフェースだ」


空気が凍る。


理解が追いつかない。


ECO隊員ははっきりと言った。


「エミット・エデン」


「君はもう、普通の人間ではない」


少年の日常は。


この瞬間、終わった。

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