第4話「偽霊」
アリアとの戦闘後、夢境を彷徨っていた夢見
「にしても、これからどうしよう……龍炎さんにも会えないし…」
「助けてくれ!誰か!」
遠くから誰かの叫び声が聞こえてくる
「助けて?もしかして、悪夢に襲われている人?!助けていかないと…!」
夢見は近くの森に颯爽と入り込んでいく
獣の耳が生えた白髪の青年が龍炎の言っていた『樹液の悪夢』に襲われているのを見つける
「(まずい…!)」
夢見は素早い抜刀で悪夢を一網打尽にする
「(ふぅ…危なかった、それにしても…こうして見ると、夢境に初めて来た時よりも格段に戦えるようになっている……意外と様になってるのかも?)」
「あなた、お強いですね。名をお聞きしても?」
「えぇ、私は夢み──」
// 「あぁ待ってくれ、忘れていたが、この夢境では本名は名乗るのは御法度。偽名を名乗ってもらえるか?」
「なんで本名は御法度なんですか?」
「見ての通り、夢境では見ず知らずの人達と遭遇する、それに本名を知られていると戦闘面で厄介な『悪夢』なども存在している。だから偽名を名乗るのがこの世界では一般常識なんだ」//
「ええと……私の名前は、跡夢と言います」
「セキム?なるほど、僕の名前はレイゼと申します。助けてくださったお礼をさせてください」
「いえいえ!結構です!」
「ご遠慮なく、近くに私の住んでいる集落がありますので」
「(集落?この人、夢境に住んでいるの?まぁ…そういう人がいてもおかしくはない……のかな?)」
《◇》
『ロドイン森林の集落』
「こちらです、あぁ…足元に気をつけてください。液状の悪夢の残骸が散らばっていますから」
「ありがとうございます…」
夢見はその場で足をとめる
「あの…一つ聞きたいことがあるんですが」
「何ですか?何でもお申し付けください」
「あの…あなた方は、その…森の中で生活することを『理想』としている人達の集まりなのですか?だって、わざわざ夢境に住んで暮らす理由なんて…あまり無いと思いますし」
「理想?いえいえ、僕達デシーバー族は数千年前から此処に住んでいるんですよ」
「そんな前から?!ってか、デシーバー族なんて聞いたことないですけど…アマゾンの奥地に生息している民族だったりしますか…?」
「アマゾン?そんな地名は聞いたことがありませんね…勘違いされているようなのでお伝えしてときますが、僕達は夢境で生まれ育った『偽霊』、人間ではありません」
「偽霊……って、何ですか?」
「その名の通り、夢境で生まれた偽りの霊です。存在としては悪夢に近いですが…あぁ、どうか心配なさらないでください、僕達は悪夢とは違って人間には友好的ですから」
「なるほど…(夢境って…悪夢以外にも生まれる生物がいたんだ)」
「ただ…最近また悪夢たちが襲撃を開始してきて、僕の住むこの集落は壊滅的な被害を受けています」
「そんな…」
「だから僕は必ず、悪夢たちに復讐を…あぁ…すみません、自分語りが過ぎましたね。……こちらが僕の家なので、中で待っていてください」
「えぇ、分かりました。(こうして実際に悪夢からの被害を聞くと…やっぱり放っておくことはできない…)」
「あの、レイゼさん!」
「はい?」
「もし良かったら、しばらくこの集落を護衛させてもらえないでしょうか?」
「本当に宜しいのですか?先程も言いましたが…我々は物資が枯渇していて、ろくに報酬もお渡しできませんが…」
「大丈夫ですよ。これは私が個人的にやろうとしている事なんで、報酬は要りません」
「かたじけない。ありがとう、跡夢殿」
《◇》
ロドイン森林の入り口にして、男女の二人組が倒れている『樹液の悪夢』を見つける
「あれれ?樹液の悪夢が…」
「ハゲート様、まさか無意識下で悪夢を倒してしまったのですか」
「いやいや、俺が悪夢を倒すなんて有り得ないだろ…あの日から決めたんだ…」
「……ハゲート様、魔力の軌跡が…」
「どうかしたか?」
「我々と同じ、現実から来た者と同じ魔力…それにこの森に続いて… ハゲート様、この悪夢を倒した者は、まだ森の中にいると思われます」
「そうか。どんな奴かは知らねぇが、偽霊らを懲らしめるには…邪魔な存在になりそうだな…」
「お前たち、そこで何をしている?」
突如、彼らの背後に龍炎が現れる
「お前は…龍炎!」
「知っているのですか、ハゲート様」
「あぁ、ここらじゃ有名な悪夢 狩人だ。まさか、この悪夢を殺ったのはお前か?」
「彼と残っている魔力の軌跡は異なります、恐らく別人のものかと」
「それで、俺の問いの答えを聞いてもいいか?」
「あぁ…?」
「この一瞬で忘れたのか?お前たちはここで何をしているのか、を聞いているんだ」
「あぁ、そういう事ね。この森には偽霊が住んでるだろ?だから、俺たちが悪夢を倒して守ってやろうって話合ってたのさ」
「………そうか、正義感が強いんだな」
「あぁそうさ、俺は正義感が強いんだ。だから心配しないで…さっさと他の場所の悪夢を狩りに行ったほうが良いと思うぞ」
「なら…そうさせてもらう」
龍炎が姿を消す
「はぁ…肝冷えるぜぇ、たくっ………。正義感ねぇ…確かに、俺にもあったさ。あの日まではな」
是非とも↓から評価をお願いします!押してくださると制作意欲がとても上がります!
誤字脱字報告、疑問、矛盾点、感想などがありましたらコメントをお願いします。




