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天音戒夢 〜夢境の儚き理想〜  作者: オモミー厶
序章「夢境の悪夢」
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第2話「理想」


 身長の高い金髪の女性と薄紫が混じった黒髪の少年が夢境の奥地で会話をしている


「あら、どうしたの?天夢あまゆめくん。そんなに焦った顔して」


「アリア、『夢境ウイルス』が…日本全土に拡散しているんだ!このままじゃ──」


「それがどうかした?夢境に堕ちる人たちが、少し増えるだけよ」


「分かってないな…その分、より多くの犠牲者が出るんだぞ!」


「じゃあもっと急がないとね、彼女の勧誘を」



《◇》



「跡夢さん。ここを去る前に、夢境においてとても重要なことを2つ伝え忘れていたので、順を追って伝えていきます」


「1つ目: 夢境内の人間が何らかの原因で死亡すると、現実にいる自分自身も死に至る。2つ目: 夢境に──」


「待って、今し…死ぬって言ったの?でも夢境では痛覚もなくて肉体は幻影だって…」


「えぇ、跡夢さんの言う通り、夢境には痛覚も無いし肉体も存在です、しかし死はそれを打ち破ってきます」


「…そんな危険があったなんて………そういえば、2つ目は一体どんな内容なんですか?」


「2つ目は、夢境に入る直前、すなわち睡眠状態に陥る前、その直前に思い浮かべた『理想』の自分を夢境に反映できる。というものです」


「それってつまり──」


「例えば、眠る直前に『プロサッカー選手』になった自分を想像すれば、夢境内ではプロサッカー選手になった自分の姿で夢境に入ることができます、勿論サッカーの技術も同義となります」


「場合によってはサッカーのスタジアムや他の選手、観客なども現れるケースもあります、すべて幻影ですが」


「それって、めちゃくちゃ凄くないですか?夢境って、悪夢が現れる事以外は結構良い感じに思えるんですけど」


「もし今後悪夢と戦う気があるなら、次眠るときには戦う自分を想像するといいです。これに関しては想像力次第ですが、想像力次第ではどんな強さにもなれます」


「じゃあ、誰でも夢境だったらどんな相手にも無双できる戦闘力を手に入れる事ができるんですか?」


「理論上は、しかし『理想』の全てが夢境に反映される訳ではないです。少しでも抜けている部分、考えられない可能性があるとそれは不完全になってしまう。要は簡単な想像だけでは『理想』に達することはできないという事です」


「大丈夫!私、想像力だけは豊富なんで!」


「そうですか…」


 次の瞬間、夢見と龍炎の背後に「樹液の悪夢」が現れる


「っ!またか!」


「やられるー!」


 夢見に「樹液の悪夢」が急接近する


「はぁぁぁぁ!」


 瞬時に龍炎が反応し、槍で「樹液の悪夢」を一網打尽にする


「危なかったな、うぅ…!」


 次の瞬間、龍炎の視界が歪み、意識が朦朧しだす


「だ、大丈夫ですか?」


「問題無い……現実の俺が夢から覚めようとしているようだけだ… まだ近くに悪夢が潜んでいるかもしれない、だから油断は怠るなよ……」


 龍炎はそう言い残し、夢境から姿を消す


「龍炎さん…」


龍炎さんから夢境の事について大方のことは知れたけど、それでもまだ足りない情報も多々あるし、今の私に戦うことなんて出来ない。


「(現実の私が目覚めるまであと1、2時間…どこかに身を潜めているしかないのかも…ひとまず、安全そうな所に───)」


「あら、お友達はお目覚めのようね」


「だ、誰?!」


 夢見は目の前に現れた金髪の女から距離を取る


「私はアリア、勿論これは本当の名前じゃないけど。あなたに話があって来たの」


「話って…」


「私は君に『夢境むきょう』の真実を知ってもらいたいの」


「夢境の真実…?」


「夢境には個人の『理想』が叶うという利点がある。でもそれと同時に、夢境には悪夢という命を脅かす存在がいる。加えて普通の人間でも『理想』を通じて手軽に強大な力を手に入れる事ができる為、人間通しの争いも少なくはない… 君はこんな夢境をどう思う?何も変えずに存続させる?それとも、欠点を解決したい?」


「……確かに、夢境には良い面悪い面両方あるのは知っていますが…やはり、『理想』が叶うと言っても、夢境は夢…現実ではありませんし、身を脅かす存在が多々いる事を考えると…やはり目を瞑って見逃すことはできないです。私としては、夢境の存在自体を消し去る事が最も最善だと考えています」


「そう、なら…君とは仲良くできなそうね…」


「……何をする気ですか」


「君、次の睡眠時には…戦う自分を想像して。あなたの思い浮かべた理想の姿で、私と戦いましょう?『理想』は必ず、私たちを同じ道へと導かせるわ」


 次の瞬時、夢見に目眩が襲いかかる


「(な…なにっ…)」



《◇》



「はっ…!!」


次に意識が戻った時には私はオフィスにいた。あの夢境むきょうで体験した事はただの私の夢だったのが…それとも本当に体験した事なのかは分からない


「あれ?もう朝じゃん…あっという間だったなぁ…(結局あれは…夢…それとも──)」


夢見ゆめみ、今日も早いね」


「あっ、龍崎りゅうざきさん!朝早いですね」


彼は龍崎炎りゅうざき ほむら、私の上司だ。


「……まさか、いや……何でもない」


「どうかされましたか…?」


「いや…夢で見た人に似ていただけだ。何でも無い…」


「……そうなんですか?」



《◇》



 青みがかった黒髪の少年がアリアに話しかける


「何をしているんだ、アリア」


天夢あまゆめくん、彼女は私達の目的とは考え方が合わないみたい…君の目論は正直当てにならないわね」


「僕たちの目標は、悪夢を消滅させて、夢境の欠点を実質的に排除することだ。彼女の考えは僕たちの考えと一部合致する点もあるし、それに彼女は悪夢に対して敵意を持っている。上手くやれば彼女は僕達の目標を達成させる為に協力してくれるはずだ」


「"協力"…ね…」


「それになぜ…」


//「君、次の睡眠時には…戦う自分を想像して。あなたの思い浮かべた理想の姿で、私と戦いましょう?『理想』は必ず、私たちを同じ道へと導かせるわ」//


「彼女と戦うことにしたんだ、それは無意味だ」


「ふっ、…」


「今私達には多くの疑問点があると思う、だから状況を分かりやすくする為に…明日の夜に、すべての謎を明らかにしましょう。彼女らにも、今の夢境が抱える問題、そして…」


「彼女に夢境での"戦う意味"を…教えてあげる」



《◇》



現実 - 0時45分


 仕事を終え、自宅に帰ってきた夢見


「はー…また残業でこんな時間に…まぁ帰ってこられただけマシか…」


 夢見は帰ってから間もなくスーツのまま寝室のベッドに入り込む


「(おやすみ〜……)」


 意識が朦朧とする中…夢見はアリアの言葉を思い出す


//「君、次の睡眠時には…戦う自分を想像して。あなたの思い浮かべた理想の姿で、私と戦いましょう?『理想』は必ず、私たちを同じ道へと導かせるわ」//


「あぁ…(そうだなぁ、武器はやっぱり日本らしく…刀…そう…いえば……龍炎りゅうえんさんは…変わった格好…してたな…もしか…したら…服装も自由に、変えられるのかな。なら…これも…やっぱり日本らしく…和風な感じで…)」


 そして夢見は、長い夜に堕ちた



《◇》



「はっ…ここは…」


 夢見の目覚めた場所は高層ビル街、空には虹色のホログラムの雲で満ちている


「昨日見た夢境とは、全然違う……」


 青みがかった黒髪の少年が夢見に話しかけてくる


「来たな」


「子供?」


「ぼ、僕を子供と呼ぶな!小娘」


 どこからか現れてきたアリアが状況を説明しだす


天夢あまゆめ君の事は気にしないで、さぁ…」


「あなたの『理想』を…魅せてちょうだい」



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