第94話 作戦会議その2
メイジゴーレムの移動速度問題。これを解決するために、剛志は悩んでいた。
ゆくゆくはダンジョン間転移なんかで短距離転移をしながら四方八方から集団魔法を浴びせる魔法集団。みたいなえぐいコンボを実現したいなという目標が決まった剛志だが、それはまだこれからの話だ。
今の剛志のイメージから一番最適なものを考えるのが一番だ。でも考えてもいいアイデアが出てこない。
「ああ、ダメだ全然出てこなくなった。とりあえずイメージしやすいものでメイジたちを運ぶ何かを考えたいんだけど、これと言ってピンとくるものがないんだよね」
そうぼやく剛志。そうすると横で考えていた臼杵がアイデアを共有してくれた。
「やっぱりイメージしやすいので言ったらトラックとかになるのか?荷台に乗せて動きまわるみたいな。でも舗装されていない道を動くのは難しくないか。剛志、そのイメージってのはSFチックな物でもいいのか?だとしたら宙に浮く板に乗せて運ぶみたいなのはどうだ。これだったらイメージつかないか?」
「SFチックな宙に浮く板か…確かにドローンゴーレムとかそっち系列は宙に浮いて移動しているし、できなくもないのか…。てか考えてみれがそもそもドローンゴーレムが浮いている理由、俺わかんないな。そういうものだと思っていたから脳死で考えていなかったみたいだ。ということはできるのかも知れない。これ出来たら空から魔法を浴びせるっていうことも出来るし、かなりいいかもしれないねちょっとやってみるよ!」
そういって剛志は、ゴーレムカスタマイズを起動し移動用ゴーレムを作成しようと試みた。
まずは今のドローンゴーレムがどういった感じで浮いているのかわかっていなかったので、それを紐解こう。そう思い立った剛志はまずドローンゴーレム一種サテライトゴーレムの設計書を確認してみる。
【ゴーレム名】:サテライトゴーレム
【説明】:アルミのボディを持ち内臓のカメラで周囲を警戒するゴーレム。主人の危機を感知すると、警戒音を出す。
【ステータス】
名前:
種類:サテライトゴーレム
スキル:気配察知・暗視・視力強化・透過・無音行動・意識共有
レベル: 0
HP:10/10
MP:1000/1000
攻撃力:1
防御力:1
器用:100
速さ:100
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
【必要器用値:1000】
【消費MP:1500】
【消費材料:ボーキサイト×10、ドローン】
スキルを見ると浮く系統のスキルはなさそうだ。ドローンを素材に使っているのが唯一の原因かもしれない。そういえばそもそもこの購入したドローンはなぜか浮いたまま使用できていた。そっちから調べるか。
ダンジョンが当たり前になって、スキルという不思議な力を誰もが使えるようになったこの世界では気づいていなかったがこういうSF的な技術が意外と身近に再現されていたことに気が付く剛志。
今まではダンジョンだから、そう思い考えていなかったが、スキルもなしに空を飛んでいるのだから十分SF的な領域なのかもしれない。
そうして、剛志は自身の購入したドローンの説明書を再度読み込んだ。そうするとそこには普通に原理がかいてあった。なんと周囲の魔力(MP)を利用して力場を作り、それによって移動していると書いてある。
このよくわからない機構が、なぜスキルなしに利用できているのか。詳しい原理は理解できていない剛志。
しかしサテライトゴーレムの中身に意識を集中すると、ゴーレムになったことで周囲の魔力を利用することはできなくなっているようだが、自身のMPを利用して力場?を作って移動していることが感じ取れた。
より意識を集中していくと、なぜスキルになっていないのかという部分も何となく理解できた。これはそもそもがそうやって動くという前提で作られており、基本機能だからみたいだ。要するに呼吸できる人間がスキルに呼吸とないのと同じということらしい。
そこから先の詳しい原理などはよくわからなかったが、剛志にとって重要なのはそういった移動手段があるという事実、そしてそれが自分のスキルで再現可能だという結論だ。これさえあればスキルで空飛ぶ板を作ることができるというイメージなのだ。
そうしてイメージが固まった剛志は、さっそくゴーレムカスタマイズを使用し新しいゴーレムの設計図を作成する。
その後いくつかの修正等を繰り返し出来上がった設計書がこれだ。
【ゴーレム名】:ヘキサボード
【説明】:六角形の足場に手すりが付いた空飛ぶ板。複数のヘキサボード間は連結が可能。
【ステータス】
名前:
種類:ヘキサボード
スキル:バリア・高速移動・MP受給
レベル: 0
HP:1000/1000
MP:1200/1200
攻撃力:1
防御力:600
器用:1500
速さ:1500
魔法攻撃力:0
魔法防御力:800
【必要器用値:5500】
【消費MP:4000】
【消費材料:ブラックアイアン×30、中級魔石×1】
見た目は説明文の通りだが、機能としてそこそこ早く動くことができるようにした。そのうえで前回の反省を生かし、しっかりと手すりを付けて捕まれるようにしたのと、今回は宙に浮いて動けるので、その分若干傾いたりすることでスタートとストップの踏ん張りがききやすくできるという見込みだ。
かなり乗り物酔いしそうだが、ゴーレムには関係ないのと、剛志たちも慣れれば問題ないだろうという判断だ。
また今回はバリアのスキルを搭載させた。これによって何かと当たる際にはバリアを展開し衝撃を防ぐことも出来る。ただこのバリアはあくまで緊急回避的なものを想定しており、何度も展開することはできない前提だ。
次にMP受給のスキルだが、これは燃費があまりよくなかったので、乗っている者のMPをもらえるようにしておいた。これによって搭乗者のMPを供給されより長く移動することが可能になったといった感じだ。
必要素材はブラックアイアンだが、これはかなり在庫がある。足りなくなっても地下40~49階層で集めればいいので問題ないだろう。
ただ問題は中級魔石の方だ、これは前回の探索で地下60階層のスケルトンから取れた魔石だ。なので、まだそこまで数がない。そのうえこれは本来なら魔石変換機に使用する予定だったのだが、それ以外にも必要になってしまった。
地下60階層で魔石を集めるために魔石がいる。若干本末転倒感あるが、仕方がないと割り切るしかないだろう。
こうして新しい移動手段のヘキサボードが完成したのだった。
次に必要になってくるものを考えると、安定した魔石供給の実現のため、燃費の悪いメイジだけに特化するのはこれからを考えると少し不安だ。そのうえずっと浮いているメイジたちに回収を任せるのも非効率的だろう。
別で地上を進む部隊の案も考えなくては。
まだ作戦会議は続きそうだ。
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